BMW Japan 30周年を祝う、新型「1シリーズ」発表会
「BMW i」は2013年以降に日本に導入

2011年9月22日開催
BMW Group Studio



 ビー・エム・ダブリューは、東京 丸の内の同社ショールーム「BMW Group Studio」で、新型「1シリーズ」の発表会を開催、同時に、同社が設立30周年を迎えることをアピールした。

独BMWのDr.ロペス。ちなみに1シリーズもボンネットのラッチは2個所になった

オールニューの1.6リッター ツイン・スクロール・ターボ
 1シリーズの詳細は関連記事を参照されたいが、同社のローランド・クルーガー社長がアピールしたのは、「パワートレーン」と「デザインライン」の2つに集約される。

 発表会には独ミュンヘンにあるBMWの本社から、パワートレーンの開発・評価を担当するDr.アルバレド・ベルナドル・ロペスが出席して直々に説明したように、もっとも大きなトピックとして扱われたのがパワートレーン。

 新型1シリーズには当初116iと120iの2モデルが用意されるが、どちらもパワートレーンは新開発の直列4気筒1.6リッター ツインパワーターボエンジンと、このセグメント初の8速ATの組み合わせ。

 116iは最高出力100kW(136PS)/4400rpm、最大トルク220Nm(22.4kgm)/1350rpm、120iは125kW(170PS)/4800rpm、250Nm(25.5kgm)/1500rpmと、主にECUのソフトウェアの変更によりチューンが異なっている。これにより、10・15モード燃費が116iで17.6km/L、120iで17.2km/Lと、“燃費志向”と“パフォーマンス志向”の性格づけがされているが、JC08モード燃費はどちらも16.6km/Lとなっている。

 なお8速ATはX3や6シリーズのものと同じ、ZF製を採用している。

「デザインライン」とは内外装の異なるモデルラインのことで、「スポーツライン」と「スタイルライン」が用意される。こちらはスポーツライン。ブラックアウトされたキドニーグリルと前後バンパートリム、5スポークのアルミホイール、フロントフェンダーの「Sport」バッヂなどを装備
こちらは「スタイルライン」。海外では「アーバンライン」だったが、日本ではスタイルラインを名乗る。スポーツラインもスタイルラインも、クルマの諸元自体は一緒で、異なるのは内外装のトリムのみ。ちなみにタイヤはオプションの225/45 R17で、ブリヂストンの新世代ランフラットタイヤ「ポテンザS001」が装着されていた

 

スポーツラインの内装。ブラックのトリムに赤いステッチ、メーターパネルの赤いアクセントラインなどでスポーティーな仕上がり
スタイルラインの内装。黒と白を基調にした、都会的な仕上がり

 

 Dr.ロペスは、新型1シリーズとその新開発エンジンも、BMWのフィロソフィーである「エフィシエントダイナミクス」、つまり「まずクルマのパフォーマンスを最大化し、同時に燃料の消費を最低限に抑え、すくなくとも重量を一定に保つ、なるべくなら軽量化していくこと」に則っていると強調。VANOS、VALVETRONICといった可変バルブ技術や第3世代直噴技術、ツイン・スクロールターボ、8速ATのほかに、ブレーキエネルギー回生システム、オートスタート/ストップ、オンデマンド動作する補機類などの技術を紹介。

 この結果、116iも120iも先代よりも燃費を改善しつつ、動力性能を向上させ、エフィシエントダイナミクスを現実のものとしている。

 直列4気筒1.6リッターツイン・スクロール・ターボと言えば、MINIのエンジンが思い起こされるが、Dr.ロペスによれば「MINIクーパーSのエンジンとクランクシャフト、コンロッドを共有しているだけ」とのことで、単純にMINIのエンジンを縦置きにアレンジしたのではなく、縦置き用に新開発したもので「基本的には(335i、535iなどの)直列6気筒3リッター ツイン・スクロール・ターボや(日本未導入の)直列4気筒2リッター ツイン・スクロール・ターボエンジンのスモールバージョン」と言う。

イグニッションボタンの上に設けられたスタート/ストップシステムのキャンセルボタン車両モードの切り替えスイッチ。新設された「エコプロ」モードは燃費志向のセッティングにエコカー減税対象となる
バッテリーはトランクルーム床下にある。例によってランフラットタイヤなのでスペアは搭載しない
すこし楕円形になった“イカリング”。“眉毛”もイルミネートされる
1シリーズに搭載されたエフィシエントダイナミクスの技術
1シリーズのハイライトボディーサイズは拡大
先代との性能比較実は4気筒ターボエンジンには長い経験を持つ

 

BMW 1シリーズ116i120i
全長×全幅×全高[mm]4335×1765×1440
ホイールベース[mm]2690
前/後トレッド[mm]1520/1555
重量[kg]14001420
エンジン直列4気筒DOHC16バルブ1.6リッター
ツイン・スクロール・ターボ
最高出力[kW(PS)/rpm]100(136)/4400-6450125(170)/4800-6450
最大トルク[Nm/rpm]220(22.4)/1350-4300240(25.5)/1500-4500
トランスミッション8速AT
10・15モード燃費[km/L]17.617.2
JC08モード燃費[km/L]16.616.6
駆動方式FR
前/後サスペンションダブル・ジョイント・スプリング・ストラット/5リンク
前/後ブレーキベンチレーテッドディスク/ディスク
前/後タイヤ205/55 R16
前/後ホイール7J×16
定員[名]5

 

BMW i、日本導入へ
 クルーガー社長が「今日は我々にとって特別な日」と切り出したのは、新型1シリーズを発表したからではなく、「30年前の今日、9月22日にビー・エム・ダブリュー株式会社が正式に会社として登録、設立された」、まさにビー・エム・ダブリュー株式会社の誕生日だったから。

 外国の輸入車メーカーとして初の「日本における全額出資子会社」であり、またBMWグループとしてはアジアでの初めての子会社となった同社は、設立当初は日本に33の店舗しか持っていなかったが、現在では354店舗を擁する。扱うモデル数は100を超え、BMWブランドで50万台、MINIブランドで10万台、BMWモトラッド(2輪車)で5万台を販売してきた。

 30年の歴史の中で、「パーツセンターの設立」「低金利ローン」「認定中古車制度の導入」「新車整備センターの設立」「24時間フリーダイヤル緊急サービス」「3年間アフターサービスプログラム」などを競業他社に先駆けて実施し、「廃車の無料リサイクル」「水棲補修塗料の導入」「水の80%をリサイクル」するといった環境に配慮したプロセスを採用したなど、日本の輸入車業界での「パイオニア」としての立ち位置を強調。

 また日本市場を重視している具体的な例として挙げたのが、市場に導入するクルマをテストし、日本向に適合させる「エンジニアリングセンター」の存在。工場のない国でエンジニアリングセンターを持っているのは日本だけとのことで、「これを見ても私たちの日本へのコミットメントがよく分かっていただけるのではないか」とした。

 「私どもが誇りに思っているのは65万のお客様。これだけの皆様が私たちのブランドとサービスに信頼を寄せていらっしゃる。私たちは継続的にお客様にサービスと商品を提供したいと思っている」と今後も日本市場を重視すると述べ、「非常にハイテクな先端的なテクノロジーを、日本に継続的なペースでもたらしたいと思っている。これまでもハイブリッド車や水素燃料車を持ち込んできた。先日発表したBMW iも、2013年以降に日本にも導入する。これもこの国へのコミットメントの1つ」とした。

設立当初は33店舗だったが現在は354店舗(MINIとモトラッドを含む)低金利ローン、認定中古車など、さまざまな施策を競合他社に先駆けて導入
扱うモデルは100以上にBMW iも日本に導入する30周年記念Webサイトを開設

(編集部:田中真一郎)
2011年 9月 22日