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政府、GX実行会議で基本方針 カーボンプライシング導入と20兆円規模の「GX経済移行債(仮称)」発行など関連法案提出へ

2022年12月22日 発表

自動車産業における今後の道行き、今後10年間で約34兆円〜の投資が必要と試算

 政府は12月22日、岸田総理出席のもと、総理大臣官邸で第5回GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議を開催。会議では、GX実現に向けた基本方針について議論が行なわれ、今後10年を見据えたロードマップとして「GX 実現に向けた基本方針(案)」が示された。

 会議では、GXを実現するために今後10年間で150兆円超の官民による投資が必要との試算が公表され、岸田総理は「国として、20兆円規模の大胆な先行投資支援を実行いたします」と述べた。具体的には、150兆円超の官民投資の呼び水となる政府による規制・支援一体型投資促進策として、カーボンプライシングを導入、その結果として得られる将来の財源を裏付けとした20兆円規模の「GX経済移行債(仮称)」を、2023年度以降10年間、毎年度、国会の議決を経た金額の範囲内で発行していくという。

今後10年間を見据えたロードマップの全体像

 今後10年間で官民で実現する150兆円超のGX投資の中では、自動車産業においては今後10年間で約34兆円超のGX投資が必要と試算。自動車産業のカーボンニュートラル化を実現するため、今後10年で省エネ法などで電動車の開発・性能向上・車両導入への投資を促しつつ、国際ルールへの対応を着実に進めることによりグローバル市場への展開を進めると今後の道行きが示された。

 具体的には、2022年6月7日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針 2022」のもと、自動車については、将来の合成燃料の内燃機関への利用も見据え、2035年までに新車販売でいわゆる電動車(EV:電気自動車、FCEV:燃料電池自動車、PHEV:プラグインハイブリッド自動車、HEV:ハイブリッド自動車)100%とする目標等に向けて、蓄電池の大規模投資促進等や車両の購入支援、充電・充てんインフラの整備等による集中的な導入を図るとともに、中小サプライヤー等の業態転換を促す戦略がとられる。

 そのほか、エネルギー安定供給の確保に向けては、再生可能エネルギーの主力電源化を掲げ、2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギー比率36~38%の確実な達成を目指すとともに、原子力の活用として2030年度電源構成に占める原子力比率20~22%の確実な達成に向けて、安全最優先で再稼働を進めるとした。そのほか、水素・アンモニアの導入促進なども盛り込まれた。

 GX実行会議は、化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革を実行を目指す会議で、今後、今回取りまとめる「基本方針」について幅広く意見を聴くパブリックコメントを経て、次期通常国会に、GX実現に向けて必要となる関連法案を提出するとしている。

GX実現に向けた基本方針(案)参考資料