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BMWとの協業からトヨタが得たものとは? 新型「スープラ」についてGAZOO Racing Company 友山茂樹プレジデントに聞く

2019年5月17日 開催

トヨタ自動車 副社長 兼 GAZOO Racing Company プレジデントの友山茂樹氏に、新型スポーツクーペ「スープラ」にまつわる話をうかがった

 トヨタ自動車は5月17日、新型スポーツクーペ「スープラ」の記者発表会を東京 お台場にある「MEGA WEB(メガウェブ)」で開催した。

 新型スープラの概要は「トヨタ、BMWとの提携で生まれた新型『スープラ』発売。490万円から」、発表会の模様は「『ファントゥドライブの真髄をご堪能いただきたい』。トヨタ新型『スープラ』発表会」に詳しいが、先代スープラは2002年に販売を終了しており、5代目に当たる今回の新型スープラは実に17年ぶりの復活となる。

 そのため、トヨタは5月17日~19日の3日間にわたってメガウェブで新型スープラの日本発売を待つファンに向けたイベント「Supra is back to Japan Fes」を開催。会場各所やスタッフTシャツに「Supra is back.」の文字が描かれ、スープラファンとともにその復活を大いに祝っていた。

 その新型スープラはBMWとの提携で生まれた初のモデルで、生産はオーストリアにあるマグナ・シュタイヤーのグラーツ工場で行なわれる。日本には生産後に船便で運ばれ、トヨタ自動車 元町工場を経由してユーザーに届けられる流れになっている。

 発表会当日、トヨタ自動車 副社長 兼 GAZOO Racing Company プレジデントの友山茂樹氏のグループインタビューが行なわれた。新型スープラやBMWとの提携などについて聞いたので、その模様をお届けする。

5月17日に発売となった新型スポーツクーペ「スープラ」

BMWと提携してよかった点

友山氏はGAZOO Racing Companyのプレジデント、コネクティッド Companyのプレジデント、そしてトヨタ生産方式(TPS)の担当副社長を務めるトヨタのキーマン

――「スープラをまた作ろうよ」という話を友山さんが聞かれた状況と、そのときのお気持ちを教えてください。

友山氏:そうですね、2007年にモリゾウ(トヨタ自動車 代表取締役社長の豊田章男氏)がニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦したのですが、その6年前くらいから運転訓練をしていたのです。そのとき初対面したマスタードライバーの成瀬(故・成瀬弘氏)に「俺たちは命を懸けてクルマを作っているんだ。クルマの運転もできないやつにとやかく言われたくない」と言われ、それから成瀬に運転を習うようになりました。

 その中で、ニュルブルクリンクで運転訓練するというときに(豊田社長が)成瀬から「ここで走れるクルマはトヨタでは中古のスープラしかない」と言われたとき、おそらく豊田は自分が社長になったときにスープラを復活させることを成瀬と約束したのです。2009年に豊田が社長になり、2010年6月24日に初めての株主総会を迎えたのですが、その前日、テスト車の試験中に成瀬は事故で亡くなりました。それから品質問題や東日本大震災があって、スープラ復活どころではなかった。そして2013年にスープラを復活させる契約をBMWとしました。

 それから6年かかって今日にいたるわけですが、スープラみたいなクルマを復活させるというのは、ボトムアップという意味では当時のトヨタではとてもやらなかったと思います。それはやはり社長のトップダウンで始まったプロジェクトで、「Supra is back.」を一番喜んだのは当時のマスタードライバーである成瀬だったと思います。

――今回のスープラですが、いろいろなメーカーを巻き込んで発表会などもやられていましたが、単なるスポーツカーとして作ったのか、それとも最近トヨタはよく“仲間作り”という言い方をしていますがその一環として何かを目指しているのか。どの辺に主眼があるのか教えてください。

友山氏:スポーツカーって数(販売台数)が限られる割に開発には莫大なコストがかかるのです。それを1社だけでやるようなものではないと思うんです。いろいろな意味でプラットフォームや部品を共通化するといったことをしなければならないものだと思います。ただ、2013年当時にBMWとこのプロジェクトをやると決めたときに、今みたいな競争と共存という戦略的思想があったかというと僕はなかったと思います。とにかくいいスポーツカー、スープラを復活させなければいけない。直列6気筒で世界に誇れるようなスポーツカーを出すときに、やはりトヨタにはそのノウハウが十分になかった。BMWとは2011年に環境関係技術で提携したのですが、BMWと仕事をしていく中でBMWのCEO、もしくは幹部が自分たちで運転している。ミーティングはサーキットで始まるといったことを社長の豊田が目の当たりにして、「やはりスープラはBMWとやろう」ということで2013年にスポーツカーの開発契約を結んだのです。

 それにしても、(発表会などに)お金がかけられない中でみんなが助けてくれるというのはスープラならではですし、アフターマーケットについても仲間作りが重要だと思いますね。

写真の「RZ」のボディサイズは4380×1865×1290mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2470mm。車両重量は1520kg

――BMWと提携してスープラを作ったときにいろいろとあったかと思いますが、よかったなと思う点はありますか。

友山氏:この6年間、本当にすごく学びました。スポーツカーに限らずクルマづくりのあるべき姿を。トヨタは企画とデザインを、BMWは設計をするという分担だと広報的には言っていますが、クルマの開発はそんなに簡単じゃない。常にお互い葛藤があって、その中でわれわれがこれぞBMWだと思ったのはクルマを作る企画段階で本当にどのようなクルマを作りたいんだ、トヨタはどういう味を出したいんだということを徹底的に詰めるんです。例えばトヨタの企画だと、大きさとか値段を書いてこの辺に年間10万台のマーケットがあるとか、そういうところから入っていくのですが、BMWはそうではない。

 どういうクルマが作りたいのかが明確になってくると、例えば86よりも短いホイールベースが必要になる、86よりも2.5倍のボディ剛性が必要になるということが出てくる。それを徹底的にシミュレーションして、いわゆるモノづくりに入る前にこういうクルマにするというのを詰めていく。今一例を言いましたが、単純にスポーツカー作りだけじゃなくクルマ作りにおけるプロセスの在り方などを大きく学んだと思います。

――開発時に大きくぶつかった点とかはありましたか?

友山氏:その辺は(新型スープラのチーフエンジニアを務めた)多田さんに聞いてみてください(笑)。やはり文化が違うので相当ぶつかったみたいですが、最初は多田は相手にしてもらえなかったと聞いています。本当に孤立していたようです。トヨタがスープラを作ると聞いたとき、多田は86の開発をしていたのですが、多田にドイツに行けと言って(BMWに)張り付いてもらいました。そういう中で、普段のトヨタのいわゆる技術部によるクルマ作りにないものを得たのは大きいですよね。

スープラとモータースポーツ

2020年よりSUPER GTに参戦する予定のスープラ。写真はそのコンセプトモデル「GRスープラ スーパーGTコンセプト」

――今回のスープラにGRの名を冠してモータースポーツと関連して訴求する意味を改めて教えてください。

友山氏:2013年にスープラの開発が始まったとき、まだGAZOO Racing Companyはできていませんでした。2017年にGAZOO Racing Companyが創立するわけですが、2007年からGAZOO Racingというのは独自の活動をしていたのです。そのときにGAZOO Racing CompanyはなかったのですがGRスピリットみたいなものはそこから始まっていて、スープラはGAZOO Racingが作ったクルマなのです。

 GRというのは私が申し上げているように、単なるマニュファクチャラーではなくてレーシングカンパニーであり、レースで培ったノウハウと鍛えた人を使って世界に冠たるスポーツカーを作っていくんだということが真髄にあります。だからGRブランドというのはレースで存在感を示すことが非常に重要で、スープラといういい道具ができたのでこれからいろいろな伝説を作りたいですし、すでに昨年はWRC(FIA世界ラリー選手権)でマニュファクチャラーズタイトルを獲り、WEC(FIA世界耐久選手権)ではル・マン24時間レースで優勝しました。2019年もWRCは優勝圏内にいますし、WECに至ってはチームタイトルは決まって6月のル・マン24時間レースで2連勝できるかというところまできています。

 そういう意味で、「トヨタはモータースポーツの会社である」というイメージはこの2年でものすごく世界に印象付けることができたと思います。と同時に、モータースポーツで得た画像、ドライバーの挙動、クルマの挙動を見て解析を行なっていて、例えばWRCというと現在は年間14戦参戦していますが、1戦1戦の間にデータなどを見てクルマが壊れないように解析する。だいたいトヨタが2年かけて行なう開発を1年で14回やっているようなもので、これをやろうとするとエンジニアとドライバー、メカニックそれぞれが別々に解析していたら(次のレースに)間に合わないので、みんなが一体となってやっています。こうしたことはGRの車両開発に大きな影響を与えています。

――今回のスープラでナスカー(National Association for Stock Car Auto Racing)、2020年からのSUPER GT、ニュル24時間レースと活動計画を発表されていますが、それ以上に拡張していくプランはありますか?

友山氏:あまりやると薄くなるので、全日本ラリーやカスタマーモータースポーツ、S耐などに出していきたいですね。

――SUPER GTではこれまでレクサスで参戦し、来年からはスープラ(トヨタ)になると思いますが、レクサスは今後モータースポーツのイメージはあまりつけない方向ですか?

友山氏:レクサスはもともとラグジュアリーモデルで、RC F GT3でSUPER GT(GT300)に参戦していますし、ニュル24時間レースにはLC500で参戦しています。そういう中から、レクサスもGRがチューニングした技術を使ってスポーティなモデルを出すという可能性はあります。昔は「TOYOTA Racing」「LEXUS Racing」「GAZOO Racing」とあり、それが2015年にGAZOO Racingに統合されてモータースポーツ本部になった。2年前にはそれがGAZOO Racing Companyとなり、モータースポーツ本部はモータースポーツ活動だけを行なう本部で、GAZOO Racing Companyはそれに車両開発、販売までの機能が付いているのです。

――レクサス くま吉は来年は日本で見られるのでしょうか? スープラ くま吉ができる?

友山氏:まあ、これからでしょうね(笑)。クルマを作るのが先ですね。

どうなるレクサス くま吉

スープラはカッコわるい?

――クーペコンセプト「TOYOTA FT-1」との関係はどういったところにあるのでしょうか。

友山氏:豊田章男は、もう一度スープラを復活させなければいけないという気持ちは、成瀬との約束からずーっとあったと思います。で、アメリカで行なわれたデザイン審査でFT-1を見せられて、かつそのときのデザイナーに「これはエンジン何を載せるんだ」と聞いたところ、「直列6気筒です」と返ってきた。そこでFT-1のデザインをスープラのベースにしようとおそらく思ったと思います。

――FT-1をデザインした人はスープラをイメージしていたということですか?

友山氏:そうですね、スープラはむしろアメリカの方がワイルドスピードがあるように伝説なのです。

クーペコンセプト「TOYOTA FT-1」

――ということは、今回のスープラのデザインは(アメリカの)キャルティ・デザイン・リサーチが行なった?

友山氏:あそこが原点で始まって、それから日本が引き受けて仕上げていったという流れですね。

――Company制となりモータースポーツで得られたノウハウをGRモデルのみならず他の市販車にも展開していくというのは、Company制の中にも存在するのでしょうか。

友山氏:あります。それがGAZOO Racingの重要な使命の1つで、レースフィールドでクルマを作っていくという働き方の改革を他のCompanyにも広げていく。他のCompanyはレースをやっているわけではないのですが。いわゆる道と人でクルマを作っていくというのは着々と始まっています。一番いい例は、エンジニアがある程度クルマの運転技術を身に着けて、ある程度クルマを評価できるようになる。で、評価ドライバーが言っていることを言葉や書面だけじゃなくてきちんと体で分かるようにするとか、そういうことがどんどん進んでいます。

 ですから、われわれのクルマ作りのところに他のCompanyの人が来て一緒にクルマに乗ってもらい、「ああ、GAZOO Racingってこういうクルマ作りをしているんだね」ということを分かってもらうということをしています。それをダートやサーキットで行なっているのですが、それなりに手間がかかるので豊田市(旧下山村)にニュルブルクリンクのようなテストコースを作ったわけです。

――新型スープラはニュルブルクリンクで最後の味付けをしたとのことですが、その期間はどのくらいだったのでしょうか。

友山氏:おそらく1年くらいはやりました。今でもやっています。なぜ今でもかというとニュル24時間レースに出るので。このレースはほとんど市販車ベースで出ますから。

――今のトヨタを俯瞰して見ると、片やソフトバンクと共同出資で設立したMONET Technologiesのような事業を、片やGRとかなり対比するような展開を両立されているかと思いますが、友山さんの肌感としてどっちが重要か、とは言えないと思いますがどうでしょう。

友山氏:私はGAZOO Racing Companyのプレジデントとコネクティッド Companyのプレジデント、トヨタ生産方式(TPS)の担当副社長をやっていますが、この3つの領域というのはトヨタの変革に必要な領域だと思います。やっていることが真逆のようで、実はGRはクルマを鍛えるもの、コネクティッドはクルマのソフトの部分を鍛えていくものです。私がよく言うのは“最先端のレーシングカーは最新のコネクティッドカー”で、この2つが相反しているかというとそうではない。

 この3つはお互い相乗効果を生んでいると思っていて、例えばオィット・タナックが100km/h以上でわるい路面のところを曲がるとする。ステアリングのみならずアクセルとブレーキを使ってぶつからないようにうまく曲がる。これがコネクティッドによってデータがどんどん上がってくるわけです。そういうデータというのは、クルマの限界域の挙動を見たときにより安全に、しかも障害物にぶつからないように走るためには重要なデータなのです。今はそれをハードウェアで直していますが、将来的に自動運転になっていくとクルマがパニック状態になったときにそれでもぶつからない、障害物をよけるといったときに必ずそうした技術が必要になります。

 よくクルマのグリップを失うというと「そんなに速く走らないよ」と言われるのですが、路面が凍結していたら10km/hでもスピンしますよね。そういう限界域の挙動をきちっと捉えておくというのは、いいスポーツカーを作る上でも重要ですし、より安全でぶつからないクルマを作る上でも重要なのです。

――現状はCompany制度を敷いていて、作業の効率化のためにそういう制度を取っているが、トヨタとして全体を見るとそんなには向かっている方向は違わないということですか?

友山氏:違わないですよね。違わないですが、例えば今私が言ったようなクルマの開発の仕方を全Companyにしろと言った瞬間に大変なことになります(笑)。過去から引きずるものもありますし。だからGAZOO Racing Companyがその先頭を走っていく。2年前は「あいつら何やってんだ」という感じだったのが、だんだんと「これは面白いんじゃないか」「これは必要なんじゃないか」と変わってきています。GAZOO Racing Companyが他のCompanyから尊敬されるような存在になったらおしまいなんです。問題を作る、摩擦を生むようなクルマの作り方をしていかないとダメです。

――ヤリスWRCの発表会のときに、友山さんは「WRCに参戦するのはモデルベース開発をちゃんとしたいから」とおっしゃっていましたが、それがスープラにも反映されているのでしょうか。

友山氏:モデルベース開発、スープラの場合はBMWの影響が非常に大きかったのですが、WECではまさにデータの勝負なのです。そういうものを市販車の開発に活かしていくというプロセスが、「GR スーパースポーツコンセプト」でやっと軌道に乗り始めているところです。いつ発表するかは今は言えませんが(笑)。

 GAZOO Racing Companyには(モデルベース開発が)入り始めています。なぜかと言うとすごくコンパクトな組織で引きずるものがないからです。あとは豊田章男社長の強烈なトップダウンに誰も逆らえないということです(笑)。

――豊田社長からはなかなかスープラと認めてもらえず厳しい指摘を受けたということですが、どういったところを最後まで気にされていたのでしょうか。

友山氏:これはニュル24時間レースをやると分かるのですが、速く走ることよりも少しでも長い距離を走ることが重要で、そのためにはまずドライバーに負荷をかけてはいけない。疲れさせてはいけない。これをドライバーオリエンテッドとかドライバーイニシアチブなクルマ作りと言うのですが、どちらかと言うと今までのクルマの作り方はエンジニアオリエンテッドだったのですが、そこから変わってきているわけです。豊田章男はそれをニュルで走らせて「これは長く走れるクルマか、速く走れるクルマか」と聞いてきました。本当は両方あるといいのですが、やはりドライバーが疲れると事故が起こりますし、まず安心して走れる、疲れないで走れる、で、速く走れる。そういう観点で最初の方はまだまだだった。

 そして2018年10月に、VLNニュルブルクリンク耐久シリーズでモリゾウが最終モデルに乗り、「スープラと言っていいよ」と初めてOKを出したということです。

――80スープラオーナーとしてお聞きしたいのですが、新型スープラで“一番スープラだな”と思うところはどこですか?

友山氏:難しいですね(笑)。それは直列6気筒エンジンを積んでいるとか、低重心であるとか科学的に説明できることではないですよね。でもスープラって素地はすごくいいですよね。パッケージを徹底的に詰めていて、じゃなきゃあれほど短いホイールベースとか出てこないですよね。素地がすごくよくて、実は80スープラを最初に見たとき「カッコわるいな」と思ったんです。思ったのですが自分で乗って、どんどんいじっていくとすごくカッコいいクルマになるんです。

友山氏の愛車である80スープラと

 発表会のときに「カッコわるい、と思う方は正直に手を上げてください」と呼びかけましたが、カッコわるいんじゃなくてデザイン的に完璧じゃないと思うんです。そういうところが新型スープラでも感じられて、自分のものにして自分なりに仕上げていきたいと思います。クルマの素地としては、トヨタのクルマの中では過去にないくらい素晴らしいと思っています。

トヨタとBMWの最高の合作がスープラ

――新型スープラはマグナ・シュタイヤーのグラーツ工場で生産されているわけですが、2019年度生産分24台の受注を開始したというのは増産体制が決まったのか、それとも日本の割り振り台数が増えたのですか?

友山氏:受注の3分の2が上位グレードに集まってしまい、日本の月販目標は220台なのですが、予約を取り始めるとすぐに1400台まで入り、その1400台の中の7割が直列6気筒エンジンの「RZ」(690万円)でした。「RZ」は安くないですし3割くらいと思っていたのでそこに大きなギャップが生まれた。なので1回受注を取りやめました。

 今は生産調整に入り、そのうち3分の2くらいはいわゆる“グレード変え”と言いますか。3分の1は増産です。うちのスタッフは走りまわりました。

――ヘリテージパーツについてはGRガレージですべて完結するものなのか、またはどこかの工場に持ち込む形になるのでしょうか。

友山氏:ヘリテージパーツはディーラーさんでも付けられますし、自分でも付けられるイメージです。ただ、そう簡単な話ではなくて型も錆びたりしているものを復刻するわけですから、全部をできるかと言うとそういうものでもなくて、オーナーさんとよく話し合いながらどういうパーツを復刻していくか進める予定です。

――発表会のステージでは「プロペラシャフト」なんておっしゃいましたが、最初に出るのはプロペラシャフトという理解でよいですか?

友山氏:僕らが聞いているのはまずヘッドライトとか。アフターで出ているパーツもあるので、そうじゃないパーツからやっていきたいですね。

――(5月17日~6月14日の限定で商談申し込みを受け付ける「RZ」について、)限定24台というのはかなり少ないと思うのですが、そこまで絞られた理由はなんでしょう。

友山氏:やはり専用色「マットストームグレーメタリック」が大変で、手間がかかる色なのです。なので24台で勘弁してください(笑)。

――コアなスープラファンからは「BMW製かよ」と聞こえてくるのですが、そういう人に向けて何かメッセージはありますか?

友山氏:逆にBMW製だからと言って購入いただける人もいらっしゃいます(笑)。これはトヨタ製、BMW製ということではなく、協業の中でトヨタのいいところ、BMWのいいところを組み合わせた最高の合作がスープラなんだと考えていただければ。

――正式名称は「トヨタ GR スープラ」ですか、「トヨタ スープラ」ですか?

友山氏:日本での車名は「スープラ」で、マーケティング上では「GR スープラ」です。海外行くと国によっては「トヨタ スープラ」になります。商標登録などいろいろな関係があって、一般的にはGR スープラですね。

――注文について、4気筒を購入した方が納車は早いですか?

友山氏:そうですね。今6気筒モデルの注文をいただいても、おそらく納車は2020年1月ごろになると思います。