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車中泊やキャンプを「ZR-V」「ステップワゴン」「N-VAN」で楽しむノウハウを3人のアウトドアの達人が解説
2023年3月20日 12:13
- 2023年3月15日 開催
ホンダ車用の純正アクセサリーを製作、販売するホンダアクセスが開催したちょっと風変わりな取材会を紹介しよう。それが「Honda純正アクセサリー アウトドア取材会」だ。
名称から「ホンダ純正アクセサリーを装備したクルマでアウトドアレジャーのシーンを再現」という内容かと思いきや、まったくそうではなく、車中泊を取り扱う雑誌「カーネル」で活躍する車中泊の達人や有名アウトドアコーディネーターが「ホンダ車でアウトドアや車中泊を楽しむ」をテーマに、「ZR-V」「ステップワゴン」「N-VAN」といった、それぞれ担当のクルマを「遊びのクルマ」にアレンジし、クルマのカタログや普通のクルマメディアの記事では見えないホンダ車の魅力を伝えたいという趣旨。ミニバンやSUV、軽自動車でアウトドアレジャーを楽しみたいと考えている読者は、今回紹介した達人のノウハウをぜひ参考にしていただきたい。
充実したファミリーキャンプができるギア選び&積載ノウハウ
今回の展示で小雀さんが提案したのは、家族でキャンプを快適に楽しむためのギア選び。
ミニバンのステップワゴンはもちろんのこと、SUVのZR-Vもリアシートを倒せば広いラゲッジスペースが確保できるが、それでは乗車できる人数が減ってしまう。ステップワゴンは3列目シートを収納してラゲッジスペースとするのは仕方ないが、足もと広々の2列目シートを前にスライドさせるような積載方法はクルマの特徴をスポイルしてしまうのでできれば避けたいところ。
とはいえアウトドアでは美味しい料理を調理したり、チェアに座ってのんびりしたり、住み心地のいいテントで過ごす時間も楽しみたいので、それなりの数の道具を持っていく必要がある。となると、ポイントになるのは道具選びと積載方法だ。
ちなみに、キャンプ道具は対象人数や運ぶ手段によって道具の大きさも形状も変わるので、すでに道具を持っている人でも、クルマを乗り換えたり家族や仲間が増えたり、キャンプスタイルが変わった場合は道具も変わる。それだけに「持っているよ」という方も小雀さんの話を参考にしてほしい。なお、ステップワゴンは4名、ZR-Vは3名でのアウトドア遊びを想定している。
大型テントにタープ、人数分のシュラフ、ゆったり使えるテーブルにチェア、そして凝った調理も可能なツーバーナーコンロ、大容量のウォータージャグ、大型クーラーボックスはどちらも同じ装備となっているが、前記したようにステップワゴン、ZR-Vともに人の乗車スペースを犠牲にすることなく、充実の道具を積むことを前提としているので、ラゲッジスペースのサイズが異なる2台では道具のチョイスに工夫があった。
積んでいくギアを決めるポイントになるのは大きさと素材。ラゲッジスペースに余裕があるステップワゴンでは、チェアを木製の折りたたみ式を選んでいたのに対して、ZR-Vは組み立て式のコンパクトチェアをチョイスしている。
そしてテーブルも少し小さいものを選択。さらにクーラーボックスやウォータージャグという比較的かさばる道具もハード素材とソフト素材で使い分けることでスペースを節約していた。
なお、小雀さんによると、初めて道具を揃えるときは、どんなモノ、どんなサイズを買ったらいいか分からないと思うので、レンタル品を借りて自分のキャンプスタイルに合うものを探していくといいそうだ。
小雀さんの積載方法で大きなポイントになるのが、コンテナのような大きな箱を使用しないことと、大きなものや現地で最初に使用するものは最後に積むこと。
アウトドア道具に限らず、同じ目的で使用する道具はちょうどいいコンテナなどにまとめるのが一般的だ。しかし、アウトドアで使う道具は大きさや形状もそれぞれで違うので「四角い箱」に詰めていったときにすき間ができるもの。そこで小雀さんのトランクボックスを使わない積載方法。ただし、これは単純に「剥き出しのまま積みました」ということではない。
キャンプ場到着後はテントやテーブル、チェアなど大きいものから設営していくので大物は手前に積む。これなら降ろすときは順に引き抜いていけばいい。そして撤収時は小物から片付けるので小物を先に積んで、あとから大物とやっていくと、とくに意識することなく来たときと同じように積めるのだ。また、クーラーボックスも道中に食料品を購入した場合に入れやすいように(=食料品を入れたら当然重くもなるので)手前に積むのがセオリーだという。
コンテナに入れることを前提にすると作業性を重視した積み方もできなくなる。これは時間のムダにもなるとのこと。それゆえに単体で積むのはラゲッジスペースを有効に使えるだけでなく、道具の展開、撤収にもメリットがあるという。また、必須ではないが折り畳みベンチも積んでおくと、前日の雨などで現地の地面がぬかるんでいた場合、クーラーボックスなどを汚さずに置けるので重宝するという。
そのほかの細かい積載方法は画像で紹介するが、ステップワゴン、ZR-Vとも、複数人数での快適なキャンプができる道具が無理せず積めることを証明した展示だった。
なお、キャンプ道具は使わないときはクルマから降ろして自宅やレンタル倉庫などにしまうことになるが、今回のセットであれば、ラゲッジと同じわずかなスペースを用意すれば収納できるということだ。
母と娘で出かけるキャンプスタイル
ちょもかさんは車中泊やキャンプを得意としている女性で、女性目線からの「楽しいキャンプ」を提案。テーマはステップワゴンを使った「母と娘でいくキャンプスタイル」で、ポイントはテントではなく就寝は車中泊で行なうという部分だ。
最近のテントは設営が容易になっているとは言え、女性ひとりで組み立てるのは大変。とくにファミリーキャンプで使うような背の高い大きなテントなら小柄な人にはよりハードルが高くなる。そこでちょもかさんはクルマをテント代わりに使用し、食事やくつろぎの場としてカーサイドタープを使用。
こちらも組み立て式ではあるが、テントよりはるかに設営が簡単で(ただ、風が強いときの設営は勧めないという)、日差し避けも十分、途中で雨が降ってきても問題なく、サイドの幕を閉めれば風の吹き込みをシャットアウトできる。また、適度に周囲からの視線も防げるものだ。なお、テントを使用しない理由は、しっかりロックができる車内の方が安心感が高く、女性だけでリラックスして就寝できるからだという。
キャンプのとき楽しみといえば食事だが、父親がいない日は母と娘で食べたいものをチョイス。ちょもかさん的には「チーズフォンデュとケーキですかねぇ」といっていた。そんな調理に使うギアも女性キャンプ目線で選んでいたが、これも興味深い。
前出の小雀さんもそうだが、男性は機能で道具を選ぶ傾向が強いが、ちょもかさんが選んだ道具はデザインや雰囲気重視であり、さらに花やラグマットなどもさりげなく飾っているのが特徴。
また、タープ内にはマットが敷かれたスペースが設けてあったが、ここは子供が靴を脱いで座って、お絵かきしたりするために用意した場所となっていた。子供は飽きっぽいので、チェアだけでなく、車内やマットなどちょこちょこ移動できる場所を用意しておくといいそうだ。
ここで家族をキャンプに連れて行きたいお父さん(彼氏さん)に向けてのアドバイス。男性はキャンプに行くことをストレートに楽しめるが、女性はそれだけではなにか足りない気がしているかも知れない。そこでちょもかさんがやっていたように、テーブルまわりやテント内の装飾の選択を同行する女性に頼んでみてはどうだろう。その道具を買いに行くところからキャンプを楽しめるのではないだろうか。
N-VANの住人が提案するZR-Vは車中泊仕様
3人目は1年のうち300日近くを「N-VANの中で過ごす」というruiさんが提案するZR-Vの車中泊スタイルだ。取材班は当初「ZR-Vで車中泊? ちょっと無理しているのでは?」と思ったが、実際の仕上がりを見たらまったくそんなことはなく、かなりワクワクする内容であった。
そこでZR-Vの説明をするにあたって、まずはruiさんのことを知って欲しいので、愛車=「お住まい」であるN-VANを紹介したい。
グレードは「+STYLE FUN」のFFでCVT車。当初は仕事用の機材を運ぶクルマとして購入したが、コロナ禍で仕事のやり方に変化が出てからはテレワークをする場にもなっていったという。それから車中泊の機会も増えていくうち、室内を自分好みに作り替えていった。いろいろな仕様を試したが自分が車内でやりたいことを整理すると机での作業と寝ることの2点に絞ったそうだ。
そしてDIYで室内を製作。雰囲気だけでも最高だが、これは既製品ではなくてruiさんがN-VANの中で暮らしやすいことにこだわってモノの選択、モノの配置、機能などで構築。そこに自分の部屋としてふさわしい装飾を追加した作りなので、うらやましく憧れてしまうまさに部屋。また、かなり手の込んだクルマに仕上がっているが、穴を開けるなどの車体加工は一切なし。すべて取り外せて、そのまま別のN-VANに付けることも可能だという。
そんなruiさんだって最初から満足する空間が作れていたわけではない。メイク&トライを繰り返して心地いい場所を作ったという。そしてそんな人だから車中泊を楽しむツボを知り尽くしている。
そこでZR-Vだ。まずは就寝スペース。後席を前倒して助手席を一番前までスライドさせれば伸長180cmでも真っ直ぐに寝ることが可能。ただ、前席と後席の間には空間ができてしまうが、そこに35Lサイズのトランクボックスを入れることで対処していた。
さらに、床面の凹凸をなくす狙いと断熱効果のある銀マットを敷き、その上にテント泊用のマットを敷けば十分寝られる状況となるのだが、N-VANの車内をDIYで自分の居所としているruiさんとしては、この空間にもruiさんらしい個性を持たせていた。
それがカーテンやテーブル、そしてラグマットなどだが、ZR-Vを購入した人が「ZR-Vでやりたいことのリスト」において、車中泊は下位のもの、もしくは考えてもいなかったことであることも想定できる。
そこでruiさんはあえて「簡易的」な装備を選択。ホームセンターなどで入手する「流用品」で作ることで、DIYの楽しさと、要望の下位の「コト」らしいチープ感を演出。それによりZR-Vという車格の高いクルマに対して「いたずら」をしているような雰囲気を味わう空間とした。
人の感じ方はそれぞれだろうけど、取材班はruiさんの解説を聞き、その空間を見たところ、子供のころに作った「秘密基地」を思い出した。そしてワクワクした。ZR-Vに作られたこの就寝スペースは天井高が低いのでそれほど快適ではないだろうし、テーブルがあっても床が柔らかく斜めなのでPCで仕事をするのには向いていない。でも、そんな不自由込みでワクワクする空間になっていたのだ。
ZR-Vで車中泊ができることもトピックだが、このクルマからはそれ以上のものが感じられた。意外性を含めて、今回の展示の中でもっとも面白いと思えたモノだった。
ホンダアクセスもN-VANとZR-Vでの遊び方を提案
最後はホンダアクセスが提案する2台を紹介。まずはN-VAN。たくさんのホンダ純正アクセサリーが装着されているが、今回はテールゲートカーテンに注目。
筆者もN-VANに乗っているが、景色がいいとか居心地がいい場所では、簡易的なデイキャンプスタイルを取りたいと思うことがある。具体的にはちょっとした幕の中にイスを出してのんびりしたいというもの。そんなときにサッと出せてセットできるのがテールゲートカーテン。画像のように片側をロールアップして使えるのがポイントだ。
N-VANにはベッドキットなど車中泊用アイテムがたくさん出ているし、カーサイドタープもあるが、たいていが「展開がそれなりに大がかり」だし、常時積んでおくのも場所を取る。しかし、テールゲートカーテンなら付け外しも早く、収納も場所を取らない。N-VANでフラッとお出かけするのが好きな人には、ぴったりのアイテムだと思う。
ZR-Vはお父さんが週末に愛犬をつれてフラリと出かけるシーンを想定した装備を装備。ラゲッジスペースにはミノウラ製のサイクルキャリアを載せてクロスバイクを搭載。大径ホイール車でも前輪を外してサドルを下げることで積めてしまうのだ。
愛犬には「ペットシートプラスわん2」を助手席に用意。従来のモデルよりサイズアップさせたことで小型犬にも対応した。サイズは約35×約45×約45cm(幅×奥行き×高さ)で、表面は撥水加工。飛び出し防止のリードフック付き。助手席と後席にシートベルトや本体のベルトで固定する。また、使用しないときはペットシートプラスわん2をシートに着けたまま畳めるのでそのまま人やものを載せることもできる。