ニュース
フォルクスワーゲン、鈴鹿サーキットで600台限定モデル「ゴルフ GTI TCR」発表会
ベンジャミン・ロイヒター選手「ゴルフ GTI TCRはレーシングカーと65%同じパーツを使用」
2019年11月2日 11:26
- 2019年10月25日 受注開始(納車は11月以降を予定)
- 509万8000円
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは10月25日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで記者会見を行ない、同社のホットハッチ「ゴルフ GTI」の限定車となる「ゴルフ GTI TCR」を発表した。ゴルフ GTI TCRは日本では600台限定での販売で、価格は509万8000円。
「TCR」のネーミングは10月24日~10月26日に鈴鹿サーキットで日本ラウンドが行なわれたツーリングカーのFIAカップレースとなるWTCR(FIA ワールド・ツーリングカー・カップ)から取られており、フォルクスワーゲンがWTCRシリーズ向けに提供しているレーシングカー「ゴルフ GTI TCR」(同名)のストリートバージョンという位置付けとなる。
会見ではフォルクスワーゲン グループ ジャパン 代表取締役社長のティル・シェア氏も登壇したほか、フォルクスワーゲン グループ ジャパン 営業本部 商品企画課 シニアマネージャーのゾンケ・フォルシャー氏が商品概要について説明を行なった。また、記者会見の後半にはゴルフ GTI TCR を駆ってWTCRに参戦しているベンジャミン・ロイヒター選手、フォルクスワーゲン モータースポーツ・ダイレクター スベン・スミーツ氏がモータースポーツジャーナリスト高橋二郎氏の司会でトークショーを行なった。
ゴルフ GTIの特別仕様車であり、ゴルフ GTI TCRのストリートバージョンでもある
今回、フォルクスワーゲンが発表したゴルフ GTI TCRは、第7世代のゴルフ GTIの特別仕様車となる車両だ。ゴルフはフォルクスワーゲンのアイコンとも言うべきホットハッチで、GTIはその中でもハイパフォーマンスな仕様となっているが、ゴルフ GTI TCRはそのGTIをさらに強化した特別仕様車となる。
なお、諸元などに関しては別記事を参照していただきたいが、このゴルフ GTI TCRは、WTCRやTCR JAPANなどの、いわゆるTCR規格のツーリングカーレース向けにフォルクスワーゲンがレーシングチームなどに販売しているゴルフ GTI TCRと同名で、そのストリートバージョンという位置付け。レーシングバージョンはサーキットしか走れないが、ストリートバージョンはもちろんナンバーを取得することが可能で、公道を走ることができることが最大の違いとなる。
発表会に登壇したフォルクスワーゲン グループ ジャパン 代表取締役社長のティル・シェア氏は、「ゴルフはフォルクスワーゲンを代表するブランドの1つ。そしてGTIの3文字はハイパフォーマンスを意味する文字列として定着している。そして、今回はそのGTIに加えて、TCRという3文字を追加することにした。言うまでもなく、TCRが意味するところはWTCRに代表されるようなレーシングであり、われわれは2018年にグローバルでGTIにTCR版を追加すると発表しており、今回ゴルフ GTI TCRを発表することになった」と述べ、ハイパフォーマンスを意味するGTIに、レーシングを連想させるTCRという名前を冠した製品がゴルフ GTI TCRだと説明した。
GTI版と比較して出力が60PS、トルクが30Nm向上
フォルクスワーゲン グループ ジャパン 営業本部 商品企画課 シニアマネージャーのゾンケ・フォルシャー氏は、ゴルフ GTI TCRの商品紹介を行なった。
フォルシャー氏によれば、搭載する直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンの最大出力は213kW(290PS)/5400-6500rpmで、GTIと比べて60PSの強化を実現。最大トルクは380Nm(38.7kgm)/1950-5300rpmで、こちらもGTIに比べて30Nmの強化が図られた。なお、最高速は260km/hで、ドイツ国内で行なわれた0-100km/h加速では5.6秒というタイムを計測したという。トランスミッションは7速DSGで、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロック、大型のブレーキシステムなどを装備する。
また、チタン製のエキゾーストシステムなども採用ており、「それによりエンジンサウンドがエキサイティングになるし、重量も減る」とアピールした。
さらにエクステリアでは19インチのマットブラックアルミホイール、ドアを開けた時にTCRのロゴがプロジェクションされる機能、TCRロゴのサイドデカール、リアスポイラーに追加されるフラップ、リアディフューザー、ブラックペイントサイドミラーなどの特徴が説明された。
内装に関してはシートやシフトノブ、さらにはハンドルにも赤いストライプのアクセントが入れられた。また、シートの素材も専用ファブリック・マイクロフリースになっており、より高級感のあるシートに仕上げられている。ボディカラーはピュアグレイ/ブラックルーフ、ピュアホワイト/ブラックルーフ、トルネードレッド/ブラックルーフ、ディープブラックパールエフェクトの4色展開。
ゴルフ GTI TCRはレーシングバージョンと65%同じパーツを使用
記者会見の後半には、ゴルフ GTI TCRを駆ってWTCRに参戦しているベンジャミン・ロイヒター選手、フォルクスワーゲン モータースポーツ・ダイレクター スベン・スミーツ氏がモータースポーツジャーナリスト高橋二郎氏の司会でトークショーを行なった。
――今回の来日は何回目?
ロイヒター選手:初めてだ。
スミーツ氏:2005年以来。
――ロイヒター選手、ストリートバージョンの開発にも関わったと聞いているが?
ロイヒター選手:その通りで、非常に素晴らしいクルマだ。優秀なエンジニアが開発に関わっており、ストリートカーの開発はレース活動にも大きく役立っている。
――ストリートカーとレーシングカー開発の違いは?
ロイヒター選手:ストリートバージョンの65%はレーシングカーと同じパーツが利用されている。特にこのクルマでは同じエンジンがそのまま利用されており、ストリートバージョンのカスタマーもレーシングカーのそれを体験できる。
――ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでラップレコードをマークしたと聞いているが?
ロイヒター選手:2016年にFF車のラップレコードをマークした。Club Sports SというGTIのスペシャルバージョンで、ブレーキが本当にすごかった。今回のTCRにも同じブレーキディスクやパッドが使われている。
――GTIとTCRの違いは?
ロイヒター選手:GTIとTCRを比較すると、サスペンションが大きく違う。サーキットで走らせればサスペンションの違いを感じてもらうことができる。また、ブレーキも大きな違いだ。パワーユニットが大きくパフォーマンスアップしているので、安全性を確保するためにブレーキディスクやパッドが強化されていて、きっちり止めることが可能だ。
――ロードカーを開発する上でのポイントは?
ロイヒター選手:エンジンやブレーキの話をしたが、パワーがあるだけではダメ。サスペンションがそれを受け止められないといけないし、ブレーキがどんなコンディションでもそのパワーをちゃんと止められないといけない。そういうパッケージングが重要だ。
――スミーツ氏に。フォルクスワーゲングループは、フォルクスワーゲン、アウディ、セアトという3つのブランドをTCRで使っている。
スミーツ氏:3つのブランドで基本となる部分を共同開発し、その後それぞれのブランドのクルマを構築してユーザーに販売している。エンジン、ギヤボックス、サスペンションなどは共通パーツだ。
――昨日(10月23日)に第8世代のゴルフがグローバルで発表されたが、将来的にこの第8世代のゴルフベースのTCRモデルが出るのだろうか?
スミーツ氏:概ね半年すればGTIモデルが出て、その後TCRが出ることになると思うが、私は市販車の担当ではないので具体的なスケジュールは分からない。レースカーに関しては、先週に欧州ですでにテストしている。大きな違いは空力、ギヤボックス、サスペンションなどだ。
――今日(10月24日)は荒天の中でWTCRの予選が行なわれた。
ロイヒター選手:すごく面白い予選だった、毎ラップコンディションが変わる中で、みんなフラットアウトでいくしかなくて、あとはタイミング次第でタイムが出るという状況だった。
――多くの選手が飛び出していたけど?
ロイヒター選手:自分は深刻な飛び出しはなかった。今日はアクアプレーニングもあったし、大変な状況だった。新しいタイヤをつけて出たら赤旗になったりとか。