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カーメイト、新型ドラレコ「ダクション360D」発表会 新コンセプトARF(アラウンド・リア・フロント)を提唱

2021年11月26日 発売

オープンプライス

新製品「ダクション360D」を発表した株式会社カーメイト 代表取締役社長 徳田勝氏

「ユーザーニーズに対応させた新製品を開発した」と徳田社長

 カーメイトは11月26日、360°ドライブレコーダー「ダクション(d'Action)360」シリーズの新製品「ダクション360D(DC4000R)」の新製品記者発表会を行なった。発表会には、代表取締役社長 徳田勝氏、IT開発グループ ゼネラルマネージャー 中村良幸氏、IT開発グループ プロダクトマネージャー 倉林亮太氏の3名が参加した。

 徳田社長は新製品の発表の前に、自社のこれまでの開発の歴史を振り返った。カーメイトはまず2013年の東京モーターショーにて、前方をスマートフォンのカメラで撮影しつつ、リアをワイヤレスカメラで撮影し、その映像をスマホに送信する仕組みの「ワイヤレスカメラ」を参考出品。2015年の発売を予定していたが、稀に無線が途切れる事象が発生するため発売を断念したという。

 その後も前後同時撮影にこだわり、360°カメラの利用を発案。そして2017年2月に、シリーズ第1弾となるカーメイト初のドライブレコーダー「ダクション360(DC3000)」が完成。当時はまだフロント1カメラしか市場にはなく、同じ1カメラでも魚眼レンズを天井から下向きに使用して全周囲を撮影するというまったく新しいコンセプトとなっていた。

 さらに「万が一」だけではなく、クルマを降りたらアクションカメラとして利用できる機能も搭載させたことで、「Drive(ドライブ)+Action(アクション)」=「Daction(ダクション)」と命名。また、映像をWi-Fiで飛ばしてスマホで見る機能も当時から搭載するなど他社にはない機能を搭載させた。しかし、フロント専用カメラに対してダクション360は、前方車両のナンバープレートが読み取りにくいという課題もあったという。

モーターショーで参考出品したワイヤレスカメラ
第1弾製品のダクション360(DC3000)
第2弾製品のダクション360S(DC5000)

 そして2018年10月に第2弾となる「ダクション360S(DC5000)」を発売。全周囲を撮影できる360°魚眼レンズを前後方向に2つ使用することで、完全なる球体状の撮影を可能とした。さらにフロント向きのカメラは解像度を上げて、前方車両のナンバープレートも読み取れるようにし、ダクション360の弱点を克服したという。しかし、世の中で“あおり運転”が頻発するようになり、今度は後方車両のナンバープレートも読み取れる性能が求められるようになってきた。このダクション360Sはルームミラーの辺りに装着するため、どうしても後方車両のナンバープレートの撮影が難しかったという。

ダクション360D(DC4000R)を新たに開発

 そこで第3弾となる「ダクション360D(DC4000R)」を開発。フロントとリアにそれぞれカメラを設けることで、前後の車両のナンバープレートをしっかりと撮影。車室内は360°の魚眼カメラ+赤外線LEDを搭載し、夜間でもクリアに撮影できるようにした。さらに、2.7インチ大型液晶を装備したことで、操作性も大幅に向上。「これまでの2製品に寄せられたユーザーの要望を取り込みつつ、アクション機能とWi-Fiによるスマホ連携の機能を省くことで価格の上昇を抑えた」と徳田社長は説明した。

ダクション360シリーズのロードマップ。第1弾製品(品番DC3000)よりはるかに高性能でありつつ、第2弾製品(品番DC5000)から一部機能を省いていることから、今回の第3弾製品の品番は2つの中間となる「DC4000R」となっている

 続けて徳田社長は「DC5000は、360°カメラのドラレコとしては最高性能だと自負しているが、CPUの性能とデュアルレック機能を搭載しているため、そこにリアカメラを追加させることが難しく、今回新たにDC4000Rを開発した」と紹介。また「今回は新製品の発表までに3年を要したが、次作は来年発表する予定である」と発表した。さらに今回は省いたアクション機能についても「市場の動向を見て検討する」と語った。

 続いてIT開発グループ ゼネラルマネージャー 中村氏が登壇し、あおり運転による重大事故が増えたことでドライブレコーダーの市場が、新車販売数量に匹敵するほど拡大してきたことを紹介。また、自動車ディーラーや保険会社が販売個数を伸ばしていることから、一部のドライバーだけでなくすべてのドライバーが装着したいとマーケットにも変化が見られ、今後は単価のアップや買い替えが見込まれるという。

ドライブレコーダーの市場や新たなコンセプトARFについて説明した株式会社カーメイト IT開発グループ ゼネラルマネージャー 中村良幸氏

 また、ターゲットについては「必要だとは思っているが、どれを買えばいいのか分からない」といった初めてドライブレコーダーを購入するユーザーに設定していると明かし、エントリーユーザーに分かりやすさと安心感を提供でいる製品にしたとしている。加えて、今使っているドライブレコーダーに満足していないユーザーの、クルマの買い替えタイミングによるドライブレコーダーの新調もターゲットとしていると明かした。

 ここで新製品の紹介動画を公開すると同時に、「ARF(A=Around(360°)、R=Rear(後方)、F=Front(前方)」が、新製品のコンセプトであり、カーメイトが新たに展開していくジャンルだと解説。

【DC4000R】これからのドライブレコーダーはARF!(1分6秒)

前後は高性能カメラで、車室内や側面は360°カメラで全周囲を撮影

製品詳細を紹介した株式会社カーメイト IT開発グループ プロダクトマネージャー 倉林亮太氏

 製品の詳細については、IT開発グループ プロダクトマネージャー倉林氏から行なわれた。外観については、全体的にラウンドさせることで安心感と親しみを与え、表面にはヘアライン装飾を施すことで、ダクションシリーズ感を表現したという。また、コード部分にはスモークタイプの抜け防止カバーを装着していることもアピールした。

 そして新製品のコンセプトとなる「ARF」を強調し、それぞれのカメラ性能を紹介。Around撮影用の360°カメラは、全周囲を撮影できることで、車両の側方と周囲を切れ目なく撮影可能。360万画素に加え、白飛びや黒つぶれを抑える効果があるWDR(ワイドダイナミックレンジ)も採用。赤外線LEDも搭載していることで夜間でもしっかりと撮影できるとしている。リア(REAR)カメラはソニー製のCMOSセンサーであるSTARVISを採用。近年は純正プライバシーガラスの採用率が高まっていることもあり、暗くて撮影が不利な夜間でもしっかり撮影できる点をアピール。解像度はフルHD200万画素で、HDR(ハイダイナミックレンジ)を採用、画角は水平131度、垂直75度の広角で、リアウインドウの形状を問わず幅広い車種にも対応する点も紹介した。

ARFというコンセプトを新提示

 フロント(FRONT)カメラはF値1.5の高性能カメラを搭載。さらに、HDRとWDR(ワイドダイナミックレンジ)を併用することで、白飛びや黒潰れを抑制したクリアな映像を記録でき、画質もフルHDの200万画素を有しているが、より長時間の記録を可能にするために90万画素へ落としての撮影も可能。画角は水平96度、垂直50度に設定。アラウンドカメラがあるので前方に集中し、より遠くまで撮影できるように設計したという。フロントカメラはオンセミ(ONSEMI)のCMOSセンサーを採用し、10m前方の車両のナンバープレートも読み取れるという。

 また、本体裏面にある2.7インチの大型液晶画面には、側面に配置している4つのボタンと連動するアイコンを表示させることで直感的な操作を可能にしている。3つのカメラの映像をそれぞれ映し出せるほか、前後の2つの映像を同時に表示させることも可能とした。SDカード診断機能や配線診断機能を備えていて、不具合があっても画面と音声で知らせてくれる機能も搭載させているという。

使いやすい大型液晶画面

 本体にはGPSとGセンサーを内蔵していて、GPSが「いつ・どこで」を認識し、Gセンサーが衝撃や急ブレーキなどを感知して録画を開始。Gセンサーは車種によって細かく設定が変更できるほか、マイクも内蔵しているので音声も記録可能としている。さらに、別売の駐車監視オプション(DC203)を装着すると、スーパーなど出先の駐車中におけるドアパンチや当て逃げなどの衝撃を記録、最大48時間の監視を可能とした。

 Webサイトから無料でダウンロードできるパソコン用ソフトは、大画面で映像を確認できるほか、従来から可能の映像の明るさ調整や倍速再生、スロー再生はもちろん、今回は新たに「安心ぼかし機能」を搭載。任意の場所に簡単にぼかしが入れられ、プライバシーを保護しつつ、SNSなどへのアップもしやすくしたという。価格はオープンプライスだが、想定価格は5万6800円前後という。