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JALとKDDIがドローン事業で協業 安全管理と運行システム構築により2024年内の社会実装を目指す

2023年12月14日 発表

JALとKDDIがドローン事業での協業を発表した

さまざまな社会課題をドローンを活用して解決

 JAL(日本航空)とKDDIの子会社であるKDDIスマートドローンは12月14日、目視外の遠隔自律飛行をはじめとする高度なドローン活用の実現と利用拡大に共同で取り組み、ドローンの社会実装を加速するため11月28日付けで業務提携契約を締結したと発表。あわせてJAL、KDDI、KDDIスマートドローンの3社は、より強力な協業体制を構築するのための資本提携契約を締結した。

 今後、2024年度内に日本全国の企業や自治体が高度なドローン活用をより簡易に導入できるドローン運航者を支援するソリューション・サービスの提供を目指していく。

 今回の協業は、物流の2024年問題や生産年齢人口の減少に伴う労働力不足、社会インフラの老朽化、地域の過疎化や高齢化など、国内におけるさまざまな社会課題の解決に向けてドローンの利活用を目指すもの。

 制度面でも、2022年12月に施行された改正航空法によって、レベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)が解禁されたほか、近日中に目視外飛行の規制も緩和される予定で、ドローンの社会実装できる環境も整いつつあるという。

ドローンを使った物資輸送の様子

 そのため3社は、社会課題の解決に向けて、ドローンがより大きな貢献をするために、レベル3およびレベル4環境下での「目視外飛行」や、1人の操縦者が複数のドローンを運航する「1対多運航」など、より高度なドローン活用を適切な安全管理やオペレーション手法のもとで実装していくことが必要であると提唱。

 すでにJALとKDDIは2022年2月にドローンの社会インフラ化に向け、運航管理の体制構築やビジネスモデルの共同検討に関する基本合意書を締結し、さまざまな取り組みを共同で推進。具体的には、奄美群島におけるドローン配送の実装に向けた取り組みや、東京都あきる野市におけるレベル4飛行に向けた実証実験、「1対多運航」を実現する共同技術開発などに取り組んでいる。

2023年12月14日~20日にかけ、東京都西多摩郡檜原村で、日本で初めて医薬品をドローンのレベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)で輸送する実証実験に使用する機体。ACSL製「PF2-CAT3」をベースとした機体で第一種型式認証を取得済み。プロペラを含めた本体サイズは1174×1068×601mm(全長×全幅×高さ)、水平飛行最高速は10m/s、最大航続時間は17.5分(最大離陸重量時)

JALの持つ安全管理などの航空運送事業の技術と知見を活用

 今回の業務提携では、JALが培ってきた空の移動に関わる安全管理などの航空運送事業の技術・知見と、KDDIとKDDIスマートドローンのドローンの飛行制御から空域管理までを実現する運航管理システムや通信インフラ、そして各社が蓄積してきたドローン運航に関わるノウハウを生かし、高度なドローン活用の実現と利用拡大に向けた取り組みの加速が目的。

 JALとKDDIスマートドローンは、例えば複数地域の複数ドローンを遠隔で制御・運航することによる企業や自治体の業務効率化、緊急時の対応迅速化への貢献、同一空域内で多くのドローンが安全に飛行できる空域管理の実現など、安全・安心かつ効率的な目視外飛行や、1対多運航をはじめとする高度なドローン活用の社会実装を目指し、「ドローンの遠隔運航や空域管理に関わるシステム・サービス」「ドローンのフライトマネジメントに関わる研究開発およびオペレーション体制」の構築に取り組むという。

 なお、今回の業務締結でJALは、KDDIスマートドローンが第三者割当増資により発行する株式を取得したと報告している。