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アウディ、フィリップ・ノアック社長がV型8気筒600PSの新型「RS 6 アバント」「RS 7 スポーツバック」「RS Q8」を日本初公開
SUPER GT最終戦開催中の富士スピードウェイで
2020年11月28日 20:11
アウディ ジャパンは11月28日、SUPER GT最終戦を開催中の富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において同社のレーシング部門であるアウディ スポーツ(DTMやフォーミュラEなどに参戦する車両や、FIA GT3などのカスタマーレーシングカーを開発、製造、販売する子会社)が開発した新型「RS 6 アバント」「RS 7 スポーツバック」、フルサイズSUV「Q8」としては初のRSモデルとなる「RS Q8」の国内初披露を行なった。
記者会見に登壇したアウディ ジャパン代表取締役社長 フィリップ・ノアック氏は「アウディのブランドメッセージは“FUTURE IS AN ATTITUDE”(筆者注:公式の訳は“未来は考え方ひとつ”。“未来は人の考え方次第で変わってくる”という意味)で、持続的な成長、デザイン、デジタル、パフォーマンスを4つの柱としている。RSはその中でも特にパフォーマンスにフォーカスした製品だが、同時に細部やデザイン、そして性能も365日いつでもあらゆる状況で発揮できるものを目指している」と述べ、性能面に特にフォーカスした製品がRSで、今回導入された新型「RS 6 アバント」、新型「RS 7 スポーツバック」、「RS Q8」もそうしたクルマを求めるユーザーを満足させる性能を持っていると紹介した。
アウディのレース部門「アウディ スポーツ」が開発している新型RSモデルを、今後も攻めの姿勢で投入する
アウディのスポーツブランドを担うのが「RSシリーズ」などになる。この「RS」製品を開発しているのがアウディ スポーツだ。アウディ スポーツは、大きく3つの機能があり、1つ目がフォーミュラEやDTM(残念ながらワークス参戦は今年の最終戦で終了)やWEC(2016年まで)などワークスとしてのモータースポーツ活動を担っており、独ノイブルグにあるアウディ スポーツの本社で開発などが行なわれ、レーシングチームへレーシングカーを供給する。
2つ目がカスタマーレーシングで、日本のSUPER GTに参戦している一ツ山レーシングのようなカスタマーレーシングチームにFIA-GT3などの共通規格に基づいたレーシングカー(それをカスタマーレーシングと呼んでいる)を開発、製造、販売している。
そして、3つ目の機能が、新型「RS 6 アバント」「RS 7 スポーツバック」、「RS Q8」などのハイパフォーマンスカーの開発だ。今回発表された3台もアウディ スポーツでハイパフォーマンスカーに仕上げられているが、だからと言って、日々乗るクルマとしてのよさを失っている訳ではないとノアック氏は強調する。
「RSモデルでは細部へにこだわり、世界中の結果をフィードバックしたRSならではのドライビング感覚、究極のドライビング体験、独自のデザイン、そして365日あらゆる状況で発揮できる究極のパフォーマンスを持っている」とノアック氏は説明し、そうしたハイパフォーマンスと日々の足という自動車の基本が両立しているのがRSモデルだとした。
ノアック氏は「RSは1994年に最初の製品を発表してから25年。昨年我々は意欲的に製品を投入していくという方針を明らかにしたが、今年はRS7、RS4、RS5、TTRS、RSQ3と立て続けに新製品を発表してきた。このためこんな厳しい年でも昨年比で8%しか落ち込まなかった。プレミアムモデルの底堅さは今後も続くと考えており、2021年にも意欲的に製品を投入していくことを続けて行く計画だ。グローバルのアウディにとって、日本市場は重要な柱となる市場であり、今後もエキサイティングな製品の投入を続けていきたい」と述べ、今後も日本市場に日本のユーザーに響くような魅力的なRSモデルを投入していくと述べた。
新型「RS 6 アバント」、新型「RS 7 スポーツバック」、「RS Q8」の3つのモデルの詳細を解説
ノアック氏は新型「RS 6 アバント」、新型「RS 7 スポーツバック」、「RS Q8」という今回発表された3台のRSモデルについてそれぞれ説明した。RS 6 アバントに関しては「565Lの容積を持つラゲッジルームを備えるなど毎日の生活にも使えるパフォーマンスワゴンで、デザインもスポーティに仕上がっている」と紹介。すでに事前の予約などは同社の予想を上回るほどのオーダーが入っていると説明した。
RS 7 スポーツバックに関しては「意欲的な製品で、グランツーリスモスタイルの車両。美しくいデザインとハイパフォーマンスが共存している」と紹介した。また、両車共通のデザインとして22インチホイル、ワイドなボディ、3Dデザインのグリルなどを挙げた。
そして、今年はアウディ独自の4WDシステム「Quattro(クワトロ)」が40周年になることを紹介し、記念したモデルとしてRS Q8を取り上げた。ノアック氏は「RS Q8はRSとQuattroを合わせたモデルで、プレミアムクーペSUVセグメントの製品となり、ゴージャスなデザインが特徴だ。そしてニュルブルクリンク・サーキットの北コースで7分42秒253というタイムをマークした。このタイムで何が重要なのかと言うと、レーストラックをきちんと走れるようなクルマがロードカーになっていることだ」と説明した。
その後同社 広報部長 丸田靖生氏が3車に共通する仕様などに関して説明を行なった。パワーユニットはICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)と48Vハイブリッドシステムの組み合わせになっており、ICEが4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンで最高出力600PSを発生。最大トルクは800Nm、0-100km/h加速はRS 6 アバントが3.6秒、RS 7 スポーツバックが3.6秒、RS Q8が3.8秒という。
また、シリンダーオンデマンドと呼ばれる4気筒を停止する気筒休止モードが用意されている。ハイブリッドシステムに関しては、48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載され、12kWの電力、40秒のコースティング、スタート・ストップモードでは22km/h以下で利用することができるとした。
このほか、アクティブエアサスの搭載や、スポーツサスペンションプラス(DRC)をオプションで選ぶことが可能で、4WSにも対応している。アウディ・ドライブ・モードという8つのモードから選べる機能を引き続き搭載されており、ステアリングに用意されているRSモードボタンを使うことで、自分が選んだモードをワンプッシュで呼び出すことができる。
価格はRS 6 アバントが1764万円から、RS 7 スポーツバックが1799万円から、RS Q8が1869万円から。今回の発表会で展示されていたのは左ステアリングの欧州仕様だが、日本で販売されるのはもちろん右ステアリング仕様で、発売はRS 6 アバントとRS 7 スポーツバックが2021年の1月、RS Q8が2021年の2月となる。
SUPER GT最終戦富士の決勝レースは20番手からスタートする21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS。社長から直々のポイント獲得プレッシャー
最後にノアック氏が再登壇し、SUPER GT/GT300に参戦している「Hitotsuyama Racing」のメンバーを紹介した。一ツ山レーシングは21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/近藤翼組、YH)を走らせており、チーム代表の一ツ山亮次氏、ドライバーの川端伸太朗選手、近藤翼選手の3人が壇上に登った。
今シーズン21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMSは、第6戦鈴鹿においてチームとしては4年ぶりに優勝しており、優勝を祝うセレモニーが行なわれた。
チーム代表の一ツ山氏は「今日の20位に終わった予選は満足していない。先日の鈴鹿で優勝したときには諦めないでなんとか勝ちたいという気持ちを持ち続けたことで優勝出来た。必ず巻き返していいところで終わるように、ポイントを獲得するように終わりたい」と決勝への意気込みを語った。
その後、ノアック社長の「幸運を。プレッシャーをかけるようで申し訳ないが、ポイント獲得を期待している」と社長直々の発言で、会見を締めくくった。