ニュース

アルファ ロメオ、新型SUV「トナーレ」発表会 新開発エンジンや先進装備など“DNAを受け継ぎすべてを兼ね備えた”モデル

2023年1月26日 開催

新型「トナーレ」発表会に出席したStellantisジャパン株式会社 代表取締役社長 打越晋氏(左)、アルファ ロメオブランドCEO ジャン=フィリップ・インパラート氏(右)

まずは受注生産モデルと導入記念モデルの2モデルでの展開

 アルファ ロメオ(Stellantisジャパン)は1月26日、ブランド初となるマイルドハイブリッド(MHEV)を搭載した新型ミドルサイズSUV「トナーレ」の発表会を開催した。トナーレの発売日は2月18日。

 トナーレは全幅1850mmを下まわる1835mmと使い勝手のよいサイズ感で、4530mmの全長は美しいデザインに貢献。プラットフォームは、ステランティスグループのスモールワイドプラットフォームを採用し、アルファ ロメオ特有のクイックなハンドリング、コーナーでのリニアな応答性、スポーティな走りを実現するために、トナーレに合わせてワイドトラック化、前後ストラット式のサスペンション、シャシー剛性の強化などのこだわりが施されている。

トナーレ導入記念モデル「エディツィオーネ・スペチアーレ」。ボディカラーはミザーノ ブルー。ボディサイズは4530×1835×1600mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2635mm
20インチ5ホール ブラック アルミホイール(ダイヤモンドカット)を標準装備。タイヤサイズは235/40R20
エディツィオーネ・スペチアーレ特別色のモントリオール グリーン

 最高出力160PS、最大トルク240Nmを発生する直列4気筒1.5リッター直噴ターボエンジンは新開発となり、気筒内の緻密な燃焼精度を図り、350気圧の高噴射圧、12.5:1の高い圧縮比、吸気ポートの改良、可変ジオメトリターボ、ミラーサイクルの採用によって熱効率を向上。さらに、最高出力20PS、最大トルク55Nmを発生する48Vモーターを内蔵する7速DCTを組み合わせ、ベルト・スターター・ジェネレーターと、リチウムイオンバッテリを搭載するハイブリッドシステムをブランドとして初採用している。WLTCモード燃費は16.7km/Lで、走行の状況に応じてエンジンとトランスミッションを切り離して、約20km/hまで電動走行が可能となっている。

新開発の直列4気筒1.5リッター直噴ターボエンジンを搭載。最高出力は160PS、最大トルクは240Nmを発生。トランスミッションには7速DCTを組み合わせ、48Vモーターが内蔵される。モーターの最高出力は20PS、最大トルクは55Nm

 コネクティビティも新しくなり、車載通信モジュールを搭載し、車内のヘッドユニットとスマートフォン、スマートウォッチ、PCなど多くのタッチポイントから機能を利用可能としたほか、NFT(非代替性トークン)を史上初搭載。スマホアプリから走行距離などのデータを登録することで改ざん不可能なデータとして記録され、車両を手放す際も、次のユーザーも、安心して車両情報を管理できるとした。

 さらに、CセグメントのプレミアムSUVに求められる先進装備として、ブランド初採用となるデジタルメータークラスター、視認性や安全性を高めるマトリクスLEDヘッドライト、長距離ドライブの負担を軽減するレーンセンタリング機能、日本市場専用に採用されたアイシン製のナビゲーション、狭い路地などで安心をもたらす4つのカメラといったアイテムを標準装備としている。

10.25タッチスクリーン、ナビゲーション、12.3インチ大型デジタルクラスメーターなどを装備
スポーツレザーステアリング(オーディオコントローラー付き)
シフトまわり
リアシート
フロントシート
アルミニウムスポーツペダル
ラゲッジルーム容量は500L。リアシートは6:4分割可倒式

 モデル構成は、スタンダードモデルで19インチホイールを装着する「TI」(受注生産)と、導入記念モデルで20インチホイールと各種快適装備を採用した「エディツィオーネ・スペチアーレ」を設定。導入記念モデル販売終了後は、後継モデルとして「ヴェローチェ」を導入予定としている。

 ボディカラーは、TIがアルファ レッド(ソリッド)、アルファ ブラック(ソリッド)、アルファ ホワイト(ソリッド)の3色を設定。エディツィオーネ・スペチアーレが特別色のモントリオール グリーン(三層塗装)、ミザーノ ブルー(メタリック)、ヴィスヴィオ グレー(メタリック)、アルファ レッド(ソリッド)の4色を設定している。

 価格はTIが524万円、エディツィオーネ・スペチアーレが578万円。

「ステランティスだからこそ提供できる価値」とは

 発表会では、Stellantisジャパン 代表取締役社長の打越晋氏が登場し、「ステランティスが提供できる価値」を“4つの車輪”に例えて紹介。

Stellantisジャパン株式会社 代表取締役社長 打越晋氏
Stellantisジャパンが提供できる4つの価値

 1つ目は、「8つのブランドを展開していることにより、多様性に富んだ商品を提供できること」として、ステランティスの名前がラテン語の“ステロ”にちなんで、“星とともに輝く”という造語であることを話し、「日本では8つの星が輝いていることになります。ただそれは均等に輝いているのではなく、ある星はダイヤモンドのようにクールに、別の星は真っ赤に燃えた太陽のように輝き、そしてそれらは見る人によって違って見えるかもしれません。つまりわれわれは、ブランドの個性を極限まで商品に落とし込み、全く違う輝きを放つ魅力的な商品ラインアップを提供することができるという、ステランティスだからこそご提供できる価値となります」と話した。

Stellantisジャパンが取り扱う8つのブランドを星に例えて紹介

 2つ目の価値は、多様性に富んだモデル展開をするブランドで電動化を進めていくことだとして、2023年はイタリアブランドで3モデル、アメリカブランドで3モデル、フレンチブランドで13モデル、合計19のさまざまな個性を持った電動化モデルを提供していくと紹介。

電動化モデルを強化。2023年は計19モデルが登場予定

 さらに3つ目として、販売ネットワークの拡充を挙げ、2022年の349拠点から、2025年までに442拠点にネットワークを拡大し、その豊富なブランドから個性的なモデルを提供していくとした。その際には、ジープを取り扱っている店舗でアルファ ロメオを取り扱えるようにしていくなど、複数のブランドを取り扱える店舗を増やしていく方針であるとしている。

国内ネットワークを拡充。2025年に日本国内442拠点を目指す

 最後の4つ目は、購入の仕組みを改善し、ファイナンス商品をブランド間で共有できるようにするといった利便性も高めていくとのこと。例えばフィアットを所有しており、特別金利のファイナンス商品を利用していた場合、今後は“ステランティス”のオーナーとして、別のステランティスブランドで次のクルマを購入する際にも、継続して特別金利を適用できるようにしていくとして「これこそ、ステランティスならではのお客さまに提供できる全く新しい価値」とした。

“ブランドのお客さまからステランティスのお客さま”となってもらうため、購入しやすい仕組みを提案していく

2024年に日本に投入されるEVに向けて、電動化の第一歩

 続けて、アルファ ロメオブランドCEOのジャン=フィリップ・インパラート氏が登場。トナーレを“アルファ ロメオの新しいベビー”と呼び、「これが私たちの新たな時代を象徴するクルマです。アルファ ロメオのDNAを受け継ぎ、デザイン、スポーティらしさ、イタリアらしさ、品質のすべてを兼ね備えています」と紹介。「今日、“アルフィスティ”のベビーとなるトナーレをアンベールできることを非常にうれしく思います」と話した。

3年ぶりの来日となったというアルファ ロメオブランドCEO ジャン=フィリップ・インパラート氏

 また、「アルファ ロメオは1910年に生まれたブランドであるからこそ、ステランティスの中でもグローバルプレミアムブランドであると位置付けており、品質がとても重要です。北米のJDパワーの調査で、2022年にアルファ ロメオはセールスサティスファクションインデックスで第1位を獲得しました。ただし、お客さまが求めていらっしゃるのは製品だけではありません。体験・経験や、信頼を求めていらっしゃいます。長い期間を人々に寄り添ってきた高いサービス、高い製品クオリティを誇るブランドとして、今後も皆さまにお約束していきます」と話し、その高い品質を保つために、日本がベンチマークであると明らかにした。

JDパワーの調査でセールスサティスファクションインデックスランキング1位を獲得

 加えて、今後5年でヨーロッパ以外のリージョンの比率を40%に増やしていくとともに、2030年まで毎年1地域あたり1車種を発表していく計画を紹介。アルファ ロメオのブランドポジションについて「私たちアルファ ロメオは特別なのです。朝の5時からミラノ市内をF1で走行したいとミラノ市長に交渉ができ、ローマの大聖堂に朝5時に入りたいと言ったら、『あ、大丈夫ですよ』と言ってもらえるのです。コストはゼロですよ。これがイタリアです」と述べたほか、「赤」「スポーティ」というシンプルな特徴があると述べ「ポジショニングに苦労することはないです」とした。

ヨーロッパ以外の地域の比率を高めていく方針

 それを踏まえ「世界はすごく速く動いていますし、私たちも動いていかなければなりません。ですから、私のミッションとして、アルファ ロメオを今後に向けて守っていかなければなりません」と話し、そのための活動としてゼロエミッションの取り組みを進めていると説明。2021年にはアルファ ロメオの電動車はゼロであり「電動化に対しては非常に遅かったかもしれません」としたが、「電動化のペースは世界一のスピードで進めていきます」と、2027年にはすべてのラインアップを電動化し、エミッションがゼロになると述べた。

-40%のCO2削減を目指すとともに、2027年にはBEVのみのラインアップとなる方針を示した

 さらに、2024年にアルファ ロメオ史上としては世界で初めてとなるEVを日本で発売すると話し、「2024年、25年、26年、27年と毎年必ず地域ごとに1台ずつアルファ ロメオをローンチしていきます。これから一貫性のあるやり方で皆さまにご説明していきますので、そのときの状況に応じて戦略を変えるということはしません」と力強く語った。

 最後にインパラート氏は「絶対に忘れないでいてほしいメッセージがあります。アルファ ロメオのアルファは“アノニマ・ロンバルダ・ファブリカ”です。誰かの人の名前ではありません。私たちはイタリアとして、ミラノとしての誇りを持ってこの社名を掲げています。トナーレから、ゼロエミッションを進めます。自動車産業、つまりモビリティは常に私たち人間の行なっていくことの核にあります。私たちのミッションは、皆さんのやりたいことを製品でサポートしていきます」と締めくくった。

変化する環境の中でもDNAを変えることなく進化するモデル

 Stellantisジャパン アルファ ロメオ プロダクトマネージャーの田村明広氏がトナーレの詳細を説明。トナーレには、電動化など、変化する環境の中でもブランドの根幹をなすDNAを変えることなく進化させていくというメッセージが込められていると紹介した。

Stellantisジャパン株式会社 アルファ ロメオ プロダクトマネージャー 田村明広氏

 また、トナーレのセグメントマーケットの概況についても説明。2022年の輸入車販売台数約24万台のうち、全体の28%をCセグメントが占め、その中で最も大きいのがSUVのセグメントとなるとのこと。これまでのジュリア、ステルヴィオに加え、トナーレの登場をきっかけに、より多くの顧客にアルファ ロメオを知ってもらう商機としたいとした。

 加えて、プレミアムブランドのSUVを購入する顧客の傾向として、Cセグメントからのアップサイジングと、Dセグメントからのダウンサイジングが見られるといい、プレミアムブランドのSUVを購入する理由として上位に挙げられるデザイン、コンパクトなサイズともに、トナーレが併せ持つ強みでもあるとした。

コンパクトSUV購入者 流入元セグメント
プレミアムコンパクトSUV購入理由

【お詫びと訂正】記事初出時、一部表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。