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トヨタ 水素ファクトリー 山形光正プレジデントが水素グリルによる“水素焼き”を紹介

Hydrogen Grill(水素グリル)で水素焼きされたはんぺんを試食中のトヨタ自動車 水素ファクトリー プレジデント 山形光正氏

ラリチャレ利府に展示されたHydrogen Grill(水素グリル)

 トヨタ自動車は、スーパー耐久をはじめ各種のイベントにおいて多くの技術展示を行なっているが、7月23日に開催されたTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ利府においては水素関連の展示を積極的に行なっていた。

 水素関連展示の1つとして実演されていたのが「Hydrogen Grill(水素グリル)」。現在、火を使うグリルは天然ガスなどが用いられているが、カーボンニュートラル社会になった場合、化石由来のガスは使えなくなってしまう。もちろん、電気を用いるIH(Induction Heating)による調理も可能ではあるものの、火を使って焼くというのは、電磁誘導加熱による熱調理とは異なる仕上がりのよさがある。

トヨタとリンナイが共同開発しているHydrogen Grill(水素グリル)

 展示されていた水素グリルは、トヨタがリンナイと共同開発を行なっているもので、水素を燃焼させるグリルのため、カーボンニュートラル調理器となる。その特徴は、単なるグリルではなく、燃焼する際に水蒸気が発生することにある。水素が燃焼する際は、トヨタがスーパー耐久で走らせている水素カローラのように水が発生する。単なる水ではなく、燃焼状態が100℃を超えるために水蒸気として放出されるグリルになっていた。

 多数用意されたこの水素グリルで焼かれていたのは、マシュマロやはんぺん。たまたま現地を視察に訪れていたトヨタ 水素ファクトリー 山形光正プレジデントに聞くと、この水素グリルでは水素燃焼の際に水蒸気が同時に出るため、“しっとり焼き上がる”という。

マシュマロとはんぺんを水素焼きしているところ
今回使用されていた水素。水素吸蔵合金などを使ったタンクとのこと

 実際、水素焼きされたマシュマロやはんぺんを記者も食べてみたが、マシュマロはしっかり焼き上がっているのにフワフワで、はんぺんはしっとりした味わいがあるという不思議な仕上がりだった。

 この水素焼きを焼いているスタッフに聞いたところ、「しっとりと焼き上がるため、固いお肉でも美味しく仕上がる」とのこと。なかなか水素焼きを食べる機会はないと思うが、トヨタ関連のイベントで見かけることがあれば試食してみていただきたい。“焼く”という概念が、水素によって変わったのを味覚で感じられると思う。