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日産、2025年度第3四半期決算は営業利益-101億円、当期純利益-2502億円の赤字 通期見通しで売上高を2000億円、営業利益を2150億円上方修正

2026年2月12日 開催
2025年度第3四半期の決算説明会に出席した日産自動車株式会社 社長兼CEO イヴァン・エスピノーサ氏

 日産自動車は2月12日、2025年度第3四半期(2025年4月1日~12月31日)の決算を発表した。

 2025年度第3四半期の売上高は前年同期(9兆1432億700万円)から6.2%減となる8兆5779億7400万円、営業利益は前年同期(640億1000万円)から赤字化して-101億700万円、営業利益率は-0.1%、経常利益は前年同期(1594億1700万円)から赤字化して-1108億2800万円、当期純利益は前年同期(51億4800万円)から赤字化して-2502億2300万円。また、グローバル販売台数は前年同期(239万7000台)から14万台減の225万7000台となった。

2025年度第3四半期の日産自動車財務実績

関税影響の2320億円、為替影響の522億円が主な減益要因

日産自動車株式会社 CFO(最高財務責任者)ジェレミー・パパン氏

 同日開催された決算説明会では、決算内容について日産自動車 CFO(最高財務責任者)ジェレミー・パパン氏が解説。

 2025年度第3四半期グローバル販売台数は対前年度比で5.8%減の225万7000台となったが、北米市場での販売は堅調に推移して、第3四半期までの累計販売台数は対前年同期比で1%増、第3四半期の3か月では前年並みとなった。米国生産モデルを優先する「US for US」戦略、ターゲットを絞ったインセンティブの使い方、ディーラーの参画意識の向上などの成果によって小売台数が拡大し、収益率を高めることができていると分析。アメリカ国内で生産している「パスファインダー」「フロンティア」「ローグ」「インフィニティ QX60」といったモデルが販売を牽引している。

 第3四半期までの中国における販売台数は対前年同期比で8%減少しているが、第3四半期の3か月では好調なBEV(バッテリ電気自動車)セダン「N7」が牽引役を果たし、対前年同期比12.7%増となっている。

 日本の国内販売は厳しい状況が続き、対前年同期比で17.7%減少。欧州市場でも販売が苦戦して対前年同期比9%減、その他地域の販売も対前年同期比7.6%減となっている。関税影響が緩和されたことで米国における販売は増加傾向となっているが、一方で関税影響の緩和を目的にカーフローの変更を行なったことが要因の1つとなってグローバル販売は減少していると説明された。

2025年度第3四半期の市場別販売台数

 販売台数が減少したことを受け、財務指標でも第3四半期累計では営業損失を計上しているが、赤字幅としては上期の277億円から101億円に改善。この要因は経営再建計画「Re:Nissan」で取り組んでいるコスト改善活動が成果として表われているとしている。また、営業利益の増減分析では、北米で行なわれている関税の影響で2320億円、為替の影響で522億円を主な減益要因として紹介した。

2025年度第3四半期における営業利益の増減分析。関税による2320億円、為替による522億円のほか、インフレでも630億円が減益要因となっている

2025年度通期見通しを営業損失600億円、当期純損益を6500億円に修正

2025年度通期見通し。上期決算発表会で下方修正を行なったが、第3四半期3か月の結果を反映して売上高と営業利益について上方修正

 2025年度通期の業績見通しでは、グローバル販売台数を前回見通しから50万台下方修正する一方、市場投入する新型車が持つ商品力と市場の好意的な反応、関税の見通しが立ったことを好材料として、売上高を11兆7000億円から2000億円プラスの11兆9000億円、営業利益を損失となる-2750億円から2150億円プラスの-600億円に上方修正した。

 また、市場環境が不透明としてこれまで未定としていた当期純利益については赤字の純損益となった2024年度の-6709億円から209億円改善となる-6500億円に設定。通期の純損失にはRe:Nissanで推し進めているリストラクチャリング費用のほか、第4四半期に追加する可能性があるリストラクチャリング費用と経営判断の影響が含まれるとしており、純損失の大部分は現金支出を伴わないノンキャッシュの項目としている。

グローバル販売台数と生産台数の通期見通しは前回発表から下方修正
2025年度通期業績見通しにおける営業利益増減要因では、関税で2750億円、インフレで950億円、為替で350億円を主な減益要因としている

第3四半期の3か月に限定すると営業利益は175億円

2025年度第3四半期決算のサマリー

 パパンCFOの説明に続き、日産自動車 社長兼CEOのイヴァン・エスピノーサ氏が決算内容のサマリーとして補足を実施。2025年度第3四半期は厳しい販売状況に晒されつつ、今後に向けた断固たる活動が事業の安定化につながり、回復に向けた道筋を付けることができたと強調した。

 米国では小売り販売を優先してフロート販売の比率を抑える戦略を採ったことで堅調な業績を確保できたが、日本や欧州では全体需要の減少と競争の激化が起きていると説明。中国市場では日産が市場投入している新エネルギー車が販売の勢いを強め、先進的な技術を採用している「ティアナ」に対する反応も上々だと自信を見せた。

 このほかに決算のポイントとして、第3四半期の3か月に限定すると営業利益は175億円となっており、コスト削減の徹底が関税の影響を吸収する状況となって2025年度通期では営業損失を600億円まで改善するとアピールしている。

Re:Nissanの進捗状況について

約2400億円のコスト削減につながるアイデアが創出され、すでに実行段階に移行しつつある

 また、エスピノーサ社長は決算内容の説明に続いてRe:Nissanの進捗状況について説明。合計5000億円のコスト改善を目指した取り組みでは、変動費でこれまでに5100件を超える改善案が創出され、想定効果額を約2400億円と試算。これらの改善案はすでに実行段階に移行しつつあり、削減目標に向かって順調に進んでいるほか、開発プロセスについても継続的に見直しを行ない、コスト削減の加速化を図っている。

 固定費では事業構造改革計画「Nissan NEXT」で発表して予定している7つの車両生産拠点すべてについて発表を終え、直近では南アフリカにあるロスリン工場と近隣のプレス工場を奇瑞汽車(チェリー)に売却することに合意したことを1月に発表している。

 固定費削減は2025年度第3四半期までの段階で1600億円に達しており、2026年度末までに2500億円を達成する計画。また、1時間あたりの開発単価削減についてもこれまで15%改善し、目標の20%に向かって順調に進んでいると説明。開発期間の短縮などでグローバルな開発体制の効率化が功を奏しており、人員体制の見直しについては責任ある取り組みを進め、規律正しく考え抜いた手続きに則って、ていねいに実行しているとした。

生産や開発のスリム化による固定費削減も計画を前倒して着実に進捗している

 商品の面では発売した新型車がそれぞれの市場で評価を受けており、日本国内では3代目となる新型「リーフ」の受注台数が約5000台に達し、2025年8月に発表した軽スーパーハイトワゴン「ルークス」もこれまでに4万台以上を受注して「第35回(2026年次)RJCカーオブザイヤー」を受賞したことを紹介した。

 米国では「セントラ」が1月の販売台数で前年から30%上昇し、競争の厳しいセグメントで存在感を発揮。中国ではファーウェイの最新コックピットシステム「Harmony Space 5.0」を搭載するティアナに発売から1か月で1万台の注文が寄せられるなど、各市場で日産車が勢いを見せていると語った。

市場投入した新型車もそれぞれ好調

 今後に向けても商品ラインアップの強化を図り、2025年12月には中国で生産されてグローバル展開する新型ピックアップトラック「フロンティア プロ」と新型セダン「N6」のPHEV(プラグインハイブリッドカー)モデルを発表。BEVによる激しい競争が続く中国市場で電動車のラインアップを拡充していく。

 さらに、今後もインド市場向けとなる7人乗りMPVの「グラバイト」、米国・スマーナ工場で生産される新型「インフィニティ QX65」、オーストラリア市場向けの新型ピックアップ「ナバラ」といった戦略的なモデルの市場投入が控えており、日産の成長を支える土台を強化して、グローバル市場でより効果的に戦える体制を整えていくと述べた。

今後に向けても商品ラインアップの強化していく

 最後にエスピノーサ社長は「日産は業績改善に向けて順調に歩を進めており、引き続き財務規律を徹底すると同時に、画期的な商品と技術の投入を加速していきます。日産は一貫して断固たる決意を持ってやるべきことを実行し、持続的な回復を実現して新たな章を切り拓いてまいります」とコメントしている。

日産自動車2025年度 第3四半期決算発表記者会見(45分13秒)