ニュース

三菱自動車、東京モーターショー2015でコンパクトSUVのEVコンセプト「MITSUBISHI eX Concept」を世界初公開

次期「アウトランダー」での搭載を目指した自動運転技術を搭載

2015年10月8日発表

コンパクトSUVのEVコンセプトカー「MITSUBISHI eX Concept」

 三菱自動車工業は、10月29日~11月8日(プレスデー:10月28日~29日、プレビューデー:10月29日、一般公開日:10月30日~11月8日)の期間に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催する「第44回東京モーターショー2015」の出展概要を発表した。

 今回の東京モーターショーでは、「Driving Beyond SUVと電気の力で、一歩先へ。」をテーマに、次世代EVシステムを採用したコンパクトSUVのEVコンセプトカー「MITSUBISHI eX(electric cross)Concept」を世界初公開するとともに、「アウトランダーPHEV」を展示するエリアではPHEVシステムやツインモーター4WDの技術特長を紹介するシャシーモデルや、駆動用バッテリーから住宅などに電気を供給する「V2X」(Vehicle to X。Xは家、ビル、地域などを示す)をイメージした街のジオラマの展示などを実施。

 さらに、アウトランダーPHEVのクロスカントリーラリー(バハ・ポルタグレ500)参戦車や、同社の電気自動車研究開発50年の取り組みを紹介するパネル、50周年を記念したラッピングを施した「アイ・ミーブ」の展示など、一般公開日は15台のモデルを出展する。

会場に展示されるアウトランダーPHEVのクロスカントリーラリー参戦車
7月に発売された新型「アウトランダーPHEV」
EV「アイ・ミーブ」

次世代EVシステムの採用で航続距離400kmを実現する「MITSUBISHI eX Concept」

「MITSUBISHI eX Concept」は、大容量・高性能バッテリーと小型・高出力モーターなどで構成される次世代EVシステムを採用し、車体側の軽量化も相まって航続距離400kmを実現するコンパクトSUVのEVコンセプト。電動化技術や4輪制御技術をはじめ、コネクティッドカー技術と予防安全技術を組み合わせた自動運転技術などを採用しているのが特長になっている。自動運転技術に関して導入時期は現時点で未定としているが、次期「アウトランダー」に搭載することを目指して現在開発を進めているという。

 運動性能については、最高出力70kWのモーターを前後に配置するツインモーター4WDをベースに、フロントはブレーキ制御、リアは左右のトルク移動を行うAYC(Active Yaw Control)を設けた車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を採用。総電力量45kWhのリチウムイオンバッテリーはフロア下にレイアウトする。この「S-AWC」の機能を最大限に発揮できるよう、センサーとカメラの情報を元に路面状況を推定し、路面状況に合わせて駆動力を制御する「AUTOモード」、未舗装路や降雨時に最適な「GRAVELモード」、雪道など滑りやすい路面走行時に最適な「SNOWモード」という3種類の走行モードが用意されている。

次世代EVシステムについて
車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」

 エクステリアデザインは、コンパクトSUVにシューティングブレークが持つ上質さとクーペスタイルを融合させ、キビキビと街を疾走するスポーツクロスオーバースタイルとした。これをベースに、現在同社が推し進めているフロントデザインのコンセプト「ダイナミックシールド」を採用するとともに、歩行者からの視認性を高めるためにデイタイム・ランニング・ランプとウインカーを上部に、対向車や歩行者の防眩のためにヘッドライトをバンパーにレイアウト。また、人や障害物などとの接触の可能性がある前後左右の下部にラバーコーティングを施して安全性を視覚的に表現している。

エクステリアデザインは、コンパクトSUVにシューティングブレークが持つ上質さとクーペスタイルを融合させたもの。最高出力70kWのモーターをフロントとリアに、総電力量45kWhのリチウムイオンバッテリーをフロア下に搭載する。ボディーサイズは4240×1780×1575mm(全長×全幅×全高)、乗車定員は5名
車名のeXは「electric cross」の略称。デザインコンセプトは「ACTIVE URBAN SPORT SUV」
塊から削り出したような凝縮感のあるフォルムに、躍動感あふれるアクティブなデザインを組み合わせた
フロントまわりは、同社が推し進めているフロントデザインのコンセプト「ダイナミックシールド」を採用
歩行者からの視認性を高めるためデイタイム・ランニング・ランプとウインカーを上部に、対向車や歩行者の防眩のためヘッドライトをバンパーにレイアウト
人や障害物などとの接触の可能性がある前後左右の下部にラバーコーティングを施し、安全性を視覚的に表現
センターピラーレスのイージーアクセスドアを採用する

 インテリアでもシューティングブレークらしさを表現するべく、運転席と助手席でカラーリングを変更し、全体としてスポーティでありながら明るく広々とした上質な室内空間を目指した。また、センターコンソール内に車外で使えるポータブルバッテリーを2機装備したほか、フロントウインドシールドにAR(拡張現実)技術を応用した「AR ウインドシールド」、インパネ上部中央に各種ドライブ情報を表示する「インテリジェントディスプレイ」を搭載。

 このインテリジェントディスプレイは前方の視界に情報を表示することで、走行中に起こるさまざまな道路状況の変化を視線を動かさないでも視認できるというもの。具体的にはナビゲーションと連動した進路案内、先進の予防安全技術と連動する「車間警報」「車線逸脱警報」、カメラによる「標識認識」がとらえた固定・変動標識情報などが確認できるという。そのほか、車車間通信や路車間通信を活用して、ドライバーから見えない情報をガイドや警告として表示する「コーショントラッキング」機能が与えられるとともに、メーターの両サイドにはドアミラーに代わるサイドビューモニター、オーバーヘッドコンソールにはルームミラーに代わるリアビューモニターなども装備する。

インテリアでは、フロントウインドシールドにAR(拡張現実)技術を応用した「AR ウインドシールド」、インパネ上部中央に各種ドライブ情報を表示する「インテリジェントディスプレイ」を搭載して先進性をアピール
運転席と助手席でカラーリングを変更
インパネなどの主要部位はソフトマテリアルでカバー。視覚的なライトウェイト感と実際の軽量化を実現
メーターの両サイドにはドアミラーに代わるサイドビューモニター、オーバーヘッドコンソールにはルームミラーに代わるリアビューモニターなども装備

 そのほか予防安全技術「e- Assist(イーアシスト)」を進化させ、カメラとレーダーを用いて検出対象を歩行者や自転車まで拡大させた「衝突被害軽減ブレーキ(Forward Collision Mitigation(FCM)」「誤発進抑制制御&ブレーキ制御」を搭載。FCMは、先行車への衝突の危険性が高まった場合にカメラやレーダーが察知して自動ブレーキを作動させるというもので、夜間など前方の歩行者や自転車が見えにくい状況でも衝突の可能性を警報するとともに、事故の回避や軽減を図るという。誤発進抑制制御&ブレーキ制御は、前方または後方に障害物がある場合にレーダーが障害物を認識し、アクセルとブレーキの踏み間違いを検知するとともに、モーターの出力を抑えながら急発進を抑制する。

 また、超音波センサーとレーダーを駆使して死角になる後側方に車両がいると検知した際に警報音と警告表示で注意を喚起する「後側方死角警報(Blind Spot Warning:BSW)」、BSWなどと連携して高速道路などで車線変更を行う場合にドライバーをアシストする「レーンチェンジアシスト(Lane Change Assist:LCA)」なども搭載している。

 これらに加え、「MITSUBISHI eX Concept」では車車間通信や路車間通信、車両に搭載するカメラやレーダーなどから得た情報をもとに周囲の状況を解析し、自動で車両の加減速や車線の維持・変更を行う「自動車専用道路での自動運転(準自動走行)技術」が盛り込まれた。

 この「自動車専用道路での自動運転(準自動走行)技術」は、車車間通信から得た他車の加減速情報を共有しながらよりスムーズな追従走行を可能にする「協調車間距離制御(Cooperative Adaptive Cruise Control:CACC)」、カメラでレーンの位置を把握して車線内を走行する「車線維持制御(Lane Keeping Assist:LKA)」、自車線前方で渋滞や工事があった際などに車線変更が必要な場合に、LCAやBSWなどと協調しながら車線変更を行う「自動レーンチェンジ」、進行方向に障害物がある場合に車両に搭載するカメラやレーダー、周辺車両との通信により障害物を認識して回避する「障害物回避自動操舵システム」などで構成される。

 こうした自動運転技術に付随し、ドライバーや同乗者が乗降エリアでクルマから降り、スマートフォンなどで指示するだけで自動運転で駐車できるスペースに向かって駐車する「自動バレーパーキング」も開発。この自動バレーパーキングには、ソーラーシステムなどの再生可能エネルギーを利用した「非接触充電」を用いたEV充電スペースが設けられ、充電が必要なEVは自動運転により順次充電を行うことも可能としている。

自動運転技術も備える
予防安全技術について
自動運転技術について

(編集部:小林 隆)