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ランドローバーの新しい顔にサッカー日本代表・吉田麻也選手が就任。新ブランド・アンバサダー発表会レポート
北澤豪氏とともに激闘のロシアワールドカップを振り返るトークショー開催
2018年7月24日 20:42
- 2018年7月24日 発表
ジャガー・ランドローバー・ジャパン(ランドローバー)は7月24日、ランドローバーの新ブランド・アンバサダーにプロサッカー選手の吉田麻也氏を起用したことを発表。同日、東京 銀座に6月30日~9月24日の期間限定でオープンしている「JAGUAR LAND ROVER STUDIO」において、吉田選手を交えた発表会が開かれた。
吉田選手は2007年にJリーグ 名古屋グランパスエイトのトップチームに昇格。2009年にオランダ1部リーグVVVフェンロに移籍し、2012年からは英国プレミアリーグのサウサンプトンFCに所属。2017年には日本人として初めて英国のプレミアリーグで通算100試合出場を成し遂げるなど、高い守備力と豊富な運動量が特徴のプロサッカー選手。6月から7月にかけて行なわれたロシアワールドカップでは、対コロンビア戦で自身初のワールドカップ勝利を果たし、日本代表チームの決勝トーナメントへの進出に大きく貢献したのは記憶に新しい。
発表会に出席したランドローバー 代表取締役社長のマグナス・ハンソン氏は、「ランドローバーはイギリスの象徴的なブランドで、他のメーカーと異なりプレミアムなSUVの専門メーカーとして“どこにでも行ける”能力を持つクルマを作り続けてきたメーカーです」と紹介するとともに、吉田選手、そしてサッカー日本代表について「吉田選手は多くを語る必要がないほどの活躍を先のワールドカップで示しました。また、日本チームは吉田選手をはじめ期待を超える活躍をされ、それが日本の誇りと能力を世界に示した大会になりました」とコメント。
また、ランドローバーが掲げる哲学「ABOVE&BEYOND」(さらなる高みへ)と自分の限界を定めず常に高みを目指して挑戦する吉田選手の姿が重なっていることから、今回ブランド・アンバサダーに起用したと解説。ハンソン氏は「われわれランドローバーとともに、次のステップに向かって活躍いただきたいと思います。そしてランドローバーのクルマに乗ることで、より安全でより楽しい生活をしてさらにチャレンジができる助けができると考えています」として挨拶を締めくくった。
発表会ではサッカー解説者などを務める北澤豪氏が司会進行を務め、吉田選手からランドローバーの印象などが語られるとともに、激闘のロシアワールドカップについてが語られた。その模様を紹介する。
ヴェラールは品“も”ハンパない
北澤氏:ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任した気持ちはどうですか。やっぱりワールドカップで活躍するといいですね(笑)。
吉田選手:そうですね、いろんな付加価値が付きますよね(笑)。ずっと憧れのブランドでしたし、イギリスでは国産車ですがみんなが憧れるブランドで、誰もが乗りたいと思うクルマ。そんなブランドにこうしたお話をいただけたのは光栄ですし、嬉しく思います。プロに入ったばかりのときは先輩が乗っているのを見て憧れていましたし、TVや海外ドラマでもよく出てくるのでいつか乗ってみたいなと思っていました。
北澤氏:日本人としてプレミアリーグで活躍されているということで、(プレミアリーグの)選手たちはランドローバーをどう見ているのでしょう。
吉田選手:みんなすごいクルマに乗っているのですが、レンジローバー、ランドローバーは家族用に1台は持っています。一家に1台みたいな。とくにイギリス人はこのブランドへの憧れは強いと思います。アウェイのゲームに行っても、(対戦チームの)選手の駐車場には必ず6~7台はありますね。
北澤氏:こちらにあるヴェラールにも乗ったとのことですが、いかがでした?
吉田選手:いやー、乗り心地が本当にいいです。運転したときのスムーズさもいいですし、安定感もある。後ろに乗るのもいいですね。
北澤氏:お、運転手を付けての?
吉田選手:あ、それ言い方よくないですね(笑)。お父さんが運転して、後ろに子供たちがいるみたいなシチュエーションでも安定できると思いますし。僕も娘がいて、広くないと奥さんに「荷物が入らない」みたいなことをガンガン言われて大変なので、大きなクルマの方がやっぱり(いいですね)。僕自身も身体が大きいので、大きいクルマに乗る方がいいかなと思います。
北澤氏:インテリアはどうです?
吉田選手:(2つの10.2インチタッチスクリーンからなる最新のインフォテインメントシステム「Touch Pro Duo」について)タッチパネルの感度もいいですし、僕はこういう最先端のものが好きですね。エレガントなんだけどtoo muchじゃない、主張しすぎない洗練された感じが好きです。
北澤氏:品があるよね。
吉田選手:品はハンパないです。
北澤氏:品は?
吉田選手:品“も”ハンパないです(笑)。
北澤氏:普段クルマに乗る時間ってどう使われていますか?
吉田選手:たぶん家にいる時間、練習場にいる時間の次に長くいる時間なので、そこの質にはこだわっています。オンとオフを切り替える時間でもありますし、1人の空間って子供が産まれてからなかなか難しくなっているので、好きな音楽聞いたりBluetoothで電話しながら連絡事項を確認したり。自分が使いたい時間に使えているのかなと。
北澤氏:部屋のようですね。
吉田選手:このクルマは部屋と言っても過言ではないです。リビングでソファに座っている感覚で座れるので。
ベルギー戦の心境
北澤氏:ロシアワールドカップでの活躍も見事でした。いかがでしたか、今回のワールドカップは。
吉田選手:最低限の目標にしていた予選突破を達成できたという安心感はちょっと感じましたけど、個人的に目標にしていたのは“次のところ”(ベスト8)なので、正直悔しさの方が大きいです。日本の皆さんのリアクションと自分の中の感覚とのギャップが最初はすごくあったのですが、いろんな方に「ありがとう」「おめでとう」と言ってもらえるのはもちろん嬉しいですが、僕ら選手はもうちょっと現実的になって次に何が必要なのかというのを考えながら(2022年のカタールワールドカップまでの)4年間を突き進んでいきたいです。
北澤氏:ロシアワールドカップが終わって帰ってきて、まず何をしました?
吉田選手:帰ってきてみんな(選手、スタッフと)で焼肉に行きました。笑いあり涙ありな感じでひと時を楽しみました。
北澤氏:泣くというのは、そんな話題が?
吉田選手:スタッフの方なんかが話す機会もあって、長くやっているスタッフもいるし、僕らも長く一緒にやってきたのでそういう意味で感情的になってしまったのかなって。大体は楽しみましたけどね、長いことお酒も飲んでいなかったですし。お酒も飲んで、最後は週刊誌に撮られ(笑)。
北澤氏:(ロシアワールドカップに)行く前はちょっと選手の皆さん怒っていたじゃないですか、あまり注目されないとか批判的なことを言われたりして。どこからチームの状態がよくなってきたなと感じていました?
吉田選手:最後の(強化試合の)パラグアイ戦のあとくらいですね。監督が変わったりしてゴタゴタしていた中で、選手全員がガーナ戦、スイス戦を経てうまくいっていないと。これはやるしかないという追い込まれた状況になって覚悟が決まったかなと思います。パラグアイ戦で新しい選手がいいパフォーマンスを出せたことで監督が思い切った決断をしたと思いますし、何より初戦(コロンビア戦)に勝てたことが大きかったかなと思います。それで日本の皆さんの期待値も変わったと思いますし、僕らも勢いに乗れるきっかけになったと思います。
北澤氏:(コロンビア戦の)試合が始まる前にいける感触みたいのはあったのですか?
吉田選手:僕自身は(ワールドカップは)2回目の大会で、色々なことを想定して本当に初戦のコロンビア戦に向けて全てを賭ける準備をしていたので、落ち着いて試合に入れたかなと。もちろんラッキーなこともあって、レッドカードで相手(カルロス・サンチェス選手)が退場してPKで先制したという部分もありますけど、いい準備をした結果じゃないかと思います。
北澤氏:コロンビア戦に勝ったことでグループリーグを突破ができると感じられた?
吉田選手:続くセネガル戦に向けてしっかり考えただけです。あまり予選突破どうのこうのというよりかは、目の前のセネガルを倒さないと1戦目の価値が無意味になってしまうなという気持ちの方が強かったです。
北澤氏:どこかの試合でプレミアリーグで対戦している選手と試合後に話しているシーンなんかもあって、誰でしたっけ?
吉田選手:サディオ・マネ(セネガル代表)とかポーランドにもチームメイトがいますし、特にベルギーは何度も何度も対戦している選手がたくさんいたので、話をしたりユニフォーム交換したりがありました。
北澤氏:ベルギー戦の後だったか、誰かと抱き合いながら話をしていることもありました。
吉田選手:(元フランス代表でベルギー代表のコーチを務めた)ティエリ・アンリさんですね。面識はもちろん、長いことイングランドでプレーしているので一応挨拶しないとな、って。たまたま目の前にいたんです。だから「頑張ってください」って言ったら励ましの言葉をいただきました。「君たちは勝ちに値するパフォーマンスを出した。ただ、少しの運がなかっただけだ」と。まあ社交辞令ですね(笑)。
北澤氏:そんなこともないと思いますけど。そういう風に声をかけられてどうでした?
吉田選手:僕は悔しいけれどこれもサッカーだと。君たちが次のブラジルに勝つことを祈っていますと伝えました。
北澤氏:ベルギー戦で2-0になったときは「いける」って感じはあったのでしょうか。
吉田選手:そう思ってしまったのがよくなかったんじゃないかなと、個人的には思っています。2-0のままでOKという感覚になった瞬間に裏でボールをもらう回数が減り、セーフティな選択をするようになり、怖さがなくなって相手が前に出てくるきっかけを作ってしまった。横パスなんかのミスからシュートまでいかれるシーンもでてきましたし、特に相手がメンバーを変えてきた後にうまくそこに対応できなかった。
北澤氏:ただ予想していました? (ベルギーを相手に)2-0でリードできる状況を。
吉田選手:いや、個人的には90分を通して1-0、0-0、0-1なんていう考え方はしていましたが、2点先制するというのは深くイメージしていなかったですね。
北澤氏:2-0になった段階で「どうする?」みたいな混乱はなかった?
吉田選手:んー、まあ監督から(作戦を)変えるという指示はなかったですし、後ろ(DF)は特に集中しないといけないというのは分かっていたのですが、それでもバタバタしてしまった。アンラッキーなところから失点してしまい、そこから修正することができなかった点でいうと、やはり経験値というところが足らなかったなと思いましたし、2-0になった後のゲームマネジメントももっとうまくできたんじゃないかなと思っています。
北澤氏:1失点の段階ではまだ問題ないかなという状況だった?
吉田選手:そうですね、相手は前からきているからそれを奪ってカウンターで3点目を、それでゲームを決められたらという感覚でいたのですが、まあそこがうまくいかなかった。
北澤氏:ちょっとやばいなという思い始めたタイミングは?
吉田選手:(マルアン・)フェライニ選手が入ってきたところですかね。フェライニ選手と(ナセル・)シャドリ選手が入ってきたところからなかなか相手のリズムをこっちのリズムに持っていけなくなって、特にフェライニ選手は後半から入ってきて、中盤の選手なんですけど高さを活かして点を取るというのが得意なのは重々分かっていたので。まあ言ったらたらればになってしまうのですが、僕が(ロメル・)ルカク選手について行って、センタリングを上げられたときにフェライニ選手がフリーになっているのが一瞬見えたのですが、そこをカバーにいけなかったとか、3失点目のときコーナーキックをキャッチされてGKをブロックできなくて。まあこれもサッカーだと、ここから学ばなければいけないですし、レンジローバーと同じように走り続けなければいけないなと思います。
北澤氏:急にクルマの話がきましたね(笑)。
吉田選手:ちょっとサッカーの話が長かったかなと(笑)。
北澤氏:日本に帰国してから盛り上がりは感じました?
吉田選手:感じましたね、帰国した瞬間に感じました。成田空港に900~1000人のファンの方がきていただけたとのことで、ゲートをくぐった瞬間に度肝を抜かれましたね。
北澤氏:その後、オフのタイミングで声をかけられることもある?
吉田選手:めちゃめちゃかけられます! 2秒でばれます、大きいので。こないだ武藤(嘉紀)選手とレンジローバーに乗って運転していて、(クルマを止めて)出て表参道ヒルズに入るまでの道でばれました。
北澤氏:なんて声をかけられる?
吉田選手:僕、必ずフルネームで呼ばれるんですよ。「あ、吉田だ」じゃなくて「あ、吉田麻也だ」って。いやじゃないんですけどね、いい名前を付けてもらったと思っているので。
北澤氏:「お、レンジローバー乗ってるんだ」なんて言われたりしない? 乗っているクルマにも注目されるんじゃないですか?
吉田選手:そういう意味ではランドローバーさんに貢献できて嬉しいです(笑)。ただでさえ(大きいクルマだから)目立つじゃないですか。そこからさらにでかいやつが出てきて「ん? 見たことあるな」ってなります。
北澤氏:海外でディフェンダーで活躍するというのはなかなか難しいですが、吉田選手を見て「よし俺も」って人もいると思います。海外でディフェンダーとして活躍するには何が必要ですか?
吉田選手:やっぱり体格差を埋めないといけないので、地道なフィジカルトレーニングはもちろん必要ですし、そのフィジカルの差を埋めるための“賢さ”というのも大事になってきます。今はどんどん(プレーの)スピードがアップしていて、時間がない、スペースがない中でスピードも求められる。そういう意味では身体能力の高さ、メンタル面の強さ、もちろん語学も必要ですし、オールラウンダーじゃなきゃいけないのかなと思います。
北澤氏:指示も出していかないとならないし。
吉田選手:僕のポジションで指示を出すというのは非常に大事になってきます。個人的な意見では、Jリーグでやっている選手でも海外に行ける選手はいくらでもいると思っています。やっぱりネックになるのはコミュニケーションのところかなと。だから、今回(鹿島アントラーズ)の植田直通選手が海外に行きましたけど、ポテンシャル的には全く問題ないと思いますし、十分に自分を発揮できると思いますが、問題はコミュニケーションのところで、語学だったりスキンシップのところが大事になってくると思います。
北澤氏:今週、サッカー次期代表監督が決まる可能性があります。
吉田選手:北澤さんもう知っているんじゃないですか?
北澤氏:いやいや知らないです、そういう言い方やめてください(笑)。まあ監督がリーダーを決めていくことだと思いますが、自分の意思として自分がキャプテン、リーダーという意識はあるんじゃないですか。
吉田選手:プライベートでもこういう仕事の場でも言われますが、正直これは監督が決めることなので、監督も決まっていないのにどうこう言える状況じゃないですよね。僕のポジション、僕のキャリアの立場から考えると、どう考えてもチームをまとめていかなければならないポジション。今まで長谷部(誠)選手がキャプテンマークを付けていましたが、僕もリーダーの1人と思ってプレーしてきましたし、やるべきことは今までと同じようにやっていかなければと。
特に今回、本田(圭佑)選手や長谷部選手が代表引退を表明したので、ますます自分にかかる責任というのは大きくなると思いますし、立ち位置もより中心になってくると思います。より一層チームのことを考えられる選手にならないといけないなと思いますが、まずは新しい監督や選手に認められてしっかり代表に選ばれて結果を出せるように、来週からチームに戻って結果を出していくしかないです。
この後、吉田選手から今後の目標として「Best 8」と書かれたパネルが発表された。これはもちろん2022年のワールドカップでの目標であり、吉田選手も「これ以外考えられない」とコメント。ベスト8を目指してまい進していくことが宣言された。
なお、吉田選手のランドローバー・アンバサダー就任を記念して、7月26日~8月26日までJAGUAR LAND ROVER STUDIOに吉田選手直筆のサインボールや目標を記したパネルなどが展示される予定だ。