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フォルクスワーゲン、新春記者会見で2015年に新型「パサート」「ポロGTI」「トゥアレグ」導入を発表
スポーツモデルにMTを設定するほか、ディーゼル、PHEVと多彩なパワートレーンの導入を予告
(2015/1/14 19:35)
- 2015年1月14日発表
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは1月14日、2015年の新春記者会見を開催し、2015年は新型「パサート」をはじめ、マニュアルトランスミッション、ディーゼルエンジン、PHEV車の導入などを明らかにするなど、今年の活動について多く語られた。
好調だった2014年
記者会見ではまず、フォルクスワーゲン グループ ジャパン 代表取締役社長の庄司茂氏が2014年を統括。全世界のグループ全体で累計生産2億台、年間1000万台の販売を達成、国内では「5つの記録」を達成したことが紹介された。
国内での5つの記録は、年間販売台数が2年連続の更新で6万7438台(前年比0.2%増)になったこと、認定中古車「Das WeltAuto」の年間販売台数が過去最高となる1万4257台を記録したこと、輸入車初の単月販売台数が1万台超え(3月)だったこと、ブランド別輸入車年間販売台数でNo.1になったこと(15年連続)、「ゴルフ」が輸入車における年間登録台数のモデル別No.1(27年連続)になったことを挙げている。
増税前の駆け込み需要とはいうものの、「月間販売1万台超えというのを輸入車でも達成する時代」と評価。その反動で厳しい状況が続いたものの、年間販売台数で過去最高を達成するなど5つの記録を得たことについては、「手放しではないが健闘した1年」と振り返った。
またゴルフだけで2万台を販売し、その中でGTIが17%、Rが7%と「スポーツモデルが約1/4であることに注目していただきたい」と述べた。「ポロ」でははじめて女性をコミュニケーションターゲットに設定し、女性1人での販売店への来店が増えたことを紹介した。
そのほかの活動では、TV-CMの継続や、LINEのスタンプ公開をはじめとするデジタルコンテンツの強化、6年ぶりにカスタマーイベント「フォルクスワーゲン フェスト」を開催したことに触れられている。
会社の体制強化では、愛知県豊橋市にある陸揚げした車両の整備と出荷を行うテクニカルサービスセンターの2交代制をスタートさせた。フォルクスワーゲンをはじめグループのアウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ポルシェの各ブランドを取り扱い、2014年は10万7500台まで処理台数が拡大した。この施設は1993年に最大10万台規模で本格稼働を開始したが、この数値を超えたため、将来の販売台数増に備えて2交代制を導入、1.5倍程度まで処理能力を増やしたという。
2015年は新型「パサート」「ポロGTI」「トゥアレグ」導入
庄司氏は会見の中で、2015年は新型「パサート」(第2四半期に予定)に加え、直近では2月に「ポロ GTI」と新型「トゥアレグ」を発表することをアナウンスした。
2015年度の第2四半期(7月~)に予定されるパサート導入について庄司氏は、「見た目だけでなく、すべてを変える。パワートレーンのラインアップを刷新し、エコ性能だけでなくパワフルな走り、上級モデルとしてふさわしい走りを実現」「フォルクスワーゲンとして初めての本格的なDセグメントモデル。グループの中ではアウディ A4と兄弟に近いような生い立ちだったが、それをまったく凌ぐような、まったく違うクルマに仕上がっている」「Cセグメントのお手本がゴルフだったように、新たなDセグメントのお手本になるようなクルマに仕上がった」と述べ、価格の面でも「フォルクスワーゲンとしての上質感があり、贅沢すぎない価格設定」と説明された。
パサートのバリエーションとしては、既存モデルが1.4リッター TSIエンジンのみだったのに対し、PHEVを含め4つのエンジンバリエーションがあることが明らかにされた。ボディータイプはセダンとヴァリアント(ステーションワゴン)の予定だが、既存モデルがワゴン中心で販売が進んでいたことに対して、新型ではセダンを中心として押し出していく方針を検討しているとのこと。
ディーゼル、EV、PHEV、MT車の導入
そしてパワートレーンについても予告があり、車種についての言及はないものの、年内にはディーゼルやPHEV、MT車の導入が明らかにされた。
MT車はGTIなどスポーツグレードに設定されるとし、導入時期は年央ごろとした。MT車導入の理由として庄司氏は、顧客からの要望に加え「メーカーとして売れなくてもきちっと置いてあるのは大事」「フルラインメーカーとしての矜持」「ゴルフの販売台数の24%が(GTIやRといった)スポーツグレードなので、MT車の選択肢を用意しておくべき」などと説明した。MT車の販売台数については爆発的に売れるものでもなく、販売台数を大きく変えるものではないとの見方を示している。
そのほか、エンジンではディーゼルエンジンの導入を発表。MT車同様、導入車種については明らかにしていない。また2014年に発表され、今年から納車がはじまる「e-up!」をはじめとしたEV(電気自動車)についても庄司氏はコメントし、「(一般顧客が)だいぶ、EVに慣れてきたのではないか。3年から最大5年(というスパン)で見ると一気に伸びるかも」と予測した。
最後に庄司氏は今年導入のラインアップを「走って楽しい、環境にも優しい、まさにフォルクスワーゲンらしいクルマが次々とラインアップされる予定」とまとめた。
フォルクスワーゲンは「AKB48のようないつでも触れていられるアイドル」のような存在
一方で、販売面における2015年の課題は「お客さまとの距離を縮める」こと。庄司氏は「フォルクスワーゲンは輸入車といってもとても身近な存在であり、最良のパートナー。普通のアイドルでなく、AKB48のようないつでも触れていられるアイドル。フォルクスワーゲンはそんな存在かもしれない」と自己分析。
そうした身近な存在を目指すフォルクスワーゲンの具体的な活動としては、2014年に引き続き「フォルクスワーゲン フェスト」を開催。今年は関東圏(2014年は富士スピードウェイで開催)に加え関西圏でも実施する。また、リゾート施設とコラボレーションし、西表島でe-up!の試乗イベントなども行うという。
販売面では販売店のCI(コーポレートアイデンティティ)が全店導入完了したので、今後店舗数を増やし、現在の「ハブ&スポーク戦略」を推進する。これは主要商圏向けのフルファンクション店をハブとして、小規模商圏用のブランチ店を増やしていくというもので、今まで輸入車販売店がなかったような小さな都市にもフォルクスワーゲン正規販売店を進出させることで、「お客様とフォルクスワーゲンの距離が縮む」と説明した。販売店数は2014年末の246店舗から2015年に10%増やす予定という。
また、販売店では女性スタッフユニフォームの統一を図る。現在、デザインはコンペの最中ということで、決まり次第発表されるとのことだ。
なお、庄司氏は具体的な2015年の販売目標数値は明らかにしなかったものの、2014年の約6万7438台を超えて「7万台はいきたい」と希望を話し、今年は「新しいフォルクスワーゲンらしさを創造する年として、プロダクトそのものからブランドの見え方を変え、新時代のクルマの販売の手本を作っていきたい」と意気込みを語った。