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SUPER GT最終戦もてぎ、36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が優勝しシリーズチャンピオン獲得

SUPER GT最終戦もてぎで優勝。シリーズチャンピオンを獲得した36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)

 2023年シリーズ最終戦となるSUPER GT 第8戦が、モビリティリゾートもてぎにて11月4日~5日の2日間にわたって開催された。11月5日13時から決勝レースが行なわれ、最終戦までもつれこんでいたシリーズタイトル争いが決着した。

 GT500クラスのレースは予選3位からスタートした36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が優勝。トップを走っていた3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は終盤に雨が降り出し、まさかのスピンアウト。36号車がトップに立って優勝し、シリーズチャンピオンを獲得した。

 GT300クラスは88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)。タイトル争いは52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が予選7位から決勝も7位でゴールする確実さで、シリーズチャンピオン獲得となった。

GT500:36号車 au TOM'S GR Supraが終盤の雨で大逆転、2021年以来のシリーズチャンピオン獲得

 GT500は土曜日の予選の結果、ポイントリーダーの36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が予選3位、6点差のランキング2位の3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)の2台が上位からスタート、そして16点差でランキング3位の16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)が9番グリッドからスタートすることになり、3台によるタイトル争いが最後まで注目された。

 レースは予選3位からスタートした36号車が、前を走っていた予選2位の17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)を1/3のところでオーバーテイク。2位に上がり、そのままでゴールすればシリーズチャンピオンを獲得する体制を整えた。

 残り5周、降り出してきた雨が路面を濡らす中、トップを走行していた3号車はスピンアウトしてグラベルに埋まった。その結果FCYが出され、3号車はグラベルから救い出されたが、ポイント圏外にまで転落してチャンピオン争いから脱落した。

 レースの優勝は36号車 au TOM'S GR Supraとなり、同時にシリーズチャンピオンを獲得した。坪井翔選手は2021年に続いて2回目、宮田莉朋選手は初のSUPER GTチャンピオンを獲得した。

 宮田選手は先週末にスーパーフォーミュラのチャンピオンも獲得しており、2020年の山本尚貴選手以来となる両選手権のダブルチャンピオンを獲得した。

 2位は23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、3位は17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)となり、3メーカーそれぞれの車両が表彰台をわける形になった。4位は1号車 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)、5位は8号車 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)、6位は14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)。

優勝し、シリーズチャンピオンを獲得した36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)
2位の23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
3位の17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)

SUPER GT GT500第8戦もてぎ 決勝結果(編集部調べ)

順位カーナンバーマシンドライバータイヤ周回数
136au TOM'S GR Supra坪井翔/宮田莉朋BS63
223MOTUL AUTECH Z松田次生/ロニー・クインタレッリMI63
317Astemo NSX-GT塚越広大/松下信治BS63
41MARELLI IMPUL Z平峰一貴/ベルトラン・バゲットBS63
58ARTA MUGEN NSX-GT野尻智紀/大湯都史樹BS63
614ENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也/山下健太BS63
739DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛/中山雄一BS63
819WedsSport ADVAN GR Supra国本雄資/阪口晴南YH63
937Deloitte TOM'S GR Supra笹原右京/ジュリアーノ・アレジBS63
10100STANLEY NSX-GT牧野任祐/木村偉織BS63
1138ZENT CERUMO GR Supra立川祐路/石浦宏明BS63
1216ARTA MUGEN NSX-GT福住仁嶺/大津弘樹BS63
133Niterra MOTUL Z千代勝正/高星明誠MI63
1424リアライズコーポレーション ADVAN Z佐々木大樹/平手晃平YH62
R64Modulo NSX-GT伊沢拓也/太田格之進DL42

SUPER GT GT500シリーズポイント(第8戦終了時、編集部調べ)

順位カーナンバーマシンドライバータイヤポイント
136au TOM'S GR Supra坪井翔/宮田莉朋BS89
23Niterra MOTUL Z千代勝正/高星明誠MI63
323MOTUL AUTECH Z松田次生/ロニー・クインタレッリMI56
416ARTA MUGEN NSX-GT福住仁嶺/大津弘樹BS53
51MARELLI IMPUL Z平峰一貴/ベルトラン・バゲットBS46
617Astemo NSX-GT塚越広大/松下信治BS45
714ENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也/山下健太BS45
88ARTA MUGEN NSX-GT野尻智紀/大湯都史樹BS38
939DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛/中山雄一BS38
10100STANLEY NSX-GT牧野任祐BS34
11100STANLEY NSX-GT山本尚貴BS31
1219WedsSport ADVAN GR Supra国本雄資/阪口晴南YH30
1338ZENT CERUMO GR Supra立川祐路/石浦宏明BS26
1464Modulo NSX-GT伊沢拓也/太田格之進DL19
1537Deloitte TOM'S GR Supra笹原右京/ジュリアーノ・アレジBS15
1624リアライズコーポレーション ADVAN Z佐々木大樹/平手晃平YH11
17100STANLEY NSX-GT木村偉織BS3

GT300:88号車 JLOC ランボルギーニ GT3が優勝、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTがシリーズチャンピオンを獲得

GT300のシリーズチャンピオンを獲得した52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)

 GT300はポイントリーダーの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が予選7位。19点差という圧倒的に不利なランキング2位の2号車 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)がポールからスタートするという決勝レースになった。2号車がシリーズチャンピオンを獲るには自分たちが優勝して、52号車がノーポイントに終わる場合のみ、となっており52号車は圧倒的に有利な中でレースを進めていった。

 決勝レースは、上位陣のほとんどがピット作業を終えた時点で、88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がトップに立った。88号車はリアタイヤだけの交換を選択し、ピット作業時間を短くする作戦。2位は65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)で、こちらもタイヤ無交換で作業時間を短くする作戦を選択。シリーズチャンピオンを争う2号車は3位、ポイントリーダーの52号車は4位と、逆転には優勝が必要条件となっている2号車にとっては、タイトル争いが厳しい状況となった。

 レースは88号車 JLOC ランボルギーニ GT3がそのまま優勝し、2位は65号車 LEON PYRAMID AMG、3位はレース中盤から追い上げた6号車 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)が入った。

 2号車 muta Racing GR86 GTは、終盤にウェットタイヤへ交換したこともあって9位に終わり、7位に入った52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTがシリーズチャンピオンに輝いた。2人のドライバー、チームのいずれもタイトル獲得は初めて。

優勝した88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)
2位になった65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)
3位は6号車 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)

SUPER GT GT300第8戦もてぎ 決勝結果(編集部調べ)

順位カーナンバーマシンドライバータイヤ周回数
188JLOC ランボルギーニ GT3小暮卓史/元嶋佑弥YH59
265LEON PYRAMID AMG蒲生尚弥/篠原拓朗BS59
36DOBOT Audi R8 LMS片山義章/ロベルト・メリ・ムンタンYH59
431apr LC500h GT小高一斗/根本悠生BS59
596K-tunes RC F GT3新田守男/高木真一DL59
656リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平YH59
752埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰BS59
818UPGARAGE NSX GT3小林崇志/小出峻YH59
92muta Racing GR86 GT堤優威/平良響BS59
1061SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL59
114グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH58
127Studie BMW M4荒聖治/ブルーノ・スペングラーMI58
1311GAINER TANAX GT-R富田竜一郎/石川京侍DL58
1420シェイドレーシング GR86 GT平中克幸/清水英志郎DL58
1560Syntium LMcorsa GR Supra GT吉本大樹/河野駿佑DL58
1610PONOS GAINER GT-R安田裕信/大草りきDL58
1750ANEST IWATA Racing RC F GT3イゴール・オオムラ・フラガ/古谷悠河YH58
185マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号冨林勇佑/松井孝允YH58
199PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG阪口良平/リアン・ジャトンYH57
2048植毛ケーズフロンティア GT-R井田太陽/田中優暉YH56
2187Bamboo Airways ランボルギーニ GT3松浦孝亮/坂口夏月YH56
2222アールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹YH56
2330apr GR86 GT永井宏明/織戸学YH51
24360RUNUP RIVAUX GT-R青木孝行/柴田優作YH47
R27Yogibo NSX GT3岩澤優吾/伊東黎明YH40

SUPER GT GT300シリーズポイント(第8戦終了時、編集部調べ)

順位カーナンバーマシンドライバータイヤポイント
152埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰BS74
22muta Racing GR86 GT堤優威/平良響BS53
356リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平YH50
465LEON PYRAMID AMG蒲生尚弥/篠原拓朗BS44
518UPGARAGE NSX GT3小林崇志/小出峻YH43
67Studie BMW M4荒聖治MI43
788JLOC ランボルギーニ GT3小暮卓史/元嶋佑弥YH40
861SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL40
96DOBOT Audi R8 LMS片山義章/ロベルト・メリ・ムンタンYH37
107Studie BMW M4柳田真孝MI35
1131apr LC500h GT小高一斗/根本悠生BS33
1211GAINER TANAX GT-R富田竜一郎/石川京侍DL28
1331apr LC500h GT嵯峨宏紀BS25
144グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH20
1587Bamboo Airways ランボルギーニ GT3松浦孝亮/坂口夏月YH19
1620シェイドレーシング GR86 GT平中克幸/清水英志郎DL16
1710PONOS GAINER GT-R安田裕信/大草りきDL16
1896K-tunes RC F GT3新田守男/高木真一DL15
19244HACHI-ICHI GR Supra GT佐藤公哉/三宅淳詞YH11
2027Yogibo NSX GT3岩澤優吾/伊東黎明YH10
217Studie BMW M4ブルーノ・スペングラーMI8
2260Syntium LMcorsa GR Supra GT吉本大樹/河野駿佑DL8
2350ANEST IWATA Racing RC F GT3イゴール・オオムラ・フラガ/古谷悠河YH5
2430apr GR86 GT永井宏明/織戸学YH2
2525HOPPY Schatz GR Supra GT菅波冬悟/野中誠太YH1
262muta Racing GR86 GT加藤寛規BS1

GT300優勝会見:勝てない時期が長く続いた88号車、ランボルギーニ ウラカン GT3 EVO2の投入が大きなステップに

GT300クラスを優勝した88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)

 決勝レース終了後には、優勝クルーとチャンピオンクルーによる会見があった。優勝会見には通常両クラスの優勝ドライバーが参加するが、今回は優勝会見のすぐ後にチャンピオン会見があるため、GT500の36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋組)のクルーはチャンピオン会見に参加し、優勝会見には参加していない。

 このため、GT300優勝の88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)のクルーだけが参加して行なわれた。

──それぞれのスティントの感想などを教えてほしい。

元嶋佑弥選手:SUPER GT自体に参戦してから8年目、JLOCでお世話になるようになってから7年目、そして小暮さんとコンビを組むようになってから6年目だが、これまでも何度も優勝するチャンスがあったのに、手からこぼれ落ちていくようなことが多かった。そのため、小暮さんのスティントを見ているのが(本当に優勝できるのかとドキドキして)つらいぐらいだった。

 自分のスティントでは走り始めからスピードがあることが分かっていた。ランボルギーニ ウラカン GT3は今年から「EVO2」という新しいモデルを導入したのだが、導入当初から苦しんでおり、前回のレースからイタリアから多くのサポートエンジニアが来てくれて、そのレースを見て「力を入れていこう」ということになり、今回は前回のレース以上に力を入れてサポートしてくれていた。

 予選では2位で、決勝に向けて自信もあったので、ミスをしないように攻めるべきレースだと分かっていたので、(トップを走る)2号車を抜いた後も、プッシュした。横浜ゴムもそうしたプッシュにも応えてくれるいいタイヤで、無交換でもいけそうだったが、安全マージンを見てリア2輪交換だけ行なった。チームのみんなががんばってくれた結果、よいレースをすることができた。

小暮卓史選手:GT300にきてから、これまでなかなか優勝できず、優勝することがこんな難しいカテゴリーだということが分かった。元嶋選手ともお互いに大変な時期を過ごしてきて、GT300で勝つためにはGT300なりの要素をすべて満たさないと勝つことができない。JLOCに来て、元嶋選手と組んでから6年目ということ、なんとか早く優勝したいというのが心のつかえになっており、うれしいのとそれから解放されたという両方の気持ちだ。チームに対しても、1つのハードルを越えたという気持ちだ。

 今日のレースは元嶋選手の走りがさえており、それが後半につながって助けられた。雨が降ったりやんだりして困るという展開で、残り10周が長くて大変だったら何より優勝できてよかった。チームやオーナーに感謝したい。

──EVO2の総評、感じている課題などを教えてほしい。

元嶋佑弥選手:ランボルギーニ ウラカン GT3 EVO2を導入するにあたり、いろいろと検討をしてきた。ただ、さまざまな事情があってEVO2を導入せざるを得ないという状況になり、8月の富士に正直メカニックが組んだ吊るし(※購入したまま)と言ってもいいような状態に、SUPER GTのタイヤを装着して走らせたら、いきなりトップ争いができた。

 さらに前回のオートポリスのレースから本国からサポートエンジニアが来てくれるようになり、今回はEVO2の大きな引き出しを明けることができた感覚があった。

小暮卓史選手:シャシーの見た目は同じように見えるかもしれないが、乗り味は全然違う。初めての富士のレースではいきなりセッティングする状況だったけれど、これから詰めていかないといけないところがいっぱいある。

──今シーズンも最終戦になった、今シーズンを振り返ってほしい。

元嶋佑弥選手:苦しいシーズンだった。これまでも何度も勝てるチャンスをふいにして、僚車の87号車が勝ったときにはうれしくもあり、その半面複雑でもあったのも事実。しかし、この最終戦で優勝できたことは、解放されたという安堵感があり、来年に向けて期待が持てる終わり方でもあり、2023年シーズンは自分にとってのベストシーズンだ。

小暮卓史選手:これまでチームオーナーに対して、チームメイトは元嶋選手で体制を変えないでやりたいとお願いしてきた。お願いしている以上は結果を出さないといけないのだが、なかなか結果を出せないときは苦しかった。しかし、今回結果を出せたことで、自分たちもチームも気分が楽になったところもある。来シーズンに向けてはいい流れに乗りつつあると感じており、ここで勝てたことが想像以上に大きなことだと感じている。