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住友ゴム2024年度決算説明会 タイヤ事業の売上収益1兆464億円で過去最高を記録

2025年2月13日 実施

第133期(2024年1月1日~12月31日)の決算説明を行なった住友ゴム工業株式会社 代表取締役社長 山本悟氏

タイヤ事業の売上収益1兆464億円で過去最高を記録

 住友ゴム工業は2月13日、2024年12月期(2024年1月1日~12月31日)の決算説明会を実施した。登壇したのは代表取締役社長の山本悟氏、代表取締役 専務執行役員の西口豪一氏、取締役 常務執行役員の大川直記氏、執行役員 経理財務本部長の日野仁氏の4名。

 2024年12月期のグループ売上収益は、タイヤ事業の売上収益1兆464億円で過去最高を記録するなど前年比103%の1兆2119億円、事業利益は前年比113%の879億円で、共に過去最高を更新。構造改革の効果によって事業利益率は、前年比0.7%改善して7.3%まで向上。

 営業利益は112億円、当期利益は99億円。営業利益と当期利益については、2024年11月に行なった米国タイヤ製造子会社の生産終了による影響額を計上したことで大幅な減益となった。

2024年度 四半期別連結業績

 また、スポーツ事業では、ゴルフ事業の主力市場である北米で「XXIO(ゼクシオ)13」の販売を中心に増販したものの、日本と韓国では前期を下まわったほか、テニス事業では日本・北米にて前期を上まわったが、ゴルフ事業における原価上昇が主な要因となり、売上収益は前期比99%の1257億円と維持したが、事業利益は前期比63%の79億円と大幅に下まわった。

 産業品やその他の事業では、2024年1月末に欧州の医療用ゴム製品の子会社を売却したことや、国内の医療用ゴム製品の生産能力を増強させるため工場の稼働を一時停止して工事を行なったことで販売数量が減り、売上自体は前期比90%の398億円と減少したものの、インフラ関連製品と防衛機器ゴム部品の増販によって事業利益は前期比240%の39億円と対前年で2倍以上となっている。

2024年度 セグメント別 連結売上収益・事業利益

 タイヤ事業は、年間累計販売本数は前年比で5%減少したものの、国内では高インチ・高価格商品を中心に夏タイヤを増産。北米では主力商品であるファルケンブランドのワイドピークシリーズの販売が好調を維持し、売上増加を実現。その結果、タイヤ事業の売上収益1兆464億円と過去最高を記録した。

 また、2023年から既存事業の選択と集中を掲げて進めている構造改革については、約10の既存事業・商材のうち2事業を2023年に、さらに最優先課題であった北米事業を含め4事業を2024年に目途付けを完了。山本社長は、2025年を中期経営計画のターニングポイントの年ととらえ、残り4事業を含めた構造改革の完遂を宣言。加えて、2025年1月にグッドイヤーから、欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤの「DUNLOP」商標権の買い戻しを実現したことで、今後は「DUNLOP」ブランドの高い認知度と独自技術をグローバルで生かすことで、「価値の最大化とプレミアムタイヤ(シンクロウェザーや18インチ以上といった高機能・大径商材)の比率を高める」と山本社長。

欧州・北米・オセアニア地域における「DUNLOP」ブランドの商標権を買い戻したことで、これからはグローバルに展開できるようになった

 続けて成長事業の基盤作りについては、独自技術“アクティブトレッド”を搭載し、あらゆる路面にシンクロする次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」を2024年10月に国内へ投入。認定制度の導入は初の試みだったものの、目標を大幅に超える実績を達成したほか、2025年は現在の40サイズから96サイズまで拡充、2026年6月には110サイズとスタッドレスタイヤと同等のサイズをそろえ、車種カバー率9割を目指すと説明。

新製品「シンクロウェザー」が日経優秀製品・サービス賞にて、タイヤ製品初の最優秀賞を受賞した

 また、米ラスベガスで2025年1月に開催された技術展CES2025にも出展した独自のセンシング技術「SENSING CORE(センシングコア)」については、2024年に海外自動車メーカー向けに納入を開始。今後も国内外の自動車メーカー向けに順次装着される予定と明かした。

独自技術センシングコア概要

2025年度は売上収益1兆2500億円、営業利益840億円を目指す

 2025年通期の業績見通しは、売上収益が前期比103%の1兆2500億円。事業利益は前期比108%の950億円。営業利益は前期比751%の840億円。当期利益は前期比456%の450億円とした。ダンロップ商標権の買い戻しによる北米や豪州での増販に加え、市販タイヤのプレミアム商品の比率向上による利益増を見込む一方で、グッドイヤーからの移行関連費用の一部や、米国タイヤ製造子会社の生産終了による影響も2024年に引き続き2025年にも構造改革損失として計上予定となっている。

2025年度 連結業績予想

 売上収益は、タイヤ事業で前期比104%の1兆885億円。スポーツ事業は前期比99%の1245億円。産業品他事業は前期比93%の370億円。全体では前期比103%の1兆2500円とし、381億円の増収。事業利益は、タイヤ事業で前期比109%の830億円。スポーツ事業は前期比102%の80億円。産業品他事業で前期比103%の40億円。全体では前期比108%の950億円とし、71億円の増益を見込んでいる。

2025年度 セグメント別 連結売上収益・事業利益予想

 質疑応答でトランプ政権による関税増加についての懸念を聞かれた山本社長は、「仮に関税が引き上げられたら、しっかり値上げして対応するが、商品力とサービスを持ってきちんと顧客をフォローすることでカバーしていく」と説明。

 また、次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」の反響の高さや利益面について西口氏は、「発売当初は40サイズで、18インチ以上も15サイズしかなかったけれど、上方修正した販売予想を2024年12月末に軽くクリアしました。現状では首都圏が1番売れていて、特に輸入車オーナーが多く、2025年3月商戦期には76サイズまで拡充し、18インチ以上も37サイズまで増えるので、今までロスしていた分をキャッチアップできると考えています。2026年末にはこれまでとは次元が違うレベルの利益が出てくると思っています」と手応えと期待を述べた。

左から、住友ゴム工業株式会社 取締役 常務執行役員 大川直記氏、代表取締役社長 山本悟氏、代表取締役 専務執行役員 西口豪一氏、執行役員 経理財務本部長 日野仁氏
タイヤ販売本数 前年同期比推移
タイヤ生産能力の推移