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トヨタやソフトバンクが出資するMONET、お台場でトヨタ「シエナ」の自動運転サービスを一般向けに期間限定で開始

2025年1月21日 発表

MONET Technologies株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 清水繁宏氏

お台場地区でモネが一般に向け自動運転サービスを3月まで実施

 MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)は1月21日、東京臨海副都心(有明・台場・青海地区)の公道で自動運転技術を用いた移動サービスを行なうと発表した。期間は1月22日~3月の平日のみ、運行時間は10時~16時で乗降場所は4か所。12本のルートで運航し、MONETアプリで呼び出す。POC(Proof of Concept、概念実証)と位置付けているため、運賃は無料。最高速度は40km/hに設定してある。

 モネは、ソフトバンクとトヨタ自動車が出資して作られたモビリティサービスの実現と普及を目的とする会社で、その後、日野自動車、本田技研工業、いすゞ自動車、スズキ、スバル、ダイハツ工業、マツダも出資。多くの自動車会社が出資する形で運営されている。

自動運転の実証実験に用いるトヨタ「シエナ」

 これまでモネでは、有人のMaaS(Mobility as a Service)によるさまざまなサービスを開発。自動運転MaaSによる実証試験も東広島市やトヨタ自動車九州の宮田工場内で行なってきた。

 今回、臨海副都心地区でサービスを開始するにあたり、事前にテストも行なってきており、一般試乗を行なうことで、多くの人からのデータを集めたい、多くの人に認識してもらうことで社会受容性を高めていきたいという意図があり、一般の乗客を乗せて実際の公道を走ることで、これまでにないデータを取得できるという。

 MONET Technologies 代表取締役社長 兼 CEO 清水繁宏氏は、モネとしては運行全体をインテグレーションしており自動運転のコントロール部分を提供していると役割を説明。今回の実証実験では、セーフティドライバーが乗る形でレベル2の自動運転を行ない、ハンズオフ運転もあるし、あえて人間が介入する箇所も設けてあるとする。

 モネの目指すものは、「ロボタクシーではなく、オンデマンドの自動交通」といい、タクシーサービスの延長線上にある自動運転ではなく、行政MaaSや医療MaaSなどのオンデマンドモビリティを目指している。

 そのため、マニュアル運転、自動運転の車両が混在してもよいようなシステムを構築しており、今後に向けて数十台をAIを使って監視するシステムを開発中であるとした。

 このAIによる部分は、トラブルチケットと呼ばれる異常なイベントが起きた際の判断に用いられる。通常の監視システムでは人間が監視することになるのだが、そのトラブルをAIを使って監視していく。

区長も期待する行政MaaSや医療MaaSなどのオンデマンドモビリティ

 この説明会には、江東区長 大久保朋果氏と港区長 清家愛氏も参加。大久保江東区長は、江東区は東西は鉄道が充実しているが南北の鉄道が弱いとし、それを支えているのがバス交通になるが、高齢化などドライバー問題が発生しているという。

江東区長 大久保朋果氏
港区長 清家愛氏

 そのため、モネの無人運転による新たなインフラ構築による行政MaaSや医療MaaSで、区民が出向かなくてもサービスを受けられることがメリットだとする。「実際に乗ったが、非常に安心感のある自動運転だった」(大久保江東区長)と、その実現への期待を述べた。

 清家港区長も、「日本のベイエリアは高いポテンシャルのあるエリア」と語り、こうしたMaaSサービスが行なわれることを同様に期待していた。

自動運転部分を担うMay Mobility

May Mobility 中村卓史氏

 自動運転部分のロジックを担うのはトヨタやNTTが出資するMay Mobility。May Mobilityの中村卓史氏は、「認知した環境でのシミュレーションを使って、次の行動を決定する」のが同社のロジックのポイントであるとし、ルールベースや状況をディープラーニングして動作するシステムとの違いを語る。

 認知した環境下で、「選択肢の中で一番安全で、一番快適な行動を取る」ことで、「想定外への対応がやりやすい」と語り、ルールベースでは難しい学習していない状況下の判断に優れており、「教えてもらっていないことに対しての安全性とか信頼性」「なぜその行動を取ったのかという説明可能性」を維持できるとした。

トヨタ シエナのルーフに装備されるLiDAR
助手席部分が自動運転の心臓部として用いられている
今回実証実験を行なうルート