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日産、無資格検査問題に関する再発防止策の実施状況を国交省に報告

追加対策として「権限基準ルールの整備」「APWの整備」「工場における職場環境改善」の3件追加

2018年3月9日 発表

 日産自動車は3月9日、国土交通省に2017年11月17日付けで報告した「型式指定に関する業務等の改善についてのご報告」に記載した再発防止策の実施状況について、同省に説明した。

 同社が2017年11月に報告した再発防止策は全部で10項、53件。

1.完成検査ラインの構成及びオペレーションの修正
2.完成検査員の任命基準の見直し・教育基準の強化
3.完成検査員人員管理の改善
4.完成検査の運用・管理の改善
5.完成検査に関する理解を正すための方策
6.ユーザー目線に立ったもの造り
7.監査の改善
8.現場と管理者層の距離を縮めるための施策
9.組織の強化
10.対策の実施及び進捗フォロー体制について

 さらに今回、11項として新たな対策「権限基準ルールの整備」「APWの整備」「工場における職場環境改善」の3件を追加した。

 同社が提出した報告書「再発防止策の実施状況に関する報告」では、この進捗状況を、AからDの項目に分類して全11項、56件の対策の現時点における進捗内訳を報告した。

A)2017年11月報告時点で実施済みの対策:計10件
B)2017年11月報告以降、現在までに実施済みの対策:計24件
C)計画立案済み、着手中の対策:計15件
D)計画立案中の対策:計7件(追加の3件含む)

 56件の再発防止策のうち現在までに実施済みの対策は計34件となり、また、完成検査を規格に準じて確実に実施するための対策は全て実施済みとした。

 そのほか実施済み、着手中、及び計画立案中の対策には完成検査における実施・管理の負荷軽減や円滑化、または完成検査員の知識の充実を図るための教育等の対策があり、未完了の対策は確実に実施すべく、継続して取り組んでいくとしている。

追加対策

権限基準ルールの整備:

 現在、重要な意思決定に工場が関わるための意思決定手順が明確に定められていない。工場が関わる経営の重要な意思決定事項に現場の実情を正確に反映させるため、意思決定手順のルールを策定。当社では意思決定手順は権限基準表(DOA)でルールを管理しており、DOAの中に必要なルールを制定していく。工場での人員や予算に関する提案プロセスの実態を調査し、その結果に基づき、工場と本社機能をつなぐオペレーションプロセスやルールの整備に取り組み始め、2018年12月までに整備を完了する予定。

APWの整備:

 生産現場ではこれまで培ってきた自動車製造における生産ノウハウを元に構築したAPW(アライアンス生産方式)を実践。このAPWの重要な構成要素に法令遵守の考え方を位置付けることとした。2018年度に改訂を行なえるよう、内容の修正を進めていく。

工場における職場環境改善:

 不適切な完成検査の実施を契機に、コンプライアンスに限らず、生産現場におけるリスク等の総点検を行なった。その結果を踏まえ、日本工場統括担当常務執行役員の下で職場環境の改善に取り組むことが、経営会議において承認された。具体的には、トイレや社員食堂、作業場空調や現場詰所等において、従業員が気持ちよく集中して働ける、より整った生活及び作業環境を提供するための改善対策につき、2018年4月末までに実施計画を策定。