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ホンダ三部敏宏社長会見、「ワンガバナンス体制の早期実現を目指したが合意点を見いだせなかったのが誠に残念」

2025年2月13日 実施

本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏

 本田技研工業は2月13日、日産自動車との経営統合に関する協議・検討を終了したことについて、同社取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏がオンラインで会見を実施した。

 冒頭三部社長は、会見に先立ち発表した「日産自動車との経営統合に向けた検討に関する基本合意書の解約」「経営統合に関する協議・検討の終了」「日産、ホンダ、三菱自動車工業の3社で2024年12月23日に締結した3社協業形態の検討に関する覚書の解約」について説明。

 そのうえで、「あくまで正式に議論・検討をスタートしただけで、経営統合を決めていた訳ではない」と言及。また、「両社のトップマネージメントを中心に第三者も交えた、経営統合準備委員会を開設し、経営統合による効果について議論を重ねてきた。そして、両社の経営統合によりプラットフォームや研究開発といった領域から、間接部門まで、さまざまな領域での統合が図れれば、期待できる効果、ポテンシャルは非常に大きいということを確認できました。しかし、同時にその実現には痛みを伴う判断をスピーディに実施する必要があることも、また改めて意識しました」と振り返った。

 両社は当初の基本合意書では、共同株式移転によりホンダが取締役の過半数、および代表取締役社長を指名する共同持株会社を設立し、両社をその完全子会社とする体制を提案していたが、三部社長は「厳しい判断を迫られる局面に対峙した際、議論に時間を要し、判断スピードが鈍る可能性が否定できないことから、共同持ち株会社ではなく、ワンガバナンス体制を早期に確立できる株式交換によるホンダを親会社、日産を子会社とする方法を提案しました」と説明。

 続けて、「どちらの手法を取ってもホンダ、日産という両会社ブランドは存続することが前提でしたし、2社間の機能融合を図る中でも、どちらの従業員もこれまでと変わらずさまざまな活躍の機会があることから、経営統合における重要な部分には当初から変化はないと考えていました。その一方で株式交換という提案は、実際とても相当厳しい判断になるであろうことも、また想定はしていました。場合によっては合意が撤回される可能性も考えてはいました。しかし、それ以上に恐れるべきことは、両社の統合が進まず、より深刻な状況に陥ることを避けるべく、このタイミングで提案した」と三部社長。

 また、結果として合意に至らなかったが、経営統合の枠組みが合意することが大前提であり、一部の報道にあった「日産のターンアラウンド計画に納得できなかった」「株式交換比率に納得できなかった」といったことが破談の原因ではないと改めて否定、あくまで両社で合意点を見いだせなかったと説明した。

 ただし、経営統合できなかったことについて三部社長は、「大変残念ではあるが、シナジー効果は相応にあると両社で認識できたし、三菱自動車を含めた戦略的パートナーをベースに、シナジー効果を最大化していくことを目指す」と締めくくった。

 質疑応答では、「両社が納得できる合意点を見いだせなかったのは大変残念だと思っているが、『必ず成功に導く』というのが大前提なので、無理やり経営統合後して、後に破綻してしまっては元も子もないので、今回の判断は仕方がない。現状では今後特に日産自動車の買収などは考えていない。ホンダ自身が持つ単独での経営シナリオをブラッシュアップしながら、今後も3社のバランスを保ったまま、新たなモビリティビジネスを作っていきたい」など今後の決意も語られた。加えて、国(政府)の関与や海外企業(鴻海)からの接触などについても一切否定した。

経営統合に向けた検討に関する社長会見