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【2017 MotoGP 日本グランプリ】ヘビーウェットのレースを制したDucatiのドヴィツィオーゾ選手が今シーズン5度目の優勝
中須賀選手は12位。Moto2の中上選手は6位に終わる
2017年10月15日 19:26
- 2017年10月13日~15日 開催
10月15日、「2017 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」の決勝レースがツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町、全長4.801km)で行なわれ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Ducati Team)が最終ラップ、最終コーナーまでもつれたレースを制し、今季5度目の優勝を飾った。
日本人選手の最高位は、12位の中須賀克行選手(Yamalube Yamaha Factory Racing)。青山博一選手は18位、野左根航汰選手(Monster Yamaha TECH 3)は途中リタイアとなった。
Moto2クラスは、ポールポジションの中上貴晶選手(IDEMITSU Honda Team Asia)が中盤までリードする健闘を見せるも、6位に終わった。
MotoGPクラスは最終ラップ、最終コーナーまでもつれたトップ争い
決勝レース当日の日曜日、Moto3クラスの朝のウォームアップ走行時に、マシントラブルでオイルが広範囲にまき散らされたことにより、その対処のため2時間近くレース進行が滞った。その影響で全てのクラスのウォームアップ走行は時間が短縮。決勝レースもMoto3、Moto2は本来の20ラップ、23ラップから、それぞれ3分の2に当たる13ラップ、15ラップに短縮された。
MotoGPクラスは、フロントローのマルク・マルケス選手(Repsol Honda Team)が好スタートを決めるも、オープニングラップで予選5番手のホルヘ・ロレンソ選手(Ducati Team)が前に。その後はダニーロ・ペトルッチ選手(OCTO Pramac Racing)、マルケス選手、ドヴィツィオーゾ選手らとの混戦となる。8ラップ終了時点でペトルッチ、マルケス、ドヴィツィオーゾの3選手が2秒以内にまとまるトップ集団を形成し、降りしきる雨のなか淡々と展開する。
しかし12周目にその均衡が破れる。90度コーナーでマルケス選手が仕掛けトップに躍り出ると、3番手にいたドヴィツィオーゾ選手もペトルッチ選手をかわし、マルケス&ドヴィツィオーゾ選手の一騎打ちへ。残り6ラップを切ったところでドヴィツィオーゾ選手が5コーナーで一瞬の隙を突いてマルケス選手をかわすなど、激しいつばぜり合いを繰り広げる。
マルケス選手のリードで迎えたラストラップ、マルケス選手がリアを滑らせバランスを崩したのをきっかけに再び差を詰めたドヴィツィオーゾ選手が、激しい水しぶきのなかリアをシェイクさせながら90度コーナーの突っ込みでマルケス選手をかわす。最終コーナーまでマルケス選手が攻め続けるも、オーバーラン気味になり万事休す。雨の中の戦いはドヴィツィオーゾ選手に軍配が上がった。
これによりチャンピオンシップは、ポイントリーダーのマルケス選手と2位ドヴィツィオーゾ選手の差が11ポイントに縮まり、さらに30ポイント差でマーベリック・ビニャーレス選手(Movistar Yamaha MotoGP)が続く形となった。MotoGPは今シーズン3戦を残すのみだが、チャンピオンシップの行方はまだまだ不透明だ。
MotoGPクラス決勝レース結果
順位 | ライダー | チーム |
---|---|---|
1 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手 | Ducati Team |
2 | マルク・マルケス選手 | Repsol Honda Team |
3 | ダニーロ・ペトルッチ選手 | OCTO Pramac Racing |
4 | アンドレア・イアンノーネ選手 | Team SUZUKI ECSTAR |
5 | アレックス・リンス選手 | Team SUZUKI ECSTAR |
6 | ホルヘ・ロレンソ選手 | Ducati Team |
-- | -- | -- |
12 | 中須賀 克行選手 | Yamalube Yamaha Factory Racing |
18 | 青山博一選手 | Estrella Galicia 0,0 Marc VDS |
リタイア | 野左根 航汰選手 | Monster Yamaha TECH 3 |
Moto2はアレックス・マルケス選手が安定した走りで勝利。中上選手はずるずると後退
Moto2クラス、ポール・トゥ・ウィンが期待された中上選手は、絶妙のスタートでホールショットを決め、オープニングラップもトップで通過した。9ラップ目まではリードを守ったが、10ラップ目でアレックス・マルケス選手(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)にオーバーテイクされると、続くシャビ・ビエール選手(Tech 3 Racing)にもかわされ3番手に。さらにハフィス・シャーリン選手(Petronas Raceline Malaysia)にまで抜かれ4番手と、この1ラップで一気に後退。結局ラストラップでもさらに2台にかわされ、6位に終わった。優勝はマルケス選手で、今季4度目。
Moto2クラス決勝レース結果
順位 | ライダー | チーム |
---|---|---|
1 | アレックス・マルケス選手 | Estrella Galicia 0,0 Marc VDS |
2 | シャビ・ビエール選手 | Tech 3 Racing |
3 | ハフィス・シャーリン選手 | Petronas Raceline Malaysia |
4 | フランシスコ・バグナイア選手 | SKY Racing Team VR46 |
5 | マティア・パッシーニ選手 | Italtrans Racing Team |
6 | 中上貴晶選手 | IDEMITSU Honda Team Asia |
-- | -- | -- |
14 | 榎戸育宏選手 | Teluru MOTOBUM Racing Team |
20 | 長島哲太選手 | Teluru SAG Team |
22 | 水野 涼選手 | MuSASHi RT HARC-PRO |
MotoGPトップ3の記者会見コメント
アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手:スタート直後は何も見えなかった。周りにいるたくさんのライダーを抜かないと……水しぶきがひどくてずぶ濡れだったし、ブレーキングポイントすらほとんどわからないくらい。最初のラップはうまく切り抜けて、初めの数周、リアタイヤが温まっていなかったのでアグレッシブに攻められなかったけれど、フロントタイヤはかなり機能していて、ハードブレーキングも問題なかった。
最初はあまりいい感じではないレースだったが、これは自分にとってキーとなるレースなわけで、諦めるわけにはいかなかった。周を追うごとに速く走れるようになってポジティブになり、マルケスとはいいバトルができた。彼とのバトルはしんどいが、ハードにプッシュしたせいか、最後の6ラップを残したところでタイヤが終わってしまった。その状態に合わせるのは大変で、ハードブレーキングもできず、ラインを変えるしかなかった。マルケスも自分もかなりの苦戦を強いられたけれど、最後の数周でまたプッシュしていって、限界を超えたのかいくつかミスしてしまった。
ただ、自分のバイクはマルケスよりもブレーキが良かったようだ。(マルケスに抜かれた)コーナーはたぶん自分がすごく遅い。彼が僕の後ろについたとき、左コーナーで水たまりがあったのでラインをワイドにとったのは正解だった。彼が内側を抜こうとすれば(水たまりで足が取られるだろうから)素早く向き変えしないといけない。
今回の優勝は本当にエキサイトした。緊張したがチャンピオンシップにとって大事な一戦で、満足いく結果が得られた。
マルク・マルケス選手:今シーズン誰が優勝するかはわからないけれど、今回のようなバトルは素晴らしい。ウェットレースでの2位は、目前にあるチャンピオンシップ獲得に向けては十分な価値がある。でもいろいろとリスクを犯した。ここのサーキットは、ドゥカティ、特にドヴィツィオーゾが毎年速いから、今回のようなフィーリングのいいウェットレースには、ちょっと難しいけれどトライしないといけない。数周はプッシュして、リスクを負わざるを得なかった。
彼はブレーキが良かったけれど、(最終ラップの)最終コーナーはトライするしかなかった。オーストリアGPと似たようなシチュエーションだったと思う。でも2位が獲れたのは良かった。こういうバトルが続くのはうれしい。
ダニーロ・ペトルッチ選手:本当にうれしいです。トップに立ったときは初勝利のことが頭に思い浮かんだけれど、常に2つの問題があった。ドヴィとマルク。とにかく、アッセンや、最終ラップで優勝を逃したミザノで獲ったポディウムのときと比べても、今回は本当にうれしい。
でもレース終盤は本当に無理だった。レースにはエクストラソフトで臨んだが、最初は100%プッシュしていなくてもすごく良かったのに、そのうちリアがスピンするようになってしまった。特にストレートでは顕著で、スピンやスライドが起きるからアクセルを全開にできなかった。一方でドヴィとマルクは最後まで最高のレースをしたわけで、それを後ろから見ているのは変な感じだったけれど、この結果については喜んでいる。