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テスラ「モデルS」を国内で初披露

「CHAdeMO」に対応

2013年1月10日開催

 テスラモーターズジャパンは1月10日、東京 青山の同社ショールームで「モデルS」の実車を報道関係者に公開した。

 モデルSは、「ロードスター」に続く同社製電気自動車(EV)。ロードスターは2シーターのオープンスポーツカーだったが、モデルSは5ドアのサルーンとなる。

一見普通の乗用車だが

青山のショールームに展示されたモデルS。85kWhのハイパフォーマンス仕様

 モデルSの外観は、内燃機関の乗用車とほぼ同様で、長いボンネットの後にファストバックスタイルのキャビンが続いている。

 しかし、そのボンネットの下にはエンジンはない。モーターはリアアクスル上に、バッテリーは床下に搭載されている。このため低重心でねじり剛性が高く、スペースユーティリティに優れるボディーを実現できた。

 エンジンのあるはずのスペースはラゲッジスペースになっており、同社はこれを「フランク」と呼ぶ。この空間はクラッシャブルゾーンとしても機能している。

床下にバッテリー、リアアクスルにモーターを搭載しているため、ボンネットの下はラゲッジスペースになっている
リアアクスルのモーター。1段のリダクションギアを介して後輪を駆動する

 ボディーはオールアルミのモノコックだが、キャビンの一部には補強のためのスチールが使用されている。

 サイズは4980×1960×1440mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2960mm、前/後トレッドは1660/1700mm。最低地上高は155mmだが、エアサス仕様車は約150~220mmの範囲で車高を変えることができる。車高は、高速走行時に下げるなどの自動制御のほか、手動でも変えることができる。

 バッテリーは容量や性能の異なる4つのコンフィギュレーションが用意され、ユーザーはこれらから航続距離と性能、価格を考慮して選択することになる。

容量推定航続距離
(NEDCドライブサイクル)
0-100km/h加速最高速度
40kWh250km6.9秒175km/h
60kWh375km6.2秒190km/h
85kWh500km5.9秒200km/h
85kWh
パフォーマンス
500km4.6秒212km/h

 リアアクスルには車載充電器が搭載されており、オプションのデュアルチャージャーを選ぶと充電時間を短縮できる。

 なお同社は、日本発の自動車用充電規格「CHAdeMO」に対応することを発表した。同社が開発したCHAdeMO用のアダプターを使用する。

ドアノブは格納式。リモコンでアンロックしてドアノブに触れるとせり出してくる
プロジェクタータイプのヘッドライト
サイドターンシグナルランプ
リア左側に充電ポートがある
モデルSのリモコンキー。リアハッチやボンネットに触れるとそこが開く。ドアロック/アンロックはルーフをタッチ
これがボンネット下のラゲッジスペース「フランク」
リアのラゲッジスペース。後席は6:4の分割可倒式。燃料タンクやスペアタイヤがないため、後部が深くえぐれているが、ここにはオプションで子供用の後ろ向きのシート(2人分)を設置できる
85kWhのパフォーマンス仕様にはエアサスが標準で装備される。右はエアサスで車高を上げたところ

17インチタッチスクリーンで操作

 キャビンに乗り込んでみると、ドライブシャフトやエキゾーストパイプを収めるセンタートンネルがないため、床が平らになっている。

 前席はセンターコンソールで仕切られており、この中に後席用のエアコンユニットが収められているのだが、シートとシートの間の仕切りは低く、車内を左右へ移動するのは容易だ。

 ダッシュボードのセンタースタックには17インチの縦長の大型タッチスクリーンがある。インフォテインメントをはじめ、空調、車体設定等はすべてこのタッチスクリーンで行うため、センタースタックにはスイッチの類がない。タップやスワイプなど、スマートフォンやタブレット端末と同じ操作をすることになる。大型のグラスサンルーフを備えるが、この開閉もタッチスクリーンで操作する。

センタースタックの17インチタッチスクリーン。右はスライディングルーフをスワイプで操作しているところ
タッチスクリーンのさまざまな表示。上下に2分割して表示することもできる。無線LANとWAN、Webブラウザーが搭載されていて、インターネットにアクセスすることもできる
地図の表示

 操作系は、ステアリングホイールと、コラムから生えるシフトレバー、ライト&ワイパーコントロールレバー、クルーズコントロールレバー、アクセルとブレーキのペダルのみ。

 ステアリングホイールの奥のメーターパネルも液晶パネルになっていて、エネルギー効率やナビゲーション、インフォテインメント、車両情報などを表示することができる。

ステアリングホイールまわり。各レバーはメルセデス・ベンツと同じロジックで操作するが、部材も同じもののようだ。ちなみにテスラモーターズはメルセデス・ベンツとトヨタにバッテリーやパワートレーンを供給していて、このパワートレーン事業が現在のテスラモーターズのビジネスを支えていると言う
ペダル
リアシートは3人がけ
大きなグラスルーフが見える
メーターパネルには17インチタッチスクリーンと同期した情報を表示できる
メーターパネルのさまざまな表示。ナビゲーションやインフォテインメントなどの情報を表示できる

日本での価格は未定

 エクステリアやインテリアのカスタマイズの範囲は広いが、これらはショールームのサンプルを見ながら、タッチスクリーンでバーチャルにモデルSをカスタマイズでき、そのまま発注することもできる。

 テスラモーターズはディーラーシップを採らず、ショールームはすべて直営店で、スタッフも皆、テスラモーターズの社員、という点もユニークだ。ショールームは「アップル・ストアの生みの親」と呼ばれるジョージ・ブランケンシップ氏が手がけている。

 このモデルS、米国ではすでに納車が始まっているが、日本には公開された車両が1台あるのみで、これからナンバー取得の作業が始まる。したがって日本での納車時期や価格は未定だ。ちなみに米国での価格は、5万9900ドルからとなっている。

【お詫びと訂正】記事初出時、最低地上高の数値を誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。
【お詫びと訂正】記事初出時、価格を誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。
【お詫びと訂正】記事初出時、ロードスターもCHAdeMOに対応すると記述しましたが、その後、ロードスターへの対応は未定と確認しました。お詫びして訂正させていただきます。

(編集部:田中真一郎)