ニュース

トヨタ、BMWとの提携で生まれた新型「スープラ」発売。490万円から

6気筒モデルの2019年度生産分24台を6月14日までWeb限定受け付け

2019年5月17日 発売

490万円~690万円

17年ぶりの復活となる新型「スープラ」

 トヨタ自動車は5月17日、新型スポーツクーペ「スープラ(Supra)」を発売した。価格は490万円~690万円。トヨタではこの発売に合わせ、上級グレード「RZ」で専用色「マットストームグレーメタリック」(32万円高)のボディカラーを採用する2019年度生産分24台について、同日から6月14日までの約1か月間に専用Webサイト限定で商談申し込みを受け付ける。商談順については抽選のうえ、新型スープラをベースとしたマシンも出場する「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」のレース決勝当日となる6月22日~23日に発表される。

 スープラは「セリカ XX」の車名で1978年4月に初代モデルがデビュー。1986年2月に発売された3代目からは輸出名として使われていたスープラに車名を統一し、2002年まで販売を継続していた。5代目に位置付けられる新型スープラは17年ぶりの復活となる。

 なお、国土交通省届け出の正式な車名はスープラだが、2018年3月のジュネーブ国際自動車ショーで公開された「GR Supra Racing Concept」以来使用されてきた「GR Supra」の呼び名は、今後も“マーケティング活動における名称”として利用されるとのこと。

新型スープラの走行イメージ
2019年度生産分となる「RZ」24台の商談申し込み受付中

 歴代スープラで培ってきた「直列6気筒エンジン」「後輪駆動(FR)」というエッセンスを継承しつつ、新たに「ホイールベース、トレッド、重心高」という3つの基本要素にこだわった設計で「ピュアスポーツカーにふさわしいハンドリング性能を実現した」としている。

 5代目スープラは2012年6月にBMWと結んだ包括提携で生み出された初めてのモデルとなっており、生産はオーストリアにあるマグナ・シュタイヤーのグラーツ工場で実施。日本には生産後に船便で運ばれ、トヨタ自動車 元町工場を経由してユーザーに届けられるという。

モデルエンジン変速機駆動方式価格WLTCモード燃費
SZ直列4気筒 2.0リッター直噴ターボ(197PS/320Nm)8速AT2WD(FR)4,900,000円13.1km/L
SZ-R直列4気筒 2.0リッター直噴ターボ(258PS/400Nm)5,900,000円12.7km/L
RZ直列6気筒 3.0リッター直噴ターボ(340PS/500Nm)6,900,000円12.2km/L
SZ
SZ-R
RZ
新型スープラの透視図

“ピュアスポーツカーにふさわしいハンドリング”を実現するためのパッケージングでは、2シーター仕様とすることでホイールベースをコンパクトスポーツカー「86(ハチロク)」より100mm短い2470mmに設定。「1に近づくほど機動性(回頭性)が高まる」とされるホイールベースとトレッドの比率はSZが1.54、SZ-RとRZが1.55となっており、ほかの量産スポーツカーと比較してトップレベルとなる低い数値を実現しているという。さらに重心高も低く抑え、コーナーリング性能で重要な要素になる前後重量バランスは50:50を達成している。

 ボディ剛性の面でも走行性能を最優先して、アルミニウムと鉄を適材適所で使い分けた骨格構造に、太くストレートな骨格を設定。異なる素材同士の接合強度を追求したことで、86の2.5倍となり、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)でキャビンを構成するレクサス「LFA」をも上まわるボディ剛性を実現している。

 足まわりではバネ下重量の低減、高い組み付け剛性によって精密な車両コントロールを追究するべくサスペンションを新設計。フロントにマクファーソン式、リアにマルチリンク式を採用し、フロント側のサスペンションとサブフレームはアルミニウム製として、前後重量配分の適正化に貢献している。また、SZ-RとRZは走行性能と乗り心地を高い次元で両立させるため、選択している走行モードや路面状況に応じてショックアブソーバーの減衰力を連続的に最適制御する「AVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)」を標準装備している。

 さらにSZ-RとRZでは、VSC(車両安定性制御システム)とも連携し、後輪の左右間ロック率を電子制御多板クラッチにより0~100の範囲内で連続的に最適制御して、高いコーナーリング速度と安定性、ニュートラルなステアリング特性を実現する「アクティブディファレンシャル」も採用している。

 ブレーキはSZとSZ-Rで前後17インチアルミフローティングキャリパーと330mm径ブレーキディスクを採用し、RZではフロントにブレンボ製の17インチアルミモノブロック対向4ピストンキャリパーと348mm径ブレーキディスク、リアに17インチアルミフローティングキャリパーと345mm径ブレーキディスクを標準装備する。

SZとSZ-Rのボディサイズは4380×1865×1295mm(全長×全幅×全高)で、RZは全高が1290mmとなる。ホイールベースは2470mm
車両重量はSZが1410kg、SZ-Rが1450kg、RZが1520kg
フロント(左)にマクファーソン式、リア(中央)にマルチリンク式を採用する足まわりは、バネ下重量の低減と高い組み付け剛性を実現
センターコンソールに「スポーツモード」のモード選択スイッチをレイアウト
SZのタイヤサイズはフロント225/50R17、リア255/45R17。タイヤはランフラットタイヤとなる
SZ-Rのタイヤサイズはフロント255/40ZR18、リア275/40ZR18。アルミホイールは切削光輝+ブラック塗装仕様
RZのタイヤサイズはフロント255/35ZR19、リア275/35ZR19。アルミホイールは鍛造タイプとなる
SZとSZ-Rは前後17インチアルミフローティングキャリパーと330mm径ブレーキディスクを採用
RZはフロントにブレンボ製の17インチアルミモノブロック対向4ピストンキャリパーと348mm径ブレーキディスク、リアに17インチアルミフローティングキャリパーと345mm径ブレーキディスクを標準装備。キャリパーはレッド塗装

 搭載エンジンは2.0リッターの直列4気筒 直噴ツインスクロールターボ「B48」型と3.0リッターの直列6気筒 直噴ツインスクロールターボ「B58」型の2種類。B48型はグレードによってチューニングが異なり、SZ搭載エンジンでは最高出力145kW(197PS)/4500rpm、最大トルク320Nm(32.7kgfm)/1450-4200rpmを、SZ-R搭載エンジンでは最高出力190kW(258PS)/5000rpm、最大トルク400Nm(40.8kgfm)/1550-4400rpmを発生。

 歴代スープラの伝統を継承する6気筒のB58型では最高出力250kW(340PS)/5000rpm、最大トルク500Nm(51.0kgfm)/1600-4500rpmを発生する。トランスミッションは全車でパドルシフト対応の8速スポーツATを組み合わせて後輪を駆動。WLTCモード燃費はSZが13.1km/L、SZ-Rが12.7km/L、RZが12.2km/Lとなる。

直列4気筒 2.0リッター直噴ツインスクロールターボ「B48」型エンジン
直列6気筒 3.0リッター直噴ツインスクロールターボ「B58」型エンジン
パドルシフトに対応する8速スポーツATを全車で採用

 外観デザインではスポーツカーとしてのパッケージやレイアウトが持つ特徴を十分に生かし、「トヨタスポーツのフラグシップモデルにふさわしいスポーツスタイル」を提案。2シーターモデルらしいタイトなキャビンとワイドトレッドによる「スーパーワイドスタンス」を特徴としている。

 性能に対する貢献としても、エアロダイナミクスの中でリフト(揚力)の発生低減を目指した造形が与えられ、フロントとリアの空力バランス、重量バランスといったスポーツカーで重視されるポイントに対して最適化。ルーフには空気抵抗を低減する「ダブルバブルルーフ」を採用している。

 ボディカラーではRZ専用色となるマットストームグレーメタリックに加え、スポーティで鮮やかな「ライトニングイエロー」の2色を新規開発。全8色をラインアップしている。

外観デザインで「トヨタスポーツのフラグシップモデルにふさわしいスポーツスタイル」を提案
RZ専用色のマットストームグレーメタリック
新規開発された「ライトニングイエロー」(3万2400円高)
SZを含め全グレードで選択可能な「ホワイトメタリック」
SZを含め全グレードで選択可能な「ブラックメタリック」
SZを含め全グレードで選択可能な「プロミネンスレッド」
「ディープブルーメタリック」
「シルバーメタリック」
「アイスグレーメタリック」

 インテリアでもスポーツ走行時に配慮して、車両の姿勢変化を把握しやすいよう水平基調のインパネデザインを採用。メーターパネルやHUD、パドルシフト、ステアリングスイッチといった視認・操作系のエレメントをドライバー集中配置。メーターパネルには8.8インチ高精細カラーモニターを使用している。

 シートは腰部分を中心に体を保持できるようホールド性にこだわったハイバックタイプのシートを採用。シート表皮はSZがファブリック、SZ-RとRZがアルカンターラ+本革のコンビネーションタイプとなり、RZでは8万1000円高の本革シートをメーカーオプション設定している。

RZのインテリア
インパネ中央に8.8インチタッチディスプレイの「Toyota Supra Connect HDDナビゲーションシステム」を設置
2シーターでラゲッジスペースは奥行きがあるスタイルとなる
SZで採用するファブリックシート
SZ-Rはブラックのアルカンターラ+本革シートを採用
RZは「イグニッションレッド」のアルカンターラ+本革シートを採用
RZに8万1000円高でメーカーオプション設定される本革シート

 先進技術を使ってクルマの新しい楽しみ方を提案するため、GAZOO Racingのテクノロジーをフィードバックした車両情報記録装置「TOYOTA GAZOO Racing Recorder」を販売店装着オプションとしてラインアップ。アクセル、ブレーキ、ステアリング、シフトポジションといったドライバーの運転操作、車速、エンジン回転数、加速度などの各種センサー数値、車両の位置と方向などの各種情報をSDメモリーカードに保存。カードに記録された情報は、専用アプリ「GAZOO Racing Data Viewer」を使って確認可能。

 最大で2つの動画として表示でき、ソニー製のアクションカム「FDR-X3000」「FDR-X3000R」などの推奨アクションカムで録画した動画であれば、記録情報と自動で時間同期して再生可能となっている。さらに「Microsoft Bing Maps」上に走行軌跡を表示・再生することも可能。

 これに加えて全車で車載通信機の「DCM」を標準装備しており、スープラ専用のコネクティッドサービス「Toyota Supra Connect」を利用可能。iPhoneに対応する専用アプリなどを利用して車両の遠隔操作や確認などができる「リモートサービス」、バッテリーの電圧低下を検知してメールで通知する「バッテリーガード」などを利用できる。

 先進安全技術では、ミリ波レーダーと単眼カメラを使って昼間の歩行者や自転車に乗る人を検知し、衝突回避支援、被害低減などを図る「プリクラッシュセーフティ」、隣接する車線で自車の死角を走る車両を検知する「ブラインドスポットモニター」、車線を逸脱しそうな状況でステアリング操作をアシストする「レーンディパーチャーアラート」、先行車の追従走行をアシストする「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」などを採用。

 このほかにも「アダプティブハイビームシステム」などを標準装備しており、経済産業省や国土交通省などが推進する安全運転サポート車のうち、高齢運転者にとくに推奨する「セーフティ・サポートカーS(通称:サポカーS)」の「ワイド」となっている。

販売店装着オプションとなる車両情報記録装置「TOYOTA GAZOO Racing Recorder」
専用のコネクティッドサービス「Toyota Supra Connect」に対応するほか、センターコンソールのタッチディスプレイでiPhoneを操作できるApple CarPlayにも対応
「リモートサービス」ではiPhoneの専用アプリを使い、車両の遠隔操作などどが可能