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豊田章男会長、小林可夢偉のナスカー参戦について語る 「可夢偉というドライバーのすごさが世界に伝わる。トヨタのドライバーの可能性を広げてくれる」

ル・マン24時間レースでNASCAR参戦について発表する小林可夢偉選手

小林可夢偉選手、NASCARに参戦

 小林可夢偉選手のNASCAR(ナスカー)への挑戦が、8月12日(現地時間)より始まる。12日には練習走行や予選が行なわれ、13日には決勝が行なわれる。可夢偉選手が参戦するNASCARカップ・シリーズ第24戦 ブリックヤード200は、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ ロードコースで開催され、決勝の放映はGAORAが日本時間の8月13日(日)27時~8時で生中継。解説は解説は古賀琢麻氏、実況は辻野ヒロシ氏が担当する。

 この可夢偉選手の挑戦は、2023年のル・マン24時間レースの場で発表され、大きな驚きをもって迎えられた。

 可夢偉選手が参戦する23XIレーシングは、2020年にマイケル・ジョーダン氏とトヨタの現役NASCARトップドライバー、デニー・ハムリン氏が設立したNASCARチーム。ル・マンでの参戦発表会で語られていたように、トヨタの車両でカップ・シリーズに参戦する日本人ドライバーは可夢偉選手が初めてになる。67号車 Toyota Genuine Parts Camry TRDでの参戦には、TRD(Toyota Racing Development)-USA、北米トヨタ、TGR(TOYOTA GAZOO Racing)の協力があり、可夢偉選手自身も、トヨタ自動車 豊田章男会長や佐藤恒治社長の共感によって実現できたとコメントを発表している。

 豊田章男会長に可夢偉選手のNASCAR参戦について、ラリーフィンランドでうかがった。

「可夢偉というドライバーのすごさが世界に伝わる」と豊田会長

WRCラリーフィンランドにおける豊田章男会長(左)。チーム代表代行としてチームの勝利を勝田貴元選手(中)、ラトバラ選手(右)とともに待つ

 豊田会長は、可夢偉選手のNASCAR参戦の背景についてはモータースポーツを発展させたいという思いがあるという。その思いの共感があり、可夢偉選手はTGRのドライバーでもあるが、ほかのメーカーのクルマに乗るときもあるとのこと。

 今回については、アメリカのモータースポーツの中心であるNASCARに可夢偉選手が参戦することによっての反響を期待しているという。「可夢偉というドライバーが、ル・マンで優勝して最速記録を作った男が、元F1ドライバーが乗るというのはいいことだと思う」「ほかのカテゴリーに挑戦することで、可夢偉というドライバーのすごさが世界に伝わる」と語り、別のカテゴリーを走ることで、その素晴らしさが多くの人に広く知られていくことが大切であるという。

 また、そのことによる効果として、「トヨタではいろいろできてうらやましいなと思ってほしい。国内モータースポーツもできるし、WEC(世界耐久選手権)も参戦できるし、やりたいことをやらしてくれる」「トヨタのドライバーの可能性を広げてくれる」ことも狙いであるとする。

 その1つが、WRC(世界ラリー選手権)チャンピオンであるカッレ・ロバンペラ選手が来日し、フォーミュラドリフトジャパンに初出場で初優勝したこと。カテゴリーを超えて参戦することで、改めて偉大さが分かり、カテゴリーを超えて戦える場がトヨタにはあると語ってくれた。

 トヨタでは可夢偉選手はWECチームの代表を兼任しているほか、中嶋一貴氏も現在はTGR-E(TOYOTA GAZOO Racing Europe)の副会長を務めているなど、カテゴリーどころかマネジメント面も任せるほどドライバーの活躍の場が広い。この辺りは、豊田会長自身が経営層でもありドライバーでもあり、さらにチーム監督でもある経験が活かされているようにも思える。

 豊田会長は、「トヨタのドライバーラインアップは、話題になる。注目されている証拠だと思います。やはりスポーツ選手はなんだかんだで話題になることが大切」といい、可夢偉選手のカテゴリーを超えた活躍に期待していた。

可夢偉選手の乗る67号車 Toyota Genuine Parts Camry TRD