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「F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2026」トップチェッカーで“地鳴りのような歓声”を味わうためインディ500で3回目の優勝を目指すと佐藤琢磨選手
2026年3月27日 10:32
- 2026年3月25日 開催
東京都港区の東京タワー、Star Rise Towerで3月25日、まもなく開催となるF1日本グランプリの魅力を紹介する公式プロモーションイベント「F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2026」が開催され、特設されたステージでは関係者によるトークショーも行なわれた。
今回のトークショーは事前申し込み制となっており、入力時に用意された「各ゲストに聞きたい質問」が集められ、この質問を司会を務めたモータースポーツアナウンサーのピエール北川氏がそれぞれのゲストに投げかける形式で行なわれた。
F1も「e-Fuel」の採用で昔のようなエンジン音を取り戻してほしい
スペシャルゲストステージで登壇した佐藤琢磨選手は、自身がF1に出場していた2002年~2008年と現代を比較してどのような違いを感じるかという質問に対し、「まったく別ものだと思う」と回答。「僕らの時代は車重が600kgしかなかった、それもドライバー込みで600kgだから。それが今は750kgで150kgぐらい重くなっちゃって、パワーも当時はV10エンジンの1万9000rpmで800PSぐらいからスタートして、最後は900PSオーバーぐらいだったと思う。今のF1は電気の力も使って1000PS超え、今年は抑えられて1000PSぐらいだけど、あとはダウンフォースが凄いので、だから、ラップタイム自体は速いんだよね。僕らが走ってたときよりも5秒ぐらい速い」。
「あと、当時はもう(ステアリングを)修正してたもんね。ミハエル・シューマッハなんか、クルマのヨーは変わらずにスッと走っていても、手は常にこうやって(修正舵を)やってたでしょ。これぞ職人技みたいな、あれに憧れてたわけですよ。セナ(アイルトン・セナ選手)もアクセルで、何をやってるのか分からないぐらい、もう痙攣状態だった。それが凄いなっていうのがF1だった」。
「今はもうクルージングみたいだもん。もちろん、クルージングしてるわけじゃないんですよ、もの凄い大変なことをやってて、あれはタイヤの温度管理がもの凄く難しいんです。とくに今のタイヤはちょっとでも滑って表面がオーバーヒートすると、あっという間にパフォーマンスが落ちてしまう。だから滑らせないようにマネジメントしながら、そのなかで速く走るのは凄く大変なんです。ただ、それを知らずにオンボード映像とかだけを見ていると、なんだか当時のような大変さとか迫力は伝わってこないですよね」。
「あと、今年はとくにエネルギーマネジメントが難しそう。今年のオンボード映像を見ていると『あれ? あんなにアクセル全開で走ってたのに、ストレートに入ってからスピードダウンしてない?』みたいなこともあって、あれは気持ちわるいですね」。
「ドライバーたちも最初は凄く文句を言ってたけど、結局は楽しんでるんでしょうね。あと、一応は抜きつ抜かれつもあるし。だから、クルマのピュアなパフォーマンスと、ドライブトレーンを含めたパフォーマンスと、それをマネジメントするドライバーやチームの戦略といったところで、今はまだ手探り状態だから楽しいけど、これが膠着していっちゃうと、どうなんだろうなっていうのはあります」と説明した。
これに続けて、佐藤琢磨選手が「ただ、自分が走っていたころと違うことで、唯一どうしても戻ってきてほしいのは、音だよね」と口にすると、司会のピエール北川氏も同意して、さらに見に来ていた周囲のファンでも多くの人がうなづいていると述べ、YouTubeなどにアップロードされている過去のF1の動画を見ると、甲高い迫力あるエンジンサウンドが響いて、今でも当時の興奮を思い出すと語った。
この話の流れから、佐藤琢磨選手はF1の予選で自己最高の2位になった2004年のヨーロッパグランプリについて解説。予選に先駆けて行なわれたプレクオリファイ(予備予選)でB・A・R ホンダの10号車に乗っていた佐藤琢磨選手はトップを獲得したが、舞台となったニュルブルクリンクはドイツ人ドライバーであるミハエル・シューマッハ選手にとって母国開催となっており、「ホンダの日本人ドライバーに予選で負けることはできない」ということから、ミハエル・シューマッハ選手は予選本番で決勝レースでも使う燃料をわずか9ラップ分しか搭載せず、軽量化を徹底して予選トップの座を佐藤琢磨選手から奪還したというエピソードを紹介。F1界のレジェンドにそこまで決断させるほど、自分たちが苦心して造り上げたマシンは速く、そして最高なエンジン音だったと当時をふり返った。
また、モータースポーツで体感する音は重要な要素で、一方でサスティナビリティも絶対に欠かせないことから、今後はF1でも導入されている再生可能燃料の「e-Fuel」でカーボンニュートラルを実現していき、小排気量エンジンを高回転までまわすような方向に進化していってほしいと希望を口にした。
3回目の優勝で地鳴りのような歓声をトップチェッカーで味わいたい
佐藤琢磨選手はそんなF1の世界から転身して、現在はインディカーの世界で活躍していることから、F1とインディカーの違いについても解説した。
F1で2回のドライバーズチャンピオンを獲得し、ほかにも世界選手権を転戦して現在もF1ドライバーを続けているフェルナンド・アロンソ選手がインディ500に参戦した当時、レースに先だって行なわれたルーキーテストに参加したアロンソ選手が、レース本番ではないのでダウンフォースを最大限効かせたマシンを走らせた際、事前に「余裕でアクセル全開でいけるぞ」と説明されていたにも関わらず、走行中にアクセルを戻してしまい、走行後に「右足に意志があるとは思わなかった」と口にしたエピソードを紹介。
F1で輝かしい経歴を積み重ねてきたアロンソ選手であっても、390km/hのスピードを維持してコーナーに飛び込んでいくようなシチュエーションはF1にすらなく、頭では理解していても右足が本能的に動いてアクセルペダルを戻してしまったのだと説明している。
このほかにF1とインディの違いとして、観客との一体感にそれぞれで違いがあると分析。日本でF1が開催される鈴鹿サーキットは、故本田宗一郎氏が生み出したコース自体がハイレベルであることに加え、見に来てくれるファンが暖かく迎えてくれて、熱狂的に応援してくれることをドライバーやチームが喜んでいると語った。
一方のインディはF1を上まわる110年以上の歴史があり、アスファルトもまだ生み出される前で路面にレンガを敷いていた時代から500マイル(約800km)を走るレースを続けていることの凄さを語り、自身も出場している現代では35万人もの観客が会場に集まることを紹介。そんな会場との一体感も日本とは違い、インディアナポリスでチェッカーフラッグが振られた瞬間には、マシンのエンジン音をかき消す地鳴りのような歓声で会場が震えると表現した。
ただ、自身で初めてトップチェッカーを受けた2017年は初優勝に興奮して余韻に浸ることができず、2度目の優勝を手にした2020年はコロナ禍の影響で無観客開催となっており、あの地鳴りを自身の勝利でじっくりと味わうためにも3回目の優勝を目指すと宣言している。





