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マツダ、NAロードスターのレストア車両の納車式を開催
これまで5台のレストア完了、6台目に着手
2019年11月28日 13:28
- 2019年11月27日 開催
マツダは2017年12月から初代「ロードスター」(NA型)のレストアサービスを行なっているが、11月27日に5台目のレストアを完了し、神奈川県横浜市のマツダR&Dセンター横浜において納車式を実施。新車同様の外見となったNAロードスターがオーナーに引き渡された。
合計5台がレストアを終えてオーナーのもとへ
これまで4台のレストアを完了してオーナーのもとに引き渡されているが、5台目はオーナーの厚意で納車式が報道向けに公開された。
5台目のレストアメニューは基本メニューとインテリア、エンジン&パワートレーン、シャシー&サスペンション、エアコンといったほぼフルレストアで、ホイールとタイヤだけは元のままとしたもの。また、マッドフラップは新品がないため補修と塗装を実施したほか、受け入れ後に判明したさびで交換部品が増え、オプション料金が発生している。
完成したロードスターはオーナーが新車時から所有するクルマ。乗る頻度が少く一時は処分も検討したそうだが、お金を出しても買えないクルマということでレストアを依頼するに至った。走行距離は約4万6000km。
作業は7月26日にマツダR&Dセンター横浜で車両を受け付け、8月から広島に送って作業を続けていた。納車まで約4か月かかったことになる。
納車式ではロードスターアンバサダーの山本修弘氏とレストア担当者から詳細な説明が行なわれた。作業途中の経過については板垣氏に報告されており、一度は作業中の工場にも出向いたそうだが、エンジンをかけて以前との振動の違いなどに驚いた様子。今回はエンジンのレストアの作業も行なわれており、ピストンのバランス取りも実施した。
確認作業などの受け取りの手続きが行なわれた後、板垣氏はマツダR&Dセンター横浜の社員の見送りを受け、帰路についた。
板金対応などレストアサービスの内容に変化。パーツも買ってもらいたい
納車式の後、ロードスターアンバサダーの山本修弘氏、カスタマーサービス本部リージョン商品推進部 NAロードスタープロジェクト担当の松野圭馬氏、テュフ ラインランド ジャパン シニアセールスエグゼクティブの栗田隆司氏によってレストア事業ついての説明が行なわれた。
山本氏は今回納車したロードスターを含めて5台のレストアが行なわれ、すでに6台目に着手していることを振り返り、当初は2か月と設定していた期間も「なかなか終わらない」と遅れ気味な点を指摘。また、フルレストアは485万円(税別)という費用設定から、「CX-8以上のお代を頂いているので、見合うサービスが必要」とし、フォトブックなどを作成してレストアしたオーナーに渡しているのだという。
また、当初はボディの状態などで受け入れ基準を厳しくしていたため、申し込み台数は多かったものの、チェック後に実際に受け付けできたのは1台だけになってしまった。そのため、板金ができるようにテュフの認証を取り、2台目、3台目を受け入れた。もし板金をしていなかったら「1号車で終わっていた」と語った。
レストアの日程が遅れ気味な点については。レストアの工程でオーナーと話し合いが必要な点がクルマに見つかった場合、相談をする時間が必要なことが挙げられた。また、部品がそろわないこともあり、新しくレストアに取り掛かる場合は最初に部品を発注するよう作業工程を見直したという。
山本氏はレストアサービスの一方でパーツ供給の重要性を挙げた。10月からWebサイトで「NAロードスターパーツ情報サービス」を開始した。これは、レストアまではいかなくても、部品を交換してリフレッシュさせたいという要望に答えるもの。山本氏によればまだ20人ほどの利用があったのみで、まだ軌道に乗っていないという。
レストアサービス開始にあたって復刻したパーツもあるが、想定ほど売れていないという。パーツは供給していても需要がなくなると供給を停止せざるを得ないため、山本氏は「パーツを買ってもらいたい」と希望を述べ「パーツがなくなるとレストアもできない」と訴えた。
一方、レストアメニューの拡充について、山本氏はアンケートでエンジン単品とシート単品の要望があることを明かした上で、検討はしているものの、受け入れの問題があるとした。そして、現在はNA6のみ受け付けているが、NA8も“お客さまとの約束”として検討を進めているとした。
クラシックカー・ガレージ認証を行なっているテュフ ラインランド ジャパンからは、栗田氏が認証について説明を行なった。栗田氏によれば、認証プロセスの半分は板金塗装で、レストア特有のこととしては、作業中の依頼者とのやりとりなどの作業フローができていることなどが挙げられた。
テュフではクラシックカーを維持しやすい環境を作ることも目標としており、例えば車両保険では古いクルマは保険で出る金額が極端に安くなってしまうが、栗田氏は「金額をかけてレストアしたものは適正な価格で保険をかけたい」と話し、保険会社と交渉を進めているとした。