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マツダ、水素REや低公害REなど時代を先駆けたロータリーエンジン搭載モデルを「オートモビル カウンシル 2023」で公開 「ロータリーエンジンを作り続けたい」と青山裕大氏

2023年4月14日~16日 開催

水素ロータリーエンジンを搭載する「RX-8」

 マツダは幕張メッセ(千葉県)で4月14日~16日に開催中の「オートモビル カウンシル 2023」で、国内初公開となる「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」のほか、ロータリーの歴史のなかでは重要な「コスモAP」と「RX-8ハイドロジェンRE」を展示。さらに1981年のコンセプトカー「MX-81」を展示している。

マルチ電動化技術を搭載。意のままに走りを楽しめるクルマ

 MX-30 e-SKYACTIV R-EVは、国内初公開となる、マルチ電動化技術を搭載したモデル。プレスカンファレンスで説明にあたった、マツダの取締役専務執行役員の青山裕大氏は「ロータリーエンジンを発電機として採用したマルチ電動化技術を搭載したモデル」と紹介した。

マツダ株式会社 取締役専務執行役員 青山裕大氏

 さらに、「発電用ロータリーエンジンは必要とされる出力性能をコンパクトに実現できるロータリーエンジンの特徴を生かした」とロータリーエンジンの優位性を強調。続けて、「17.8kWhのリチウムイオンバッテリと、50Lの燃料タンクを組み合わせ、電欠を心配することなくモーター駆動ならではのより緻密なクルマの反応と、意のままの走りを楽しんでいただくことができるクルマ」と説明した。

MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様)

業界に先駆けて排ガス規制をクリアしたAPを冠する「コスモAP」

 青山氏によると1975年に登場したコスモAPは、「当時、公害対策のために各社が動力性能を落として対応するなかで、性能を維持したまま燃費を40%改善したロータリーエンジンの開発に成功し、業界に先駆けて排ガス規制をクリアしたことから、アンチポリューションの頭文字を取ったAPの名を冠した」と説明。コスモスポーツの名前を受け継ぐ高級スペシャルティカーとして発売された。

コスモAP
前にヒンジがあるボンネット
運転席

水素ロータリーエンジンを世界で初めて実用化「RX-8ハイドロジェンRE」

 続いてRX-8ハイドロジェンREは、世界で初めて実用化した水素ロータリーエンジン車。ガソリン燃料でも走行可能なデュアルフューエルシステムを搭載、国内では2006年から官公庁を中心に8台販売した。2007年にはノルウェーの水素インフラ構築を目指した国家プロジェクト「ハイノール」に参画し、ノルウェーでも実証実験が行なわれた。

 青山氏は、「CO2排出量はゼロ、NOxもほとんど発生しない優れた環境性能を実現し、水素燃料でもガソリン燃料でも走行可能で、水素のインフラが未整備な地域でも不安なく走行できる」と特徴を説明。環境への貢献に挑戦したクルマと説明した。

水素もガソリンも使えるロータリーエンジンを搭載した「RX-8ハイドロジェンRE」
ボディサイドには水素ロータリーエンジン搭載のロゴ
ボディ右側には水素用フューエルリッド
ボディ左側にはガソリン用フューエルリッド

1981年のコンセプトカー「MX-81」

 今回展示されていたMX-81はロータリーエンジン搭載ではないが、マツダのデザインの歴史のなかでは重要な1台という。ベルトーネによって設計され、1981年の東京モーターショーに展示されたコンセプトカー。

 2021年にレストアされ、走行可能にしたもの。当時のファミリアをベースにしたクルマであるため、エンジンも1.5リッターターボを搭載しているという。外装も特徴的だが、ブラウン管のメーターを取り囲んでいる「ベルト」で動かす形状のステアリングホイールを採用するなど内装も特徴的。

1981年発表のコンセプトカー MX-81
ステアリングホイールはメーターパネルの周囲にあるベルト状のもの

マツダの経営陣を代表して「ロータリーエンジンを作り続けたい」

 青山氏は出展ブースについて「ロータリーエンジンが持つ燃料の多様性や拡張性の高さを生かし、走る喜びと優れた環境性能の両立を追求してきた歴史と、未来に向けたマツダの挑戦を紹介」と説明。

 さらに、2015年の東京モーターショーで発表した「RX Vision」への期待や、その後のイベントなどでファンからの期待を受けていることを振り返り「マツダの経営陣を代表して、私たちの思いをお伝えします。それは、私たちマツダはロータリーを諦めたくない、やっぱり作り続けたいということです」と思いを語った。

技術者がロータリーエンジンを開発するにあたり、乗り越えた3つの困難

「ロータリーエンジンは私たちマツダのあくなき挑戦の精神の象徴であり、マツダのアイデンティティとして、未来へ受け継いでいかねばならないものです」と語り、青山氏はロータリーにはまだ可能性があるとし「どのような形でも、たくさんじゃなくても作り続けることが大事」と語った。

 そして、最後に「ロータリーエンジンの歴史をともに作ったのはマツダを愛し、応援してくださる世界中のお客さま、ファンのみなさまの思い。これからもお客さまの心を捉えて離さない魅力的なクルマを生み続けていくこと、そして、時代を超えてクルマを愛してやまないみなさまと一緒に、クルマのある人生の楽しさを追求していくことをお約束いたします」と宣言し、プレスカンファレンスをまとめた。

ロータリーの歴史なども展示された
MX-30 e-SKYACTIV R-EVに搭載のロータリーエンジン
MX-30 e-SKYACTIV R-EVの前に立つマツダ株式会社 取締役専務執行役員 青山裕大氏