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【インタビュー】スズキ「ハスラー」のエクステリアデザイナー 山本雄高氏に、初代との違いを聞いた
ジムニーとは考え方が違うものの「参考になることはあった」
2020年4月17日 12:17
2代目となるスズキ「ハスラー」は、キープコンセプトのエクステリアデザインで登場した。実はピラーの角度やルーフの長さなどは大きく変えられているが、ぱっと見るとほとんど変わらないイメージだ。なぜキープコンセプトという戦略を取ったのか。エクステリアデザイナーに話を聞いた。
最初からキープコンセプト。そこにSUVらしさを加味
まずはここまでキープコンセプトにした理由から話を聞いてみよう。スズキ 四輪技術本部 四輪デザイン部 エクステリア課長の山本雄高氏は、「先代ハスラーが(デザインも含めて)市場から大きく支持されていたことははっきりしていましたので、その部分はきちんと引き継ぐことは開発当初からありました」と、開発当初からエクステリアデザインはキープコンセプト路線を取っていたことを明かす。
山本氏によると、「実はこのデザインは途中で1度やり直しをしているのです」とのこと。「最初のデザインはもっと初代ハスラーに近いデザインで完成していました。しかし、これではいくらなんでも近いだろうということでやり直したのです」と振り返る。その際に改めてさまざまな市場調査が行なわれた。そこでの発見について、「今はアウトドアの世界が、先代ハスラーのデザイン開発をしていた時よりも、より深く一般的に浸透して日常化しており、そのころとは雰囲気が違うぞということに気付いたのです。そういったところをデザインに織り込むことにより、SUV度を高めたのです」とふり返る。
具体的には、「先代よりもスクエア(正面から見てピラーを起こした)にしてボンネットも水平にしました。また、バックドアを立ててルーフも長くしています。その結果、新型ハスラーはシックスライトになり、スクエアでタフなデザインになったのです」と説明する。
ジムニーの隣で開発
アウトドア用品がより市場に浸透したというが、これはアウトドアレジャーで使われるものが街なかでも使われるようになってきていることを指している。それをハスラーでも表現したかったというのだ。山本氏は「しかも、その普段使っているアウトドア用品が、“なんちゃって”ではなく結構本格的なものでしたので、やはり本格的な感じのものの方が今の時代に合っているのではないかと考えました」と解説。
スズキには本格的なSUVの「ジムニー」が存在する。そこでジムニーのモチーフを取り入れることは考えなかったのか聞いてみた。山本氏は、「実はこのハスラーのデザインを開発している時に、隣でジムニーも進んでいたんです。ですから、エッセンスはおそらく入っているでしょう。スクエアなデザインや水平基調のボンネットなど、プロポーション的なところはそうだと思います。しかし、ジムニーの場合は雰囲気だけではなく機能性を極めるというコンセプトですから、まったく考え方が違います。それでも参考になることはあったと思います」とのことだった。
そこで、ウインカーの位置もそういった意図からなのかと質問してみた。ジムニーではヘッドライトの外側にウインカーが配置されている。これは、悪路などでフロントサイドを傷つけてしまった際、ウインカーよりもヘッドライトの方が破損しにくいような位置にしているからだ。ジムニーの開発者いわく、ウインカーが破損しても(夜の悪路などから)帰って来ることができるが、ヘッドライトを破損すると帰れなくなる恐れがあるからとのこと。ハスラーでもそれと同じ意味があるのかと考えたからだ。
それに対して山本氏は、「そうですし、また、先代も同様でした」とした上で、「フロントまわりはすごくキャッチーであり、アイコン的な部分です。実はランプのイメージは踏襲していますが、それ以外は全部変わっています。ランプを隠すと結構違うクルマに見えると思います。また、屋内ではなく外で新旧を比較するとかなり違うということが分かるでしょう」とコメントした。