ニュース
パイオニア、前方や死角の歩行者も高精度に検知できる3D-LiDAR「1st Model」の量産開始
自社のレーザー関連技術や車載ノウハウと、キヤノンの光学レンズ技術を融合
2020年12月10日 19:08
- 2020年12月10日 発表
パイオニアの子会社であるPSSI(パイオニアスマートセンシングイノベーションズ)は12月10日、走行空間センサー3D-LiDAR「1st Model」の近距離タイプ(Short Range)の量産を開始したと発表した。
この量産および出荷を開始した1st Modelは、長年にわたりパイオニアが培ってきた光ディスクプレーヤーなどのレーザー関連技術や、カーナビゲーションをはじめとする車載製品の開発・製造ノウハウと、キヤノンが保有する光学レンズ技術を融合し、高性能かつコンパクトサイズを実現。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems=微小電気機械システム)ミラーと同軸光学系方式を採用したソリッドステートタイプの1st Modelは、高速スキャニングで高精細な点群データの取得を可能とし、スキャニング範囲内の障害物を高い精度で検知できるという。また、自動運転バスや中低速モビリティにおいて、前方および死角の歩行者、自転車などを高精度に検知できるほか、道路の固定設備やセキュリティモニタリング用のセンサーとして、プライバシーに配慮しつつ障害物や異物、侵入者などを高い精度で検出する。
さらに、ハードウェア(3D-LiDAR)とともに開発している「ノイズ除去」「物体検知・認識・トラッキング」などのソフトウェアと組み合わせることで「物体検知・認識・トラッキング」「3次元データ生成・変化点抽出」ソリューションとして提供することも可能としている。
パイオニアの国内開発・生産拠点(埼玉県:川越事業所)において1st Modelの生産、品質管理を一貫して行ない、車載向けの厳しい品質要件をクリアすることで、高品質とともに、安定した商品供給および商品サポートを実現するとしている。
主な特長
MEMSミラーを採用したソリッドステートタイプで小型化を実現
1つのレーザーダイオードと1つの受光素子で構成するMEMSミラー方式と同軸光学系方式の採用により、部品点数を削減し、小型化(775cc)を実現。2021年1月に量産開始を予定している中距離タイプの3DLiDAR(Medium Range)との組み合わせにより、多様なニーズに対応することが可能となる。
高速スキャンで高密度・高精細な点群データの取得が可能
MEMSミラーを用いたラスタースキャン方式の採用により、スキャニング範囲を高速で隙間なく、高い解像度で検知し、高密度・高精細な点群データを取得することが可能。
独自のソフトウェアとの組み合わせにより、高精度な物体検知・認識が可能
本機で取得した高密度かつ高精細な点群データを、パイオニアが長年培ってきた光学技術・信号処理技術を用いた独自のソフトウェアと組み合わせて処理することにより、反射強度の弱い物体の検知・認識に加え、雨天時や降雪時などの環境においても高精度な検知・認識が可能。
国内生産ならではの高品質
車載機器の国内開発・生産拠点であるパイオニアの川越事業所に、3D-LiDAR 専用の生産ラインを新たに設け、生産から品質まですべてを一括管理。国内生産拠点において、車載向けの厳しい品質要件をクリアすることで、高品質とともに安定した商品供給および商品サポートを実現する。