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マイクロソフト、自動車メーカーのSoftware Defined Vehicle開発をAzureでサポート 自社開発製品は商用化せずと強調

2023年1月26日 実施

FIATが行なっているマイクロソフトのメタバース技術を利用したリモート接客

 日本マイクロソフトは1月26日、記者説明会を行ない同社の自動車向けソリューション、特にSDV(Software Defined Vehicle)向けのソリューションなどに関しての説明を行なった。

 この中でマイクロソフトは「SDVに限った話ではないが、マイクロソフトがエンドツーエンドのソフトウエアを開発して提供するということはない。マイクロソフトが目指しているのはお客さまがSDVを開発する時に、お客さまの足りないものを提供してお客さまが製品化することを助けていきたい」(マイクロソフト・コーポレーション 自動車・モビリティ産業担当 ディレクター 江崎智行氏)と述べ、マイクロソフトのSDVソリューションは、具体的に何か製品を提供するというよりは、Azure(マイクロソフトが提供するパブリッククラウドサービス)のようなパブリッククラウドサービスなどを顧客のソリューションと組み合わせて提供することで、顧客がSDVを構築する助けになりたいと強調した。

SDVの実現に向けたソフトウエア開発が重要

米マイクロソフト自動車・モビリティ産業担当 ディレクター 江崎智行氏

 米マイクロソフト自動車・モビリティ産業担当 ディレクター 江崎智行氏は「現在自動車産業で起きている変化は、デジタルの力を借りていかに他社と差別化していくかという取り組みになる。そうした中で、すでにコネクテッド(インターネットに常時接続されていること)は当たり前になっており、これからはSDVに向かっていくことになる」と述べ、SDVの実現に向けたソフトウエア開発が自動車メーカーや、そのパートナーであるティアワンの部品メーカーにとっては重要だと説明した。

100年に1度の変革
ビジネスの変革
自動車産業の重要課題

 その上で江崎氏は、「SDVに限った話ではないが、マイクロソフトがエンドツーエンドのソフトウエアを開発して提供するということはない。マイクロソフトが目指しているのはお客さまがSDVを開発する時に、お客さまの足りないものを提供してお客さまが製品化することを助けていきたい」と述べ、マイクロソフトの自動車向けのソリューションは、マイクロソフト自身がSDVのソフトウエアを提供するというのではなく、ティアワン部品メーカー、さらにはそのパートナーとなるソフトウエアベンダーなどを含めて上流から下流まで存在するサプライヤーと自動車メーカー自身がSDVを開発する時に、マイクロソフトでなければ提供できない何かを提供する、そうした形で存在していきたいと強調した。

マイクロソフトのSDV戦略
オープンソースの推進
The Eclipse FoundationのSDVワーキンググループ

 そうしたマイクロソフトのSDV戦略として江崎氏は「オープンソースの推進、商用化の支援、戦略的パートナーシップ」という3つを挙げ、それらをベースにOEMメーカーやティアワン部品メーカーなどがSDVを開発していく支援を行なっていきたいと述べた。

 例えばオープンソースの推進としては、ZFなどの欧州のティアワン部品メーカーなどが中心になって開設されたThe Eclipse FoundationのSDVワーキンググループにマイクロソフトも設立時から参加しており、多くのパートナーとSDVのソフトウエア開発でも非競争領域の開発を行なっていると説明した。

 その上で「弊社のThe Eclipse FoundationのSDVワーキンググループ担当者からは、ぜひ日本の自動車メーカー、ティアワンの部品メーカーの皆さまにもご参加いただき、日本の強みを発揮してほしいと言われている」と述べ、日本の自動車メーカーやティアワンの部品メーカーに同ワーキンググループへの参加を呼びかけた。

 そうしたオープンソースを利用したマイクロソフトの取り組みとしては、SDVのソフトウエア開発に同社のAzureを利用する仕組みを提供し、顧客がより容易にSDVやコネクテッドな環境を構築して製品化する助けをしていきたいと説明した。

GM、メルセデスベンツ、北米トヨタ、FIAT、日産自動車がすでにマイクロソフトのクラウドを活用したサービスを提供

GMのGeneral Motors Ultifi

 引き続き江崎氏は、GM、メルセデスベンツ、北米トヨタ、日産自動車との具体的な4つの事例を紹介。GMは「General Motors Ultifi」というクラウドサービスを構築しており、それを今年の後半からサービスインする計画。そのクラウドサービス上でサブスク料金を導入するなど、自動車メーカーの新しい収益源としても注目されているサービスになっているという。

メルセデス・ベンツのMO360

 メルセデス・ベンツとマイクロソフトの「SaaS(Microsoft 365など)」を利用して構築されたMO360は、乗用車工場をクラウドのサービスに接続し、サプライチェーンのボトルネック解消、スピードアップ、リソースの動的な配分などを実現しているという。メルセデス・ベンツによればそうしたシステムの導入で、生産効率が20%向上する見通しとのこと。

北米トヨタの取り組み

 北米トヨタの事例では「Microsoft Power Platform」というサービスを利用して、ノーコード/ローコード(プログラミングの知識がなくてもプログラムを作る仕組み)を実現するPowerAppsを利用して、400以上のアプリを実現したという。その具体例としてExcelのデータをPower BIのダッシュボードに変換し、毎月10時間はそのExcelデータの編集に無駄になっていた時間を節約し、他のことを行なうことが可能になったとした。

日産自動車の事例

 また、FIATは接客にメタバースを活用している事例が紹介され、日産自動車の事例では「Hololens 2(マイクロソフトのMRヘッドセット、シースルーの画面の中にARコンテンツを表示できるデバイス)」と「Dynamic 365 Guides」というサービスを活用して、工場で働く従業員に自律型のトレーニングを提供することを可能にしたことが説明された。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 モビリティサービス事業本部長 竹内洋二
モビリティサービスのエコシステム

 日本マイクロソフト 執行役員 常務 モビリティサービス事業本部長 竹内洋二氏は日本における取り組みに関して「日本市場は多数の自動車メーカーが存在するというユニークな市場。われわれは移動という側面だけでなく、新しいことや体験を届けることにわれわれの製品群や経験で貢献できないかと常に考えている。Xboxに代表されるようなゲーミング、Hololensのようなメタバース、デジタルツインなどわれわれの製品からお客さまに提供できることは多くあると考えている」と述べ、マイクロソフトは自動車のエリアで決して顧客のビジネスと競合するような取り組みを行なうことは今後もなく、顧客のビジネスを伸ばしていく助けをしていきたいと強調した。