ニュース

オーテックオーナーズグループ湘南里帰りミーティング2023、寄贈された「ザガートステルビオ」の展示や「パトロールニスモ」日本初公開も

2023年10月7日 開催

大磯ロングビーチにて「オーテックオーナーズグループ 湘南里帰りミーティング」が開催された

 10月初旬の連休初日となった10月7日に、日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)は神奈川県の大磯ロングビーチにて「オーテックオーナーズグループ 湘南里帰りミーティング2023」を開催した。

「オーテックオーナーズグループ 湘南里帰りミーティング」とはNMCのクルマを愛用しているユーザーを対象にしたオーナーミーティング。略してAOG湘南里帰りミーティングと呼ばれる。

 初回は2004年に開催されていて、そのときの参加者は100名を少し越えたところだったが、年々参加者が増え、2023年は参加者数が743名、車両数は377台の参加となっている。なお、現在は自動車メーカーが主催する同様のイベントはほかにも開催されているが、「湘南里帰りミーティング」はそのはしりとも言えるものということだ。

大磯ロングビーチの駐車場を利用して開催された「オーテックオーナーズグループ 湘南里帰りミーティング2023」は743名、377台のNMC車の参加受理数となった
日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)とは、オーテックジャパンとニッサン・モータースポーツ・インターナショナルが合併して(2022年4月)発足した会社。カスタマイズ事業とモータースポーツ事業を行なっている
NMCカスタマイズ事業部の手掛ける領域
日産自動車より発売されているNMCの車両
NMCでは福祉車両の製作も行なっている
日産車ベースの働くクルマや海外市場向けの特装車の企画、設計も行なっている。今回のイベントでは中近東向けの「PATROL NISMO」と、北米向けの「PATHFINDER Rock Creek」が展示された
モータースポーツ事業部が担当する領域
NMCが主催するユーザー向けイベントは2つ。今回紹介するAOG湘南里帰りミーティングと12月3日にFSWにて開催予定のNISMO FESTIVALだ
2004年から始まったイベント。多少の動きがあるが基本的に人気の高さがうかがえるデータ。世の中の動きもほぼ以前に戻った今年は過去最大規模の開催となった
参加車両の内訳

 朝10時から開始されたAOG湘南里帰りミーティングの模様を紹介していこう。

 開会式ではNMCの代表取締役社長兼最高経営責任者の片桐隆夫氏によるあいさつがあった。片桐氏は「本日はオーテックオーナーズグループ湘南里帰りミーティングにご参加いただきまして本当にありがとうございます。このイベントは今回で16回目と言う長きにわたって開催できております。これほど長く続けてこられたのもオーナーの皆さまのおかげということで感謝を申し上げたいと思います。さて、このように長くやっているイベントではさまざまなエピソードがありますが、私どもNMCの今年の新入社員に子どものころ、親御さんに連れられてAOG湘南里帰りミーティングに参加したことが入社の動機になったものがいます。会社とお客さまの距離が近いと感じたことがその理由とのことですが、これはイベントを続けてきた私どもにとってうれしいことでありました。“長くやっているといろいろいいことがあるな”と改めて感じたことでもありました。そしてこれからも続けていきたいとも思うものでもあります」とあいさつをした。

日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)の代表取締役社長兼最高経営責任者の片桐隆夫氏

 片桐氏は続けて「本日はNMCからもいろいろなクルマを持ってきましたが、そのなかで2台を紹介させていただきます。まずはスカイラインNISMOです。オーテックとNISMOが合併してNMCとして再スタートを切ったわけですが、NMCが総力を挙げて送り出すクルマの第一弾がスカイラインNISMOになります。茅ヶ崎にあるオーテックの事業所で企画と開発、エンジンは鶴見にあるニスモの事業所が開発しました。そしてクルマとしての仕上げは栃木のテストコースの実験部隊が行なうというNMCの総力を挙げて作ったクルマとなります。そしてもう1台はオーテックザガート ステルビオです。こちらは私どものルーツとも言えるカスタム車両になります。このクルマは1991年に宮城県にお住まいのお客さまが新車で購入したものです。大切に乗っていただいていましたが、東日本大震災にて発生した津波で海水に水没してしまいました。しかし、オーナーさまは手放すことなくエンジンルームや内装のクリーニングを行ない大切に保管されていたクルマですが、維持していくのが困難になってきたと言うことから、私どもに寄贈のお話がありました。オーナーさまからは“部品取りでもなんでもいいので、このクルマがなんらかのカタチで後世に残してほしい”というお申し出でした。そしてわれわれはその気持ちを謹んで受けさせていただきました。そして本日はオーナーさまの気持ちとともにAOG湘南里帰りミーティングに里帰りをさせました。こちらのクルマもぜひご覧いただきたいと思います」と見どころを紹介した。

NMCの総力をあげて送り出したというスカイラインNISMO
スカイラインNISMOは2台展示された
オーテックザガート ステルビオ。東日本大震災にて被災したがオーナーがめげずに維持していた車両。その後、オーナーからの申し出を受けてNMCがその保存を引き継いでいる
オーテックザガート ステルビオの側面
オーテックザガート ステルビオ。リアフェンダーの造形も特徴的
ボンネットミラー?とも呼べるサイドミラー
海水に水没したとは思えないくらいきれいなインテリア
ヘッドレストのないシートも珍しい
多くの来場者がこのクルマを見学していた
AOG湘南里帰りミーティング2023にはSUPER GT GT500クラスに参戦する23号車の松田次生選手がゲストで参加
同じく23号車のドライバー、ロニー・クインタレッリ選手も参加
こちらは2023 AUTECHレースクイーンの高岡みほさん
開会式では遠くから参加した人を表彰する遠来賞と走行距離が多い人を表彰する過走大賞の表彰もあった.遠来賞は北海道からの方と鹿児島からの方が選ばれた。過走大賞は55万キロ走行の方が選ばれた

 AOG湘南里帰りミーティングの会では参加車両は車種ごとにわけて駐めるようになっているので、初めて会うオーナー同士の交流がしやすい環境になっていた。今回最も多かった車種はノート。ついでマーチ、そしてセレナという順でこの3車種で全体の約3分の1を締めるほどだった。また、広い会場は参加者の車両を囲うようにNMCの車両や協賛メーカーブース、飲食のキッチンカーが配置されていた。

最も多かった車種がノート
次に多かったのがマーチ。ワンメイクレースも行なわれた12SRが集まった
こちらはセレナ。家族で参加している方が目立った
さまざまな車種が並べられたオールスターエリア。また、途中退場をする参加者のクルマは移動の安全を考慮して出口近いエリアに並べられた
シルビアのエリア。S15のオープンモデルであるヴァリエッタが集まった
FR車のエリア。Zやスカイライン、特装車である霊柩車もいた
ミニバン、SUVのエリア
NMCにはミニバン、SUVも多いので今後は参加者は増えてきそうなグループだ
広い会場内のあちこちでドライバーのふたりを見かけた。全てのクルマを見てまわったそうで、途中ではサインや記念撮影にも気さくに対応していた
高岡さんも展示車を順にまわるフォトセッションとして参加者との交流をしていた
NMCの社員が運営側としてさまざまなブースを展開するのもAOG湘南里帰りミーティングの特徴。こちらは物販ブース。ニスモやオーテックグッズのほかにGTマシンが使っていたホイールも販売されていたちなみに価格は1本1万円だった
もの作り体験ブースではメダルの刻印から磨きなど、金属加工が体験できた
NMCの社内を紹介するコーナー。社員手作りの資料を用いて社員が解説するというもの
こちらは家族連れで楽しめる縁日コーナー
協賛メーカーブースとキッチンカーも並んだ

海外市場向けのカスタマイズ仕様車も展示

 AOG湘南里帰りミーティングでは国内で販売されているNMC車両のほかにも海外市場向けの車両が2車種展示されていた。どちらも日本で公開されるのは初めてのため、参加者からの注目度は高いものだった。そこでここからはNMCが展示した海外向けモデルについて紹介していこう。

 まずは中近東向けの「PATROL NISMO」。ベースは海外市場向け大型SUVのPATROL。仕様はGT-RやスカイラインNISMOと同じくエンジニアによる手組みの「巧エンジン」が搭載される。

 排気量は5.6リッター、V型8気筒のガソリンエンジンで、ノーマルパワーは約400PSだが、精密組み付けとECUデータの最適化によって428psとなっている。吸排気パーツやカム、圧縮比を変えずにこれだけのパワーを上げているのは(純正としての信頼性も持ちながら)大きな魅力だ。

 外装、内装も標準車とは差別化されていてNISMO製エアロパーツが装着される。さらにサスペンションも専用セッティングのビルシュタイン製ショックアブソーバーとスプリングが使われている。

 NMCの解説によるとこちらのモデルは中東の王族や富裕層向けに用意したグレードということ。当初は500台の生産予定だったが、予想以上の人気となり1500台ほど生産しているという。また、少数生産の予定だったので当初は手作業で仕上げるパーツも使っていたが、生産が間に合わないので量産化したパーツもあるそうだ。

PATROL NISMO。中東のみで販売しているクルマで、日本のイベントでの公開はこれが初とのこと。現地価格は日本円にして約1500万円という
PATROL NISMOの側面。アルミホイールも専用品
エアロパーツはフロント、サイド、リア、そしてテールゲートのスポイラー。前後フェンダーにはガーニッシュも付く
ベース車のPATROLはグローバルで販売されているがNISMOは中近東のみの販売となる。標準車とは顔つきも大きく変わっている
エアロ効果が高そうなデザインのリアバンパー。テールゲートの右下にもNISMOのエンブレムが付く
PATROL NISMOのインテリア
助手席から。シートも専用品となる
リアシート
5.6リッター、V8ガソリンエンジンはエンジニアによる手組み「巧エンジン」を積む。内部パーツの変更はなく、バランス取りやバルブクリアランスの調整などを精密に行う。これはGT-Rのエンジン製造と同じやり方とのこと。ECUは点火時期設定などのセッティングデータが変更される。それらによりパワーは428psとなった。赤いカバーはPATROL NISMO専用品
275/50R22タイヤを履く.アルミホイールも専用
スポークの奥に見える黄色いショックアブソーバーとスプリングはビルシュタイン製。セッティングはPATROL NISMO専用

 もう1台は北米で販売されている「PATHFINDER」の特別仕様車「PATHFINDER Rock CREEK」。外装はダーク仕上げのVモーショングリルにバンパー開口部のデザイン変更。ルーフには専用品となるチューブ式のルーフラックを装備。そして専用の18インチアルミホイールにATタイヤを組む。なお、標準車はオールシーズンタイヤを履いているそうだ。

 また、サスペンションはオフロードイメージにあわせてリフトアップサスペンションになっているとのこと。

 内装はシート生地が専用。センター部分は滑りにくいファブリックで両サイドが革張りだ。センターコンソールやシートに「Rock CREEK」のオレンジ色の刺しゅうが入り、ステアリングやシート、ダッシュパネルのステッチも同様にオレンジ色となる。

 機能面では走行モードをオフロードに設定するとアラウンドビューモニター機能が立ち上がり、ボディ隅のドライバーから死角になる部分の状況(タイヤと道の状況)が確認できるよう、映像をモニターに表示するOFFLOAD AVMも装備する。

 エンジンはNA(自然吸気)3.5リッター。標準車はレギュラーガソリン仕様だが、Rock CREEKはECUを変更してハイオク仕様になっている、そのため出力も若干違うそうだ。なお、ミッションはR53型と呼ばれるこのモデルから9速ATとなった(前型はCVT)。

北米で販売されている「PATHFINDER」の特別仕様車「PATHFINDER Rock CREEK」
排気量が3.5リッターとのこと。スケール的に日本で発売したら人気が出そうなモデル
オフロード向けのイメージに仕上げてある
標準車からグリルとバンパーのデザインを変えて、オフロードイメージを強くしている
このクルマはテネシー州のスマーナ工場で生産される。企画と設計は日本のNMCで行っている
標準車は街中向けのオールシーズンタイヤを履くが、こちらはTOYO TIRESのオープンカントリーATというオフロードも走れるオールテレーンタイヤが標準で装着される.アルミホイールも専用。リフトアップサスペンションも組まれている
PATHFINDER Rock CREEKのインテリア
体が触れる面をファブリックとすることでオフロード走行でのシートのホールド性を高めている。シート色との相性がいいオレンジ色のステッチを採用。ちなみに10月28日から一般公開されるジャパンモビリティショーでもPATROL NISMOとPATHFINDER Rock CREEKの展示があるか尋ねたが、残念ながらその予定はないそうだ
シートは3列シート

 以上がAOG湘南里帰りミーティングの主な内容だ。このAOG里帰りミーティングは来年も開催する予定なので、NMCのクルマに乗る人、これからオーテック仕様車やNISMO仕様車、マルチベッド仕様などNMCのクルマを購入予定の人は、来年を楽しみに待っていてほしい。

 そのほかの展示車や催しは、写真で紹介する。

セレナ オーテック
エクストレイル オーテック
ノート オーテック クロスオーバー
ノート オーテック
キックス オーテック
キャラバン オーテック
ノートオーラ ニスモ
エクストレイル エクストリーマーX
ルークス ハイウェイスター アーバンクロム
デイズ ボレロ
NV200 マルチベッド
セレナ マルチベッド
キャラバン マルチベッド
キャラバン 幼稚園送迎車
子ども向けシートに変更されている。また、スライドドアは左のみで、開くと自動でステップが出てくる
NMC内の日産ライフケアビークルの車両。キャラバン チェアキャブ
ルークス 助手席スライドアップシート
セレナ チェアキャブ スロープタイプ
展示されていたMOTUL AUTECH GT-Rでは小中学生以下を対象としたキッズライドが行われた
レーシングエンジンも展示。こちらは2006年型のGT500用エンジン。VQ30DETT
GT500用RB26J(2002年型)
午後からはステージでトークショーも開催された
トークショーのあとは12月のニスモフェスティバルの入場券を掛けたジャンケン大会
事故もトラブルもなく閉会。最後はNMCの社員が並んで参加者を見送った。これもAOG湘南里帰りミーティングの恒例とのこと