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【インディ500 2019】3位フィニッシュの佐藤琢磨選手囲み取材

「チームに感謝。今回は赤旗中に寝なかった」

2019年5月26日(現地時間) 決勝開催

レース後に囲み取材に応じる佐藤琢磨選手

 北米の最高峰モータースポーツ・シリーズ「NTT INDYCAR SERIES(インディカー・シリーズ)」第6戦となる「第103回 インディアナポリス500マイル・レース」(103RD RUNNING OF THE INDIANAPOLIS 500、インディ500)が、米国インディアナ州の州都インディアナポリス市にあるインディアナポリス・モータースピードウェイ(IMS)で5月14日~26日(現地時間)の13日間にわたって開催された。

 最終日の26日に開催された決勝レースを3位で終えた佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン/ホンダ)が囲み取材に応じた。

――事前のインタビューで最後まで諦めないところを見てほしいと話されていましたね。

佐藤琢磨選手:そうですね。本当に最後まで何が起きるか分からないのがインディ500の素晴らしいところだと思うし、チームの懸命なストラテジーとピットストップでラップバックしてもらえたというのは、本当に感謝しかないですね。

――序盤のピットストップでトラブルがあったようですが。

佐藤選手:何かリアタイヤがおかしくて、アウトラップのターン3でもうスピンしそうになっちゃって、1周様子を見たんだけど、あまりにも危なかったので、戻ってタイヤ交換したんですけど、それによって周回遅れになってしまったときは、いや厳しいな、と。すぐイエローが出てラップバックできたらよかったんだけど、リードラップに戻るのに100周以上かかっていると思うので、一瞬厳しかったけど、やっぱり最後までプッシュし続けました。

――11位から31位に落ちて、かなり厳しい状況になりましたが、ドライバーとしてはできることはどういったことだったのでしょうか。

佐藤選手:もうとにかくアクシデントに巻き込まれないということと、きっちりとスティントを通してタイヤをいたわりながら、どのようにペース配分するかというのを学ぶっていう。前を抜いても抜いても順位は変わらないわけですね、周回遅れなので。だから、あのスティントで4台か5台は抜いたと思うんだけど、順位は変わらないと。リスクをかけて抜くよりも、どうやって抜くかとか、抜くなかでタイヤがどう変化していくかというのを勉強して、最後リードラップに戻ってからに生かすという走り方に変えていました。

 とにかくピットストップのシーケンスを変えるしかなかったので、赤旗というか、あのアクシデントによって順位が上がったというのは、ある意味、純粋な幸運だったと思うんですけど、そういう幸運に備えるための3~6回目のピットストップだったので、最後の7~8につながる、チームとしても素晴らしい仕事をしたと思うし、本当に感謝したいです。

――優勝はできませんでしたが、ドライバーとして満足感はありますか。

佐藤選手:最後、P6(6位)かP7(7位)か分かんないけど、残り10周くらいで。狙っていましたよ、もちろん(笑)。だからアウトから思いっきり行ったし、ニューガーデンもカーペンターも速かったから。だけど、何しろサイモンが今回のグランプリは、インディGPから今回の500でポールポジションも取って、そして今回も優勝したと、すごい強かったので、アレックスにとにかく食らいついて、何とかして抜こうと思って最大限ツールも使ったし、自分の持てる力を精一杯振り絞ったんですけど、ちょっと届かなかったのは残念。でも、状況を考えれば、3位まで上がれたというのは、本当にチームが素晴らしい仕事をしたと思いますね。

――レッドフラッグの中断中にはどう過ごされていたんですか。

佐藤選手:今回は寝なかったですね(笑)。でも、いろいろ考えながら、気温が上がってきたなとか、太陽が出てきて路面温度が上がるから、上位でリスタートできるというのはすごく助かったな、というふうには思ったけど、前にはペンスキーが3台もいたし、どれぐらい食らいつけるかは正直分からなかったんだけど、やるだけやろうと思いました。

――残りのシーズンに向けて弾みがつきましたね。

佐藤選手:そうですね。今シーズンは序盤からとにかく攻めの姿勢を貫いて、勝利も一つ重ねて、今回の500は叶わなかったけど、しっかりとダブルポイントでシーズンという大きなスパンで考えれば、今日のポイントというのは非常に大事になると思うので、残りのシーズンも全力でやりたいです。

――今日、これだけ走れたというのは、最初にスタートするときのクルマがよいできだったということでいいのでしょうか。

佐藤選手:そうですね。やっぱりカーブ・デイから、上り調子だったクルマというのは今日もしっかりと証明されたと思うし、まあ、コンディションの中で1回目のピットストップの問題が無ければ、もうちょっと上位にいた可能性もありますね。ただ、ここから上というのは、ほとんど変わらない。アレックスとの順位がもしかしたら変わったかもしれないぐらいで、サイモンはとにかく速かった。トップであんなに蛇行しながらあの速度を維持できるというのは、僕ら無理だったので、それはもう圧勝でしたね。

――周回遅れになりつつ、最後にはトップも見えましたが、そのときの気分は?

佐藤選手:んー、もうやってやるぜ、という感じで(笑)、メラメラと闘志は持ってましたけど、現実を見ていたので、無理して2位を狙ってスピンしても仕方ないし、クルマはでもすごい滑ってた。オンボード(カメラ)付いていないのが残念だったけど、みんな見たらびっくりするぐらいカウンター当てながら最後の8周ぐらい走ってたと思うんだけど、それは前を見ていてもアレックスも同じだったし、とにかく全力で走れたという意味では、そういうクルマを作り上げてくれたエディ(エンジニア)をはじめ、チームスタッフ全員に感謝したいし、ピットストップでの問題も含めて、今日は反省点も多かったんだけど、最終的に予選14位で終えたスピードのクルマを3位まで運べたというのは、完全なチーム力だと思うので、そういう意味ではシーズン中盤から後半に向けて、もっともっと上を見ていきたいですね。