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いすゞ、日野、トヨタ、商用事業におけるCASEの社会実装と普及に向け新会社設立

新たな協業で輸送課題の解決やカーボンニュートラル実現への貢献を目指す

2021年3月24日 発表

 いすゞ自動車と日野自動車およびトヨタ自動車は3月24日、商用事業において新たな協業に取り組むことに合意したと発表した。

 今回の新たな協業では、いすゞと日野が培ってきた商用事業基盤に、トヨタのCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速させ、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現を目指すもの。

 具体的には、3社は小型トラック領域を中心に、EV・FCV、自動運転技術、電子プラットフォームの開発を共同で取り組む。EV・FCVについては、3社が共同で取り組むことで車両コストの低減をはかるとともに、福島県における水素社会実証へのFCトラックの導入をはじめ、インフラと連携した社会実装を進め、普及に向けた取り組みを加速させる。

 また、3社のコネクティッド基盤をつなぎ、クライアントの課題解決につながる商用版コネクティッド基盤を構築するとともに、さまざまな物流ソリューションの提供にも取り組み、商用車の輸送効率を向上させることで、CO2排出量の低減も目指す。

 3社はこの協業を推進するため、新会社「Commercial Japan Partnership Technologies(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」を設立。新会社は、3社での議論を踏まえ、商用車におけるCASE技術・サービスの企画を行なう。

 今後、いすゞ・日野・トヨタは、協業内容を深めるとともに、志を同じくするその他のパートナーとの連携についてもオープンに検討していくとしている。

いすゞとトヨタの資本提携について

 本協業の円滑な構築・推進を目指すため、いすゞ・トヨタは資本提携に関する合意書を締結。トヨタは、いすゞが実施する第三者割当による自己株式の処分により、いすゞの普通株式3900万株(2020年9月末日現在発行済株式総数に対する所有割合4.60%、割当後の議決権割合5.02%)、総額428億円を取得する予定。また、いすゞは市場買付により同額規模のトヨタ株式を取得する予定となっている。

協業の背景

 CASE革命により自動車業界が「100年に一度の大変革期」を迎える中、いすゞと日野は電動化やコネクティッドを中心に、商用車ならではの特性に合わせたCASE対応を推進。また、トヨタはモビリティ・カンパニーへのフルモデルチェンジを目指し、CASE技術への先行投資と仲間づくりを加速。電動化においては、全方位での技術開発に取り組み、HVの普及やFCVのいち早い実用化など、車両の電動化を推進してきた。

 そして、2020年に日本政府が示した「2050年カーボンニュートラル社会」という目標に向けてCO2の削減を進めていくためには、乗用・商用ともに、地域ごとのエネルギー事情に対応する形での車両の電動化と省エネ技術が、今まで以上に重要な意味を持つことと、デジタル化の進展に伴い、車両データやさまざまな情報をつなげることで、人々の生活をより安全・安心に、より豊かにする新しいサービスへの期待が高まってきた。

 CASE技術は、広く普及して初めて社会への貢献につながるため、普及において重要な役割を果たすのが、経済・社会を支えるために長距離・長時間稼働し、インフラと連携して導入を進めやすい商用車で、カーボンニュートラルの観点でも商用車は大きな役割を果たすことが可能。また、商用車を使って人・モノの移動を支える輸送業が直面する、輸送効率の向上、ドライバーの人手不足や長時間労働をはじめとするさまざまな課題に対して、コネクティッドを中心に、CASEの力で改善をはかることが期待されている。

 こうした社会課題の解決は、1社単独でできるものではなく、志を同じくする仲間を広く求め、それぞれ違う強みを活かして、輸送に関わる仲間のために、世の中のために、力を合わせていくことが必要となることから、いすゞと日野は、両社で協調して商用車のCASE対応を進めること、トヨタは両社の商用事業を通じて、CASE技術の社会実装を加速させることが必要だと認識し、3社は商用事業での新たな協業に取り組むことを決定したという。

新会社の概要

会社名:Commercial Japan Partnership Technologies株式会社
所在地:東京都文京区後楽1丁目4-18
資本金:1000万円(資本構成:トヨタ80%、いすゞ10%、日野10%)
代表:代表取締役社長 中嶋裕樹(トヨタ自動車株式会社 CV Company President)
事業開始期:2021年4月1日
事業内容:商用車におけるCASE技術・サービスの企画