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シャープ、ドライバーモニタリングシステムや車載用太陽電池などCES2023に出展

2023年1月5日(現地時間)発表

シャープブースのAutomotiveエリア

 シャープは、米ネバダ州ラスベガスで開催されている「CES2023」に出展し、自動車関連技術や商品の展示を行なった。シャープがブースを構えたのはウィン・ラスベガスホテルのボールルーム「Petrus」で、CES2022の主要会場の1つであるベネチアンコンベンションセンターに隣接した場所だ。

 展示ブースは「Automotive」のほか、「New Energy」「AR/VR」「TV」の4つのテーマで構成。世界最大クラスとなる120V型ディスプレイ「AQUOS XLED」や、スマートフォン接続型VR用ヘッドマウントディスプレイなどを初めて参考展示してみせた。

 自動車関連技術や商品の展示は「Automotive」のコーナーに集約して出展され、すべてが初めての展示となった。

視野角制御ディスプレイを活用した助手席用モニター「Passenger Information Display」

 海外初出展となった視野角制御ディスプレイを活用した助手席用モニター「Passenger Information Display」はクルマのコクピット用モニターであり、独自のバックライト技術により、走行時は運転席から助手席用モニターの映像を視認できないようにディスプレイの視野角を制御。安全かつ快適なドライブをサポートするという。

ドライバーモニタリングシステム
ドライバーの視線や顔の向き、まばたきを検知。ドライバーの居眠り検知なども行なえる

 2つめがドライバーモニタリングシステムである。これも初出展であり、今回は参考展示として披露された。コクピット用ディスプレイとカメラモジュールを一体化し、ドライバーの視線や顔の向き、まばたきを検知してドライバーを見守るという。居眠りを検知することも可能であり、運転中の安全性を高めることができる。

高感度の圧力センサーと、振動などによって触感のフィードバックを得られるクリックディスプレイ

 3つめのクリックディスプレイも海外初出展。高感度の圧力センサーと、振動などによって触感のフィードバックを得られるハプティクス技術を融合した新開発のディスプレイで、十字キーや音量ボタンなどを凹凸形状で形成することが可能になる。スマートフォンのような滑らかなタッチ操作と、物理キーのようなクリック感がある操作性を1つのディスプレイの上で実現できるのが特徴であり、カーナビゲーションシステムへの採用のほか、車内のエアコンやオーディオなどの操作も行なえるようにする考えだ。

車載用太陽電池の展示エリア
シリコン製の車載向け太陽電池モジュール
世界最高の変換効率32.65%を達成した化合物太陽電池

 そして4つめが車載用太陽電池で、これも海外初出展となる技術だ。ここでは軽量およびフレキシブル性を実現しながら、世界最高の変換効率32.65%を達成した実用サイズの化合物太陽電池と、シリコン製の車載向け太陽電池モジュールを紹介。高効率化と軽量化が求められるEVなどの移動体への採用のほか、人工衛星などの宇宙や航空分野への利用を提案してみせた。

 今回のシャープブースの展示では、同社が打ち出している「ESGに重点をおいた経営」を具現化する技術や商品を揃えたという。

ペロブスカイト太陽電池を参考展示

 Automotive以外の領域では、次世代の太陽電池として注目を集めているペロブスカイト太陽電池を参考展示。発電効率が高く、薄型、軽量で、フレキシブルな次世代太陽電池であり、低コストで、省エネルギーでの生産が可能になるという特徴を持っている。これまでは耐荷重の問題や、形状の問題などから太陽電池の設置が困難だった場所にも適用することができる。

 また、屋内光発電デバイス「LC-LH」を展示。日本で開催されたCEATEC 2022でも展示を行ない、経済産業大臣賞を受賞するといった高い評価を得た実績をもとに満を持して出展した。屋内光を高効率で電気に変換可能な色素増感太陽電池と、液晶ディスプレイ技術を融合。時計や電卓などに用いられている一般的な太陽電池に比べると、約2倍の発電効率を実現している。

約175kgの超軽量化を実現したVR用超軽量HMDプロトタイプ

 ブースの中で注目を集めていたのが、参考出展したVR用超軽量HMDプロトタイプだ。約175gという軽量化を実現。長時間使用しても疲れにくく、コンパクトに折りたためることから、外出先などへの持ち運びにも便利な次世代型のHMDを実現するものになる。

 シャープが持つ超高解像度ディスプレイを採用。片眼2K×2の4Kによる高精細映像と、120Hz駆動による滑らかな表示を可能にしたことで、高い没入感を体験できるのが特徴だ。また、ポリマーレンズを採用することで、超高速オートフォーカスに対応した独自のRGBカラーカメラモジュールを搭載。現実世界の周囲の様子を映像として取り込んでカラー表示する「カラースルー映像表示機能」や、VR空間上の一部に現実世界の周囲の映像をウィンドウ表示する「POPUP映像表示」機能を搭載し、さまざまなVR体験を可能にしている。

 また、ポリマーレンズの厚みを変化させることでピントを合わせるため、一般的なカメラよりもすばやくピント合わせが可能になり、ピントの位置が動いても画角が変わらないため、映像に酔いにくいというメリットも生まれている。VRの利用シーンの拡大に貢献しそうだ。

世界最大クラスとなる120V型のAQUOS XLEDを初公開(中央)

 そのほか、世界最大クラスとなる120V型のAQUOS XLEDを初公開。さらに、世界最薄となる2mm以下の超小型カメラモジュール、HMD本体やコントローラーに搭載することで、HMD装着者の人や物への衝突抑制に活用する小型ToF型距離センサーなどを展示している。

 なお、シャープでは今回のCES2023への出展にあわせて、米国テレビ市場への本格的な再参入を発表。フラグシップモデルとなるAQUOS XLEDと、Rokuを搭載した有機ELテレビ2機種、液晶テレビ4機種を米国市場で販売することを発表し、会場でも展示した。