発表会で行われたフォトセッション。左は本田技研工業 専務執行役員 日本本部長 峯川尚氏、右はS660の開発責任者(LPL)を務めた本田技術研究所 四輪R&Dセンター 椋本陵氏 本田技研工業は、4月2日に発売するオープン2シーターの新型軽自動車「S660(エスロクロクマル)」の記者発表会を開催した。S660の価格やグレード展開などの詳細は関連記事を参照されたい。なお、この発表会のようすはUstream、YouTube Live、ニコニコ生放送でインターネットライブ中継された。
ホンダ、新型オープンスポーツ「S660」の発表会をインターネットライブ中継
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150330_695149.html
テーマカラーである「プレミアムスターホワイト・パール」のS660 発表会の当日は、会場となったホンダウエルカムプラザ青山で全6色のボディーカラー、純正アクセサリーであるモデューロパーツ装着車、同時発表された無限パーツ装着車など8台を展示。翌日以降は2台のS660が屋内展示される予定となっている S660の特徴の1つであるロールトップを外すときには、自分の手で巻いて収納場所であるフロントフード下のユーティリティーボックスに入れる必要があるため、フロントフードにはダンパーを装着している ユーティリティーボックスはロールトップを収めるとちょっとした隙間が残るだけになる ユーティリティーボックスは左右両サイドにロックを用意 ライトユニットにLEDヘッドライト+LEDポジションランプ(導光タイプ)を全車標準装備 タイヤはヨコハマタイヤ(横浜ゴム)のADVAN NEOVA AD08Rを採用し、サイズはフロント(右)が165/55 R15 75V、リア(左)が195/45 R16 80W リアフードは車両後方側にヒンジを設定する。中央のスリットはエンジンルームの廃熱用 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボのS07A型エンジンは、最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク104Nm(10.6kgm)/2600rpmを発生 運転席側はパイプをエンジン前方下側まで伸ばし、ターボチャージャーと排気系パーツを冷却 内装色はブラックが基調。シートはブラック以外に、プレミアムスターホワイト・パールのαグレードでは左右でシート色が異なる「アシンメトリーカラー」も選べる α CVT車のインパネ。ステアリングとシフトセレクターは本革巻きとなる メーターパネルはホンダ軽自動車初のデジタルメーターを備える大型1眼式コンビネーションタイプ 幅広いユーザーに乗ってもらえるようにと用意されたCVTは、ステアリングに設置されたパドルによる7速マニュアルモードも利用可能 専用工程による少量生産で1日40台を製造
記者発表会には本田技研工業 専務執行役員 日本本部長の峯川尚氏、S660の開発責任者(LPL)を務めた本田技術研究所 四輪R&Dセンター 椋本陵氏の2人が参加。
まず登壇した峯川氏は、「S660の企画を開始したとき、社内では『2シーターのスポーティなクルマ』を目指すべきか、『本格的なスポーツカー』を目指すべきか、その方向性について多くの時間を費やして議論いたしました。検討を進めていくなかで、このS660を望まれるみなさまのご期待の中心は『本格的なスポーツカー』にあることを知り、これに応えることに開発の方向を定めました」「ただ、今回のS660には、6速MTに加えてパドルシフト付きの7速CVTを設定することで、より多くの人にお選びいただけるようにしています」と紹介。S660は雰囲気を楽しむオープンカーではなく、本格的な走りを味わえるモデルとして生み出されているとした。
また、「S660は私どものグループ会社である八千代工業の四日市製作所で製造されます。スポーツカーにふさわしい走りと質感を実現するため、人の手と機会を融合させた専用工程を採り入れた、少量生産技術で作り出します。1日40台、月間約800台の生産となりますが、1台1台心を込めて製造し、お客さまにお届けしていきたいと思っております。発売当初は少しお待ちいただくこともあると思いますが、ご容赦いただきたくお願いします」とコメント。S660は発表に合わせて納期についてもニュースリリースが出されており、発売の4月2日11時以降、特別Webサイト「GATE660」(http://www.honda.co.jp/S660/nouki/)で納期見通しを順次公開するとしている。
S660の生産では高い精度を実現するため、担当者とロボットが役割分担しながら作業を実施。また足まわりの取り付けでは、完成時と同じ1G状態を再現しながらの取り付けによって精度を高めている。このため、生産は1日40台となっている 峯川氏のプレゼンテーション中には、S660に合わせて制作された新CMも上映。BGMのほかにはエンジン音とタイヤのスキール音などが流れるだけで、メッセージは文章のみ。ホンダのスポーツマインドを表現する内容となっている 峯川氏から「ホンダの歴史のなかで最も若い開発責任者」として紹介された椋本LPLは、自身の提案からスタートした「軽スポーツカー」企画であるS660が、「スポーツカーを作りたい」と自ら手を上げた若手エンジニアが各領域のプロジェクトリーダーを担当。ベテランエンジニアと力を合わせる開発チームとして付き利上げたエピソードを紹介した。また、「昨今はクルマ離れという言葉も聞き慣れたようにも感じますが、敢えてクルマ離れといわれる私たちの世代から、クルマの楽しさを追求したS660を作り上げ、『クルマって楽しいんだぜ』というメッセージを、世の中にドストレートに発信するという志で開発してきました」と語っている。
本田技術研究所の50周年を記念する新商品提案コンペでのグランプリ獲得がS660誕生のきっかけ 「見る楽しさ」「乗る楽しさ」の2点がS660の大きな魅力。ベテランからビギナーまで、多くの人がクルマの楽しさを実直に味わえる「懐の深いスポーツカー」を目指しているとのこと グランドコンセプトは「心昂ぶるHeart Beat Sport」 椋本LPLのプレゼンテーションでは、各領域のプロジェクトリーダーがS660に込めた思いや開発シーンなどのスライドショーも紹介 直近の受注状況について質問された峯川氏は、「受注はロットごとにしっかり管理しており、最初の3000台のロットについては先日受注を開始して、ほぼ完了している状態です。ここまでに受注しているお客さまには、7月までには全数お届けできます。4月2日の発売以降もロットできちんと管理して納期をお約束する体制をとりたいと思っており、Webサイト上に適宜情報を開示していきたいと思います」とコメント S660がミッドシップを採用した理由について「フロントにエンジンがないことによるウェッジの効いたスタイルがスーパーカーそのもののプロポーションになっており、乗る楽しさでもフロントが軽いことによる回頭性のよさで“痛快ハンドリング”を実現していることが理由です」と回答する椋本LPL S660 モデューロパーツ装着車
「アクティブスポイラー」はダックテール形状となっており、格納状態でも存在感を放つ 運転席のスイッチ操作、または車速が約70km/hになると自動的に上昇し、安定感と旋回フィーリングを高める。リフト量は中央部分の最大値で約30mm 【お詫びと訂正】記事初出時、記事内のエンジン出力が一部間違っておりました。最大トルクは104Nm(10.6kgm)です。お詫びして訂正させていただきます。