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伝説的な人気を誇った「TRD 3000GT」を彷彿とさせる「GR Supra 3000GT CONCEPT」がSEMA SHOWで登場

2019年11月5日(現地時間) 公開

TCDが開発したGR SUPRA 3000GT CONCEPT。直列6気筒 3.0リッターエンジンを搭載し、最高出力355HP、最大トルク365lb-ft(50.3kgfm)とアナウンスされている

「TRD」と「MODELLISTA」ブランドを展開するTCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)は、SEMA SHOW 2019において「GR SUPRA 3000GT CONCEPT」の世界初公開を実施。北米トヨタブースはGRスープラ一色に染められていて、その中にGR SUPRA 3000GT CONCEPTの姿もあった。

 TRDは80スープラをベースにした「TRD 3000GT」を、1994年の東京オートサロンで発表した。当時の全日本GT選手権に参戦していたスープラをそのままロードゴーイングカーに仕立てたのが「TRD 3000GT」で、拡幅されたオーバーフェンダーや冷却性能を向上させる大きなダクトを設けたフロントバンパー、空力特性を意識した各部のエアロパーツが特徴となっていた。ワイドボディキットは当時としては破格の92万5000円というプライスタグで、各エアロパーツも10万円を超えるものが多かったが人気を博し、伝説的なモデルとして語り継がれている。

 90スープラが登場した時点で、TCD内でも3000GTを復活させたいという意見があり、今回の「GR SUPRA 3000GT CONCEPT」の開発がスタートしたという。なぜ、SEMA SHOWでの公開となったかというと、TRD 3000GTは映画のワイルド・スピードで登場したことでアメリカでも認知度があり、パーツは日本から輸出され販売されていた。そして90スープラの最大の市場となるのが北米で、会場での反応やリサーチの意味でもアメリカを初公開の場として選んだようだ。

フロントスポイラーは、すでに市販化されているTRDのGRフロントスポイラーのセンター部分にリップを追加している
TRD 3000GTのオマージュとして同形状のエアロボンネットを採用

 GR SUPRA 3000GT CONCEPT は、TRD 3000GTへのオマージュを各部に見受けることができる。やはり最大の特徴となるのはオーバーフェンダーで、デザインこそ当時と異なるが外観のキーとなるこの部分は踏襲された。また、ボンネットのダクトはほぼ同じ形状となっていて、リアウイングも全幅に合わせてサイズは調整したが、翼端板やウイングステーの一部が同意匠となる。これらの外装パーツは、TRD 3000GTを成型して生産した協力会社が今回も担当しているそうで、製作面でもレガシーを大事にしていることが分かる。

サイドスカートとサイドドアガーニッシュは、一部の加工は行なっているが市販化しているものを使っている
ミラーは空力特性を意識した専用品

 サイドスカートやサイドドアガーニッシュ、リアサイドスポイラー、トランクスポイラーはすでにTRDが市販化しているパーツを装着していて、フロントスポイラーも一部を流用するなど、コンセプトモデルだが市販化を大いに想定していることが伺える。

GR SUPRA 3000GT CONCEPTの特徴のひとつとなるオーバーフェンダー。スポーティなデザインや冷却性能などを考慮して作り上げられた
リアはトランクスポイラーとウイング、リアサイドスポイラーなどで構成している。リアウイングは、TRD 3000GTで用いたデザインがベースとなる。マフラーはHKS製のカスタムエキゾーストを装着

 国内ですべての開発と企画を行なったGR SUPRA 3000GT CONCEPTは、メイドインジャパンにこだわったモデルでもある。機能パーツは、サスペンションがTEIN、マフラーはHKS、ブレーキはBrenboジャパン、ホイールはTWS、シートはBRIDEと各アフターメーカーの協力を得て製作。発表の場所はアメリカになったが、日本のパーツメーカーなどの英知を結集させて作り上げたのだ。

ホイールはTWS・RS317の19インチを装着。タイヤはTOYOでフロントが265/30R19、リアが285/35R19。ブレーキはbremboの6ピストンキャリーパー、サスペンションはTEINのCustom Street Advance Z Coil-overをセットした

 現状ではコンセプトカーのため法規などに合わせた意匠にはなっていないが、市販パーツをさまざまな箇所に装備していることから判断すると、市販化も遠くはないのかもしれない。まずはSEMA SHOWでの反応を確認して、販売へ向けて進んでいくようだ。