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三菱ふそう、「ふそうローンチアシスト」で発進も容易に。新4気筒エンジン搭載の中型トラック「ファイター」説明会
地場配送に焦点。6気筒エンジン車両比300kg減で積載量向上
2018年8月28日 12:49
- 2018年8月27日 実施
三菱ふそうトラック・バスは8月27日、中型トラック「ファイター」シリーズに、新開発の直列4気筒 3.9リッターディーゼルターボ「4V20」型エンジンを搭載したモデルを追加して発売。同日に説明会を実施した。
4V20型エンジンを搭載したファイターは車両総重量8tのモデルと、準中型免許で運転可能な同7.5tのモデルをラインアップする。従来からある6気筒エンジン車が長距離輸送を担い、新しい4気筒エンジン車は近距離輸送に最適なモデルとして提案する。車両総重量8t、ショートキャブ、リーフサス仕様の価格は729万5400円。
車両総重量8tクラス最大の積載量を実現
新たにラインアップに加わる新型の4気筒エンジンを搭載したファイターは、都市内における集配業務のニーズや環境意識の高まりを受け、同社の中型トラックのラインアップ強化を目的として開発されたモデル。平成28年排出ガス規制に適合し、平成27年度の重量車における燃費基準で+5%を達成しながら、排気量3.9リッターで最高出力125kW(170PS)、最大トルク520Nmを発揮する。トランスミッションは6速MTのみ。ショートキャブ、フルキャブ、広幅キャブ、エアサス仕様なども用意。排気ガス後処理装置にはBlueTecシステムを採用する。
従来型の排気量7.5リッターの6気筒エンジンを搭載する車両総重量8t以上のモデルと比べ、エンジン単体の重量のみでマイナス220kg、それに伴うサスペンションやタイヤの最適化などで計300kgの軽量化を果たし、積載量をその分増加させた。車両総重量8tの中型トラックとしてはクラストップの積載量を実現したとする。
4気筒エンジンモデルの主なターゲットは「地場・集配業務」。都市内における低速の近距離輸送においては、従来型の6気筒エンジンと比較してマイナス5%の燃料消費率(軽油+AdBlue)を達成する。ただし、平均車速45km/h程度の都市間輸送においては燃費の差はほとんどなく、高速道路を移動する長距離輸送では6気筒エンジンが10%上まわる。そのため、「ロングホールには6気筒を推奨し、地場配送には4気筒を推奨していくという販売施策をとる」(同社開発本部 恩田実氏)。
今回の新型車両で同社が最もこだわったのが「発進性」。さまざまなユーザーからのフィードバックでは、中型トラックにおいてクラッチミートタイミングの少しのズレでエンストしやすいという声が多く、特にコンパクトなエンジンは発進性の面で不利とされることから積極的に改善に取り組んだとのこと。
その改善策の1つが「ふそうローンチアシスト」。通常はアイドリング時のエンジン回転数が650rpm程度のところ、スイッチ操作の後にシフトをニュートラル以外にすることで800rpmに上昇させ、より発進しやすくする。これ以外に従来からある坂道発進補助装置「EZGO(イージーゴー)」も装備し、坂道発進における不安も一段と軽減できるとした。
同社は、これまでの6気筒エンジン車について、動力性能こそ高いものの、燃費性能や価格、積載量の面でライバルの後塵を拝していたと分析する。しかし、これに燃費性能や維持費、積載量に優れる4気筒エンジン車が加わることで、競合他社とも十分に戦えるラインアップになると期待している。
安全性についても他社が先行している状況だが、衝突防止補助システム「モービルアイ」や居眠り防止装置の追加についてはディーラーオプションで対応。最低限の安全性を確保するとともに、恩田氏はさらに安全性を高める新たな装備の開発も進行中だと述べた。