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トヨタ、ヤリスWRC 33号車エバンス/マーティン組がラリー・フィンランドで優勝 ワールドチャンピオン候補はオジエ選手とエバンス選手に

2021年10月1日~3日(現地時間) 開催

ヤリスWRC 33号車のエルフィン・エバンス、スコット・マーティン組

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、10月1日~3日(現地時間)に開催されたWRC(2021年FIA世界ラリー選手権)第10戦ラリー・フィンランドで、ヤリスWRC 33号車のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が優勝。エバンス/マーティン組は、第4戦ラリー・ポルトガル以来となる今シーズン2勝目を獲得した。

 同大会の結果によりトヨタは3年連続でワールドチャンピオンを輩出することが決まった。ドライバー選手権タイトル獲得の権利を有するドライバーはオジエ選手とエバンス選手の2名に絞られ、残り2戦で獲得できる最大ポイントは60ポイントであることから、オジエ選手とエバンス選手によるタイトル争いは次戦も続く。

 また、マニュファクチャラー選手権においてもトヨタが首位を堅持。2位のヒュンダイとの差を61ポイントに拡げた。

 優勝したエバンス選手は「チームのホームラリーで優勝することができて、特別な気分です。似たような特徴を持つラリー・エストニアでは困難な戦いを強いられましたが、それもあって今回このような結果を残すことができて本当によかったです。事前のテストではクルマにいくつか変更を加え、金曜日の早い段階から大きな自信を得ることができました。チームのみんなの働きに感謝しています。この週末は、本当に楽しんで走ることができました。このクルマでフィンランドの道を走れて幸運だったと思いますし、その上で優勝できたのは特別なことです。また、チャンピオンシップに関してもポジティブな結果になりました。ドライバーズタイトルは依然難しい状況ですが、これからの全てのイベントでベストを尽くして戦います」とコメント。

 なお、ヤリスWRC 1号車のセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組は総合5位でフィニッシュして、ドライバー選手権首位を堅持。ヤリスWRC 69号車のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組は、総合34位で完走。プライベーターとしてヤリスWRCをドライブしたエサペッカ・ラッピ選手は、総合4位でフィニッシュ。TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムによりヤリスWRCで出場の勝田貴元選手は、総合37位で完走した。

1号車(セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのチーム代表 ヤリ-マティ・ラトバラ氏は「ラリー・フィンランドでの優勝は常に特別なことですが、われわれのチームにとってはなおさらのことなので、このラリーで再び勝つことができて嬉しく思います。今年は競争が非常に激しかったですが、エルフィンのパフォーマンスを見れば、われわれのクルマが速かったことはわかると思います。正直なところ、彼は優勝候補ではなかったかもしれませんが、この週末最速のドライバーだったことが証明されました。本当に素晴らしい仕事をしてくれました。金曜日の夜、暗闇の中で行われたオィッティラのステージで、彼は何かを掴んだのか大きな自信を示し、その後トップに立つと最後まで順位を守り抜きました。今回の勝利を、彼はとても誇りに感じることでしょう。ドライバー選手権に関しては、チャンピオンの権利を持つのはセブとエルフィンの2人に絞られ、マニュファクチャラー選手権についても、非常に有利な状況になりました」とコメントしている。

ヤリスWRC 33号車のエルフィン・エバンス、スコット・マーティン組

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのチームオーナー 豊田章男氏のコメント

 また、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのチームオーナー 豊田章男氏がコメントを発表。以下にその全文を掲載する

 今シーズンは4度のホームラリーがあるはずでした。

 ヤリスを開発・生産する日本でのラリー、チームが工場を構えるエストニア、そして本拠地であるフィンランドでの2度の戦いです。2月のアークティックラリーは2位に留まり、7月のエストニアではカッレの頑張りで勝利できましたが、今回はチームが本拠を構えるユバスキュラが舞台。本当の意味でのホームコースです。そして日本は中止になってしまったので、なんとしても勝ちたい……。ドライバー達も、チームのみんなも、そして代表のヤリ-マティも、いつも以上にプレッシャーがかかっていたと思います。その中でエルフィンとスコットが勝利し、ホームタウンのファンのみんなを笑顔にしてくれました。ヤリスWRCが生まれた街、育てられた道に恩返しができたような気持ちです。

 エルフィン、スコット、そしてチームのみんな、ありがとう。二人は、今季、一度もリタイアせず必ず、最後のパワーステージまで走りきってくれています。それによりヤリスは確実に強くなりました。そのことにも心から感謝したいと思います。

 セブとジュリアンは不利な出走順にも関わらず、着実な走りでポイントを獲得してくれました。あと2戦、最高のシーズンエンドを迎えるべくセブらしい強い走りを見せて欲しいと思います。カッレと貴元には、慣れ親しんだフィンランドの道でしたが、悔しさの残るラリーになってしまいました。しかし、未来につながる学びがあったと思います。いつか二人が地元のファンを笑顔にする日が来ることを期待しています。

 今シーズンも残り2戦、引き続き、ヤリ-マティを中心にチーム全員が心をひとつにして走り抜いてください!そして、チームのみんなが笑顔になれるシーズンエンド…ファンの皆さんに笑顔になってもらえるシーズンエンドをよろしくお願いします!

追伸 ヤリ-マティへ

 自分でシャンパンを持たないポディウムはどうでしたか? 3年前にユバスキュラで君と一緒に上ったポディウムを思い出したよ。前にも言ったけど、あの時、僕はオィットに渡されたシャンパンを真っ先に君の方に向けていた。君と上れたポディウムが、それくらい嬉しかった。君もフロントに入ってしまったから二人で一緒にポディウムに上ることはできなくなってしまったけど、また現地で一緒に戦いたい。その日が1日も早く来ることを願っています。どっちがポディウムに上るかは、その時になったら相談しよう!

追伸 エサペッカとヤンネへ

 カラーリングは違ったけど君たちが地元フィンランドで再びヤリスに乗ってくれて嬉しかった。ヤリスで参戦し始めた2017年、チームにとっての2勝目をあげてくれたのがユバスキュラで走った君たちだった。今回、惜しくもポディウムには立てなかったけど素晴らしい走りでの4位おめでとうございます!3年ぶりのヤリスの乗り心地はどうだったか? また聞かせてください!

ラリー・フィンランド結果(現地時間10月3日16時時点のリザルト)

1位:エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC)
2位:オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +14.1s
3位:クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC)
4位:エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ ヤリス WRC)
5位:セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC)
6位:ガス・グリーンスミス/クリス・パターソン (フォード フィエスタ WRC)
7位:アドリアン・フォルモ?/アレクサンドレ・コリア (フォード フィエスタ WRC)
8位:テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (フォルクスワーゲン ポロ GTI R5)
9位:マッズ・オストベルグ/トルシュテン・エリクソン (シトロエン C3 Rally2)
10位:エミール・リンドホルム/レータ・ハマライネン (シュコダ ファビア R5 Evo)