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ダンロップ、サステナブル原材料比43%のカートタイヤと従来のカートタイヤを山内英輝選手と翁長実希選手が比較試乗

2024年9月23日 開催

EVカートでダンロップのサステナブルタイヤを試乗する山内英輝選手と翁長実希選手

カートタイヤを供給しているタイヤメーカーはダンロップのみ

 ダンロップ(住友ゴム工業)は9月23日、東京都江東区青海にあるCITY CIRCUIT TOKYO BAY(シティサーキット東京ベイ)で開催された「全日本カート選手権 EV部門第4戦」にて、サステナブル原材料比率43%を実現した次世代カートタイヤと、従来のカートタイヤを比較するエキシビション試乗会を実施した。

 試乗したのは、国内最高峰の自動車レースSUPER GTのGT300クラスに参戦する「SUBARU BRZ GT300」のドライバーである山内英輝選手と、女性だけのワンメイクレースKYOJO CUPに参戦している翁長実希選手。

SUPER GTのGT500クラスマシン用のサステナブルレースタイヤ。緑のチェッカーマークは、SDGsの持続可能な開発のための17の国際目標に合わせて17個の■でできている
サステナブルタイヤに使用するリサイクル材料の展示も行なわれていた

 サステナブルなカートタイヤの開発に携わっている住友ゴム工業 タイヤ事業本部 モータースポーツ部の菅野展寛氏によると、ダンロップのサステナブルレースタイヤが登場したのは2023年3月で、天然ゴムや天然由来の原材料の活用、またリサイクル鉄から再生した材料を使用することで、当時サステナブル原材料比率38%のレースタイヤを発表。鈴鹿サーキットモータースポーツファン感謝デー2023にてデモ走行を実施したという。

住友ゴム工業 タイヤ事業本部 モータースポーツ部 課長代理 菅野展寛氏

 次いで2023年10月には、度重なる材料選定の末、サステナブル原材料比率を43%まで高めることに成功したカート用タイヤを開発。さらに2023年12月には、モビリティリゾートもてぎで行なわれた「Honda Racing THANKS DAY 2023」にて、SUPER GTのGT500クラスに参戦していたマシン「NSX-GT」にサステナブル原材料比率76%のタイヤを履かせてデモ走行を行なったという。

比較試乗に使用したEVカート
サステナブル原材料比率43%を実現した次世代カートタイヤ
従来製法のタイヤ

 従来のタイヤとの比較試乗を行なった山内選手は、「本当に遜色なく、むしろサステナブルタイヤのほうがちょっとグリップが高いんじゃないか? っていう感覚があるぐらい、すごくハイグリップでビックリしました。腕がもうパンパンです。カートに乗るのが久しぶりだったし、EVカートも初だったので、正直違いが分かるのがタイヤぐらいしかなかったので、より性能に差がないというのを感じ取れました。EVカートはエンジンカートよりも重量が重いのでちょっと走らせるコツが変わってきますね。あまり滑らせないほうがいいように感じたので、しっかり減速して、スパッと向きを変えてEVならではのトルクでスーっと加速させるように走りました。意外とアクセルをガバッと踏み込んでも、出力はなめらかに出るようになっていて乗りやすかったです」とコメント。

サステナブルタイヤで走る山内英輝選手
山内英輝選手

 また、2023年に全日本EVカート選手権でチャンピオンになっている翁長選手は、「カートに乗るのが1年ぶりくらいで、あまりのグリップの高さに最後の1周は途中でピットインしちゃいました。従来のタイヤもですが、やはりそもそものタイヤのグリップ感が非常に高いのも分かりましたし、だからこそコーナーで踏ん張る力がとても強くて体力的にはしんどかったです。サステナブルタイヤもどんどんパフォーマンスが上がっていて、非常に高いスピードでコーナーを曲がれたりとかブレーキを詰められたりとか、基本的なパフォーマンスが従来のタイヤと同じ以上に感じたので、サステナブルタイヤのパフォーマンスの高さを改めて感じました」と感想を述べていた。

サステナブルタイヤで走る翁長実希選手
翁長実希選手

 ドライバー2人のコメントからグリップ力に差がないことは分かったし、実際に2つのタイヤを触り比べてみても、ゴムの硬さや粘りなども同じようにしか感じられなかった。ただし、サステナブル材料のネックな点は、まだ材料自体が少ないためコストがかかること。また、新たに材料を発見しても、それを量産できるかも重要なポイントになるという。

 ダンロップは、サプライチェーン全体を通じたCO2の削減を目指し、2030年に製造するタイヤのサステナブル原材料比率を40%に、2050年には100%サステナブルタイヤを実現することを目標に掲げている。また、最新の車両が投入されるタイヤ開発の最前線にあたるモータースポーツ分野にて、サステナブル原材料を使った製品開発を行なうことで、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速させるとしている。

【シティサーキット東京ベイ】山内英輝選手と翁長実希選手によるカートタイヤ比較試乗(1分56秒)

手ぶらで楽しめるCITY CIRCUIT TOKYO BAY

シティサーキット東京ベイは、新交通ゆりかもめ「青海駅」を出ると目の前にあり、走っている様子も見学できる

 今回の全日本カート選手権 EV部門第4戦とサステナブルタイヤ比較試乗会が実施された「シティサーキット東京ベイ」は、東京23区内唯一のサーキットコースで、モータースポーツとテクノロジーを融合したエンターテインメント施設。カートだけでなくバーベキューを一緒に楽しむことも可能なほか、シャワーやロッカールーム、女性向けのパウダールームも完備している。

 大人向けの屋外EVカートは、最高速50km/hのマシンを楽しめ、料金は初心者向け4分走行1500円、通常7分走行(平日)3500円、通常7分走行(土日)4000円、走り放題30分走行(平日)7000円、走り放題30分走行(土日)8000円があり、運営しているトムス谷本社長によると「走り放題が人気のプラン」とのこと。

 また、キッズ向けの屋内EVカートは、昼間5分走行2000円、夜間5分走行3000円。さらに2人乗りの屋外EVカートも4分走行3000円で楽しめる。

キッズ向け 屋内EVカート場

 また、小学生限定の無料プログラム「EVミニカート×プロジェクションマッピング」も期間限定で実施中。地面を走るカートの影とレースする「EVカート ゴーストチャレンジ」は10月3日~10月11日の期間、シミュレータ上のライバルとリアルカートで競争できる「デジタルツイン EVカートvsシミュレータ」は10月12日~10月31日の期間楽しめる。

【シティサーキット東京ベイ】全日本カート選手権 EV部門の走行シーン(27秒)
この日は全日本カート選手権 EV部門第4戦が開催され、イゴール・フラガ選手が優勝、小高一斗選手が2位、鈴木悠太選手が3位となった
【シティサーキット東京ベイ】EVミニカート×プロジェクションマッピング(21秒)