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住友ゴム、白河工場で地元小学生を招いた「夏休み わくわく寺子屋」を実施 水素の活用や企業の魅力を楽しく紹介

2023年7月24日 実施

夏休み わくわく寺子屋 in 白河工場に参加した近隣の小学生たち

 住友ゴム工業は7月24日、福島県にある白河工場にて、近隣の小学生(4~6年生)約30人を招き、カーボンニュートラルや水素エネルギーなどへの理解を深めるイベント「夏休み わくわく寺子屋 in 白河工場」を開催した。

 夏休み わくわく寺子屋 in 白河工場は、夏休みが始まった近隣小学校の生徒を対象に、水素ボイラーや水素を運ぶトレーラーや、工場内にある里山「白河GENKIの森」の見学に加え、視聴覚室で行なわれた特別授業では、学習テーマを「みんなでとめよう 温暖化」とし、日ごろから自分たちでできることなどを紹介した。さらに、水素発生装置を用意して、水から水素を作り、実際に火をつけて燃える様子を見学したほか、白河工場の取り組みなども学んだ。

水素トレーラーを見学
視聴覚室で行なわれた特別授業
学習テーマは「みんなでとめよう 温暖化」
日ごろから自分たちでできることを紹介
白河工場の取り組みも紹介
水素発生装置を用意
水から水素を作り、実際に火をつけて燃える様子を見学した

仕事としての楽しさや会社としての魅力を感じてほしい

 2023年1月に白河工場 工場長に就任した河合亨氏は、「これまで長くタイヤの設計に携わってきたので、タイヤで社会貢献するために低燃費タイヤの設計ばかり考えてきました」と振り返る。また、寺子屋の開催については、「コロナでイベントが中止になっていたため、今回の白河工場で地域の子供たちと触れ合うイベントは初体験となりますが、自分もいろいろな学びがありますね」と語る。

住友ゴム工業株式会社 白河工場 工場長 河合亨氏

 高度経済成長期(昭和)の工場といえば、「省エネ」や「低公害」といった目標を掲げていたが、ここ数年で白河工場をはじめ多くの工場が「カーボンニュートラルの実現」へ向けた活動を加速させている。

 その中でも白河工場の大きな取り組みの1つが「水素ボイラー」と「太陽光発電」を利用したタイヤ作りで、製造時(Scope1、2)カーボンニュートラルを実現するファルケンブランドのタイヤ「アゼニス FK520」の量産となっている。また、利用する水素に関して同日、福島県浪江町の再生可能エネルギーを利用した水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」の水素を1か月間にわたり供給を受けることが決まったと発表していて、河合氏は「よりクリーンなエネルギーで製造された水素の利用を促進している」と解説する。

 なお、住友ゴム工業は2023年中に2030年のScope3削減目標の策定と公表を予定していて、Scope3を含めたカーボンニュートラルを目指す取り組みに挑戦している。

福島水素エネルギー研究フィールドの水素トレーラー
福島水素エネルギー研究フィールド(Fukushima Hydrogen Energy Research Field)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業が2020年に福島県浪江町に建設した、再生可能エネルギーを利用した世界最大級となる10MWの水素製造装置を備えた水素製造施設
トレーラーのイラストは浪江町の子供たちが描いている
白河工場内にある水素ボイラー。中央の煙突からは水(水蒸気)しか出ていない

 昨年水素ボイラーの立ち上げとともに白河工場にできた新たな部署「環境管理部」に所属する、住友ゴム工業 環境管理部 水素プロジェクトグループ主査 兼 白河工場 環境管理課長 川村隆司氏によると、「コロナ禍でも社内を元気にする運動は続けていましたが、今回コロナが5類に移行したことで、少し大きなイベントとして展開しました。地域の子供たちはもちろん従業員やその家族も元気になれるような内容になっています」と、今回の寺子屋開催の狙いを説明。

 さらに、過去(コロナ前)にも工場見学は実施していたが、昨年水素ボイラーが稼働したこともあり、水素ボイラーの見学に合わせて水素について学ぶカリキュラムも今回は取り入れてみたという。

住友ゴム工業株式会社 環境管理部 水素プロジェクトグループ主査 兼 白河工場 環境管理課長 川村隆司氏

 また、これらの活動は、福島県内から流出しがちな若者に対して、「地元企業についてもっと理解を深めてもらいたい」という想いも込められているといい、例として水素の取り組みについて、「小学生~高校生までそれぞれ説明内容のレベルも変えながら、伝えることで仕事としての楽しさや、会社としての魅力を感じてほしい」とさまざまな想いとともに実施していると語ってくれた。

 白河工場(住友ゴム工業)としては、今後もカーボンニュートラルへの取り組みは拡大させていくが、水素を自社で製造できるのか、水素以外のアンモニアも使うのか、ボイラーをもっと拡大するのかなど検討項目は多数あるほか、国の方針や新しい技術の確立など、自社だけではできないことも、多くの企業と連携すればできることもあるので、引き続き最善の道を選択していきたいとしている。

自然との調和や女性従業員の活躍を推進している白河工場

白河工場の従業員用駐車場には太陽光発電パネルが設置されている

 住友ゴム工業 白河工場 総務課課長 秡川弥生氏は、「白河工場は来年で操業50年の節目を迎える施設で、新しい設備の導入や研究所があり、開発拠点と人材育成の場を兼ねています。東京ドーム13個分の敷地面積を誇り、約1600名が働いていて、自然との調和や公害を出さない、地域との密着を運営方針に掲げ、地域に愛される工場を目指し日々活動しています。タイヤはフラグシップ工場として乗用車用高性能タイヤをはじめ、トラック・バス用、スタッドレスタイヤの製造拠点にもなっています」と白河工場の概要を紹介。

住友ゴム工業株式会社 白河工場 総務課課長 秡川弥生氏

 また、福島県主催の植樹イベントへ毎年参加したり、白河工場敷地内で収穫したどんぐりの種を近隣在住の園児と一緒に種まきを行ない、3年間工場敷地内で育てて卒園記念に育った苗木をプレゼントしたり、海ゴミ削減プロジェクトへの参加、白河市児童クラブへの物品提供など、地域や自然との触れ合いを大切にしている工場であるという。

 さらに、働き方改革について秡川氏は、「早くカエル、考え方をカエル、初心にカエル、方法をカエルといった改革活動を行なう“チームKAERU”の設立や、女性の働きやすさを追求する“きらり★S-Girls”といった活動のほか、女性専用の相談窓口を設けたり、ビジネスマナーの研修会やハラスメント勉強会、他社見学の実施、そのほかにも食事会やお祭りなどを通した地域交流などを行ない、常に女性目線での活動改善を重ね、女性のさらなる活躍に取り組んでいる」と説明。

 なお、白河工場は、これらの活動が認められ、令和2年に「福島県ワーク・ライフ・バランス大賞」、令和3年に「優秀将来世代応援企業賞」、令和5年に「第11回みどりの社会貢献賞」などを受賞している。

住友ゴム工業の国内工場一覧。青がタイヤ、オレンジが産業品、緑がスポーツ用品関連となっている

 最後に秡川氏は、環境で地域をリードする白河工場は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業として、水素の熱源利用実証を2021年8月から開始し、製造時カーボンニュートラルタイヤの開発に成功していることを報告して、工場紹介を締めくくった。

 また、この日は白河工場の従業員向けにモータースポーツとの触れ合いを楽しんでもらうイベントも併催され、日本最高峰の自動車レース「SUPER GT」に参戦しているナカジマレーシングが、レーシングカー「Modulo NSX-GT」を展示。中嶋悟監督やドライバーの伊沢拓也選手と太田格之進選手も参加して、従業員だけでなく夏休み わくわく寺子屋 in 白河工場に参加した近隣の小学生たちも一緒にモータースポーツとの触れ合いを楽しんだ。