ニュース

ホンダ、2023年度 上半期決算は売上収益9兆6093億円、営業利益6965億円など主要項目で過去最高を記録 好調な4輪販売が収益を改善

2023年11月9日 開催

2023年度 上半期決算説明会に出席した本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役副社長 青山真二氏(左)と執行役 最高財務責任者 藤村英司氏(右)

 本田技研工業は11月9日、2023年度上半期(2023年4月1日~9月30日)の決算説明会をYouTubeでオンライン配信した。

 2023年度上半期の売上収益は前年同期(8兆853億400万円)から18.9%増の9兆6093億9200万円、営業利益は前年同期(4534億5200万円)から53.6%増の6965億7300万円、営業利益率は7.2%、税引前利益は前年同期(5158億3100万円)から70.5%増の8792億8500万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期(3385億1400万円)から82.1%増の6163億100万円となった。

 また、グループ販売台数は、4輪車が前年同期(178万5000台)から8.3%増の193万4000台、2輪車が前年同期(920万2000台)から0.7%増の926万6000台、パワープロダクツ事業が前年同期(293万5000台)から37.8%減の182万6000台という結果になっている。

ホンダの2023年度 上半期決算
2023年度 上半期決算のポイント

 説明会では最初に、本田技研工業 取締役 代表執行役副社長 青山真二氏が決算内容について説明。

 青山氏は決算のポイントについて、収益性の高い2輪事業に加え、4輪事業でも北米を中心に生産台数を回復させ、競争力の高い商品を販売したことで収益性が大きく改善したことが高い業績を実現。営業利益は6965億円、営業利益率は7.2%となり、売上収益、営業利益、税引前利益、純利益といった主要項目で過去最高を記録しているという。

 また、2023年度通期の業績見通しでも、中国やアジアなどで厳しい市場環境になっているものの、収益体質のさらなる強化、為替の影響などを反映し、8月発表の見通しから売上収益、営業利益、当期利益の項目を上方修正している。

本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役副社長 青山真二氏
事業別に見た市場ごとの販売台数

 193万4000台を販売した4輪事業の市場別動向では、米国では堅調な需要を受けて半導体の確保による生産回復、2022年に市場投入したニューモデルの持つ高い競争力によって販売台数が前年同期から大きく増加。一方で中国市場では、新エネルギー車の市場拡大、価格競争の激化といった影響から販売が前年同期を下まわる結果となっている。通期の販売見通しでは、日本で販売増を見込んでいるものの、中国市場の厳しさは今後も継続する見通しとなっており、中国での販売見通しを下方修正している。

 また、電動化に向けた取り組みでは、北米向けの新型BEV(バッテリ電気自動車)「アキュラ ZDX」「プロローグ」を2024年初頭に発売。また、BMW、フォードとBEVを活用して電力ネットワークの安定化に貢献するエネルギーサービスの新会社「チャージスケープ」を北米で設立することで合意しており、日本でも三菱商事とエネルギーマネジメント事業などの事業化を検討していく覚書を締結していることを紹介した。

4輪事業における主要市場の状況

 926万6000台を販売した2輪事業の市場別動向では、インドネシアや欧州といった市場での堅調な需要により、上半期累計では前年同期を上まわっているが、第2四半期の3か月ではインドネシア、ブラジルで販売が増加しているものの、ベトナム、中国での景気減速を受けた販売減の影響によって前年同期を下まわる販売となっている。通期見通しではベトナム、中国での販売減によって下方修正を行ない、前年同期とほぼ同等の販売見通しとしている。

 電動化に向けた取り組みでは、10月に開幕したジャパンモビリティショー2023の会場で着脱式可搬バッテリ「モバイルパワーパック e:」2個を動力源とするEVバイク「SC e:Concept(エスシー イー コンセプト)」を出展したことをアピールしている。

2輪事業における主要市場の状況

営業利益を2000億円増益など2023年度 通期の業績見通しを上方修正

2023年度 通期の業績見通し。販売台数を下方修正しているが、営業利益などの主要項目を上方修正している

 2023年度 通期の業績見通しでは、中国やアジア諸国などにおける厳しい市場環境、上期に発生した品質関連費用の増加などの影響を受けつつ、収益体質のさらなる強化、為替の影響を反映して、営業利益を2000億円増益の1兆2000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益を1300億円増益の9300億円など多くの項目を上方修正。通期見通しでも20兆円を見込む売上収益、1兆2000億円を見込む営業利益、1兆3950億円を見込む税引前利益は過去最高の数字となっている。

 配当については中間配当金を87円/株に増額。年間配当金は株式分割前の基準で、前回見通しの150円/株から24円増配の174円/株としている。

2023年度 通期の販売台数見通し
配当では中間配当金を87円/株に増額
税引前利益の増減要因

質疑応答

質疑応答で質問に応じる青山氏

 質疑応答では、地域別の半導体の調達状況の現状と今後についての質問に青山氏が回答。「半導体の調達状況は、全体で見ると足下は大きく改善しており、今年度の下期についてはほぼ問題ない状態になっています。上期では少し影響が残るところもありましたが、現在は解消されています。日本、中国、米国と市場別に見ても差はなく、前年度から半導体メーカーと直接やり取りをするようになって、代替品なども含めて展開を行なった結果として大きく状況の改善につながっています。昨年度末から北米市場に優先して半導体を展開して、北米における生産・販売を最大化する取り組みを行なってきましたが、現状は回復しております」。

「今年度に入ってからは、中国における市場の減速感、われわれのビジネスの減速感というものも含めて日本などで半導体供給を展開しており、今回発表の日本市場における販売台数増に出ています。今後の調達という観点では、春にTSMCとの戦略的協業といったところを発表したことを含め、半導体メーカーと直接的な協力関係を構築しています。現在はソフトウェアディファインドという取り組みが進んでいくなかで、半導体に対するデマンドは基本的に高まっていく方向にありますので、それにきちんと対応できるような展開にしていきたいと考えています」とコメントしている。

 また、中国市場における販売減については「大きく2つの要素があります。1つは皆さまもご存じのところのように、税制面の優遇という部分も含めて新エネルギー車の販売が拡大しているなか、私どもホンダではICE(ガソリンエンジン車)、HEV(ハイブリッドカー)を中心とした展開になっていることから厳しい状況が続いているという側面。もう1つは、減少局面にはあるものの、ICEの市場でも、BカテゴリーのSUVといった特定セグメントで競争に競り負けているといった点が要素になります。今後の巻き返しという観点では、ホンダではBEVに舵を切っておりますので、2024年に入って以降にはなりますが、4機種の新型車を市場投入して巻き返しを図っていきたいと考えています」と述べている。

本田技研工業株式会社 執行役 最高財務責任者 藤村英司氏

 また、好調な業績が賃金の上昇などにつながるかといった質問については本田技研工業 執行役 最高財務責任者 藤村英司氏が対応。

「日本での賃上げについては、昨今は日本国内でもインフレが起きていることを踏まえ、今は業績が伸びていること、これからは新たに電動化を中心としたビジネスの転換期を迎えており、社長の三部も『第2の創業期』と位置付けて転換を図るため、われわれも邁進しております。それを支えるのはやはり人であるといった考えのもと、今期のベースアップや賞与なども労使で真剣に議論を重ねて現在の状況に至っています」。

「また、来期も基本的に今回の考え方を踏襲しながらやっていくことになると思いますが、まだ春闘などはかなり先のことになりますが、組合とも話し合いをして、将来を見据えて人への投資を考えていきたいと思っております」と藤村氏は回答した。

ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会(1時間21分10秒)