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【インディ500 2019】決勝レースレポート。ピット戦略を駆使するホンダ勢をスピードで抑え込んだパジェノー選手が初優勝
2019年5月27日 13:53
- 2019年5月26日(現地時間) 決勝開催
北米の最高峰モータースポーツ・シリーズ「NTT INDYCAR SERIES(インディカー・シリーズ)」第6戦となる「第103回 インディアナポリス500マイル・レース」(103RD RUNNING OF THE INDIANAPOLIS 500、インディ500)が、米国インディアナ州の州都インディアナポリス市にあるインディアナポリス・モータースピードウェイ(IMS)で5月14日~26日の13日間にわたって開催された。
決勝レース開催日となる26日だが、前日までの天気予報では雨の予報が出ていたインディアナポリス。早朝には雷雨に見舞われ、決勝レースが開催されるかどうか不安な状況だったが、時折晴れ間も見えるほどに天気が回復し、満員の観衆が見守る中でスタート時刻を迎えた。
パジェノー選手が終始レースをリード、佐藤選手はトラブルで後退
200周のレースは、パレードラップを経て12時49分にグリーンフラッグが振られスタート。ポールポジションのサイモン・パジェノー選手(ペンスキー/シボレー)がそのままレースをリードし、14番手スタートだった佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン/ホンダ)は12位にポジションアップしたところで、コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー/ホンダ)がストップし、フルコースイエローとなる。リスタートで佐藤選手は11位までポジションアップする。
32周を経過したところで、トップを走るパジェノー選手がピットイン。続々と上位勢がピットストップしていくなか、ピットインせずに走行を続けていた佐藤選手が37周目には暫定1位に躍り出た。
その後、佐藤選手もピットインし、タイヤ交換と給油を行ないコースに復帰したが、その直後にリアタイヤに異常を感じ、再びピットインしたため、31位まで順位を落とし、周回遅れとなってしまう。
50周経過時点でのトップ3は、パジェノー選手、ウィル・パワー選手(ペンスキー/シボレー)、エド・カーペンター選手(エド・カーペンター/シボレー)で、シボレー勢が上位を独占。
65周を走ったところでパジェノー選手が2度目のピットストップを行ない、上位勢も続々ピットインしていく。
74周目、カイル・カイザー選手(ユンコス/シボレー)がターン3の立ち上がりで姿勢を崩し、ターン4でクラッシュ。再びフルコースイエローとなる。
レースは80周目に再開され、この時点で佐藤選手は1周遅れの26位までポジションを戻していた。
ホンダ勢は燃費を稼ぐ作戦でじわじわポジションアップ
レースの中間地点となる99周を迎えたところで、トップを快走するパジェノー選手がピットイン。続いて上位のシボレー勢がピットストップするなか、燃費を稼ぐ作戦に出たホンダ勢がピットインを遅らせて上位に食い込んでくる。
ホンダ勢がピットストップを終えると、トップ3はパジェノー選手、アレクサンダー・ロッシ選手(アンドレッティ/ホンダ)、カーペンター選手の順となる。中でもロッシ選手はパジェノー選手の真後ろに迫り、敢えて抜かずに燃費を稼いでいるかの走りを続ける。
トップを走り続けたパジェノー選手は129周目にピットイン。対するロッシ選手は137周目までピットストップを伸ばすことに成功。ところが、ロッシ選手は給油ホースのトラブルで大きくタイムロスし、順位を落としてしまう。
そんななか、マーカス・エリクソン選手(アロー・シュミット・ピーターソン/ホンダ)がピットロードでスピンし、ピットウォールにぶつかりながらストップしてしまう。イエローフラッグが掲示され、トップ3はパジェノー選手、カーペンター選手、ジョセフ・ニューガーデン選手(ペンスキー/シボレー)となる。
ペースカー先導が続く中、佐藤選手はラップを戻し、トップと同一周回に復帰。レースは148周目に再開され、直後にはニューガーデン選手がパジェノー選手をパス。パジェノー選手は、ニューガーデン選手を抜き返そうとせず、燃費を稼ぐためか、しばらくニューガーデン選手の背後についたまま周回を重ねていく。
一方、ピットストップでのトラブルで順位を落としていたロッシ選手だが、周回遅れのオリオール・セルビア選手(アロー・シュミット・ピーターソン/ホンダ)に2度に渡ってピットウォールに幅寄せされ激怒。ここから猛烈な追い上げを見せていく。
その後、168周目にパジェノー選手、169周目にロッシ選手がそれぞれ最後のピットストップを行ない、その他の上位勢も続々とピットインしていく。ピットストップのシーケンスをずらしていた佐藤選手が暫定トップとなる。
佐藤選手はもう一度ピットストップする必要があるため、パジェノー選手とロッシ選手が実質的な優勝候補と目される状況に。178周目には、ロッシ選手がパジェノー選手をオーバーテイク。
多重クラッシュ発生で赤旗、佐藤選手にチャンスが訪れる
その直後、1コーナーでセバスチャン・ブルデー選手(デイル・コイン/ホンダ)とグレアム・レイホール選手(レイホール・レターマン・ラニガン/ホンダ)が接触。後続のチャーリー・キンボール選手(カーリン/シボレー)、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手(チップ・ガナッシ/ホンダ)、ザック・ビーチ選手(アンドレッティ/ホンダ)もクラッシュ。
ここで佐藤選手が絶妙のタイミングでピットインし、7位でコース復帰を果たすも、残り20周のところでクラッシュしたマシンの回収とコース整備のため赤旗が掲示され、レースは一時中断。生き残った各車はピットレーンに整列し、再開の時を待った。
この時点でのトップ3は、スペンサー・ピゴット選手(エド・カーペンター/シボレー)、ロッシ選手、パジェノー選手の順だが、残りの周回数を考えると、ピゴット選手は最後まで走りきる燃料がない。赤旗が解除され、ペースカー先導でリスタートとなるが、燃料が足りないピゴット選手らは早々にピットイン。佐藤選手は5位にポジションアップする。
残り13周(187周目)のところでレースが再開され、ここからロッシ選手とパジェノー選手が目まぐるしく順位を入れ替えるデッドヒートが繰り広げられる。その後方では、佐藤選手がニューガーデン選手、カーペンター選手を交わし3位に浮上。
198周目、ターン3でパジェノー選手がロッシ選手を交わしてトップに出ると、そのままポジションをキープしたままゴール。パジェノー選手がポール・トゥ・ウィンでインディ500初優勝を果たし、0.2086秒差でロッシ選手、0.3413秒差で佐藤選手が続いた。
シリーズランキングでは、パジェノー選手が250ポイントで1位、ニューガーデン選手が249ポイントで2位、ロッシ選手が228ポイントで3位。佐藤選手も203ポイントで4位につけており、念願のシリーズチャンピオンの獲得を視野に入れている。