2015デトロイトショー

テスラモーターズ、フロントにもモーターを搭載したデュアルモーターEV2モデルを展示

4WD化でモデルSの新たな使用用途を訴求。ハイパフォーマンス版の0-100km/h加速はわずか3.4秒

会期:2015年1月12日~25日(現地時間)

 テスラモーターズは北米国際自動車ショーで、2014年10月に公開したデュアルモータータイプの「モデルS」を展示した。

 デュアルモーター化されたモデルSは、標準の「モデルS 85D」とハイパフォーマンスの「モデルS P85D」の2グレードを用意。モデル名の最後に付く“D”はデュアルモーターを示している。この2タイプは、モーターの大きさや出力などが異なっているという。

 新型のデュアルモータータイプは、従来モデルのリアモーター駆動に加え、フロントの車軸に新型の高効率ユニットを搭載。通常の4WDモデルはプロペラシャフトなどを介して4輪を駆動させるが、こちらは前後のモーターを独立して緻密に制御するため機械損失がなく、パフォーマンスの向上はもちろん消費電力も抑えられる。そのため標準の85Dモデルは、同じバッテリー容量を持つリア駆動モデルに対して高速走行で8kmほど航続可能距離が伸びた。

従来のモデルSはリアにモーターを搭載した後輪駆動だったが、フロントにもモーターを搭載することで4WD化を行った。シャシーの変更はなく、フロントのスペースにモーターが収っている様子が伺える

 一方のハイパフォーマンス車であるP85Dは、リア駆動モデルに対してトルクは50%向上し、結果として0-100km/h加速はわずか3.4秒。どのような路面状況でも繊細にトルク制御を行い、全開で加速したいときには瞬時に100%のトルクを駆動輪に伝える。4WD化したことで、雪道などの低μ路でも前後輪がそれぞれしっかりと駆動することで、多目的に使用できるようになった。デュアルモーター化は、EVの使用用途を広げることになったともいえる。

 また、最新のモデルSには自動運転システムや衝突回避システムなどの安全装備も採用されている。車両の前後には計12個の超音波センサーが装備され、フロントウインドーに搭載されたフォワードビューカメラと合わせて安全運転の支援を行う。これらの安全機能は、ワイヤレスのソフトウェアアップデートにより管理され、最新のソフトウェアが完成すると更新されるようになっている。

 日本国内では2014年9月からユーザーへのデリバリーが始まったモデルS。販売を開始した当初はデリバリーまでの時間が掛かっていたが、米国工場での生産効率が上がったこともあり、現在は4カ月ほどで納車されるそうだ。すでに予約したユーザーの中には、デュアルモータータイプのモデルSに変更したいという要望もあるそうで、オーダー変更は柔軟に対応を行っているという。

ハイパフォーマンスタイプの「モデルS P85D」。車両には12個の超音波センサーが装備され、フロントウインドーにカメラを搭載。センサーとカメラにより安全運転支援を行う
後席の中央にアームレストが追加された。デュアルモーター化を行っても、シャシーに変更はないので広い室内空間は変わらない
アダプティブクルーズコントロール機能なども17インチのタッチスクリーンから操作するようになっている
こちらは標準タイプのモデルS 85D。展示車両もモデルSにはルーフキャリアが装備され、スノーボードを搭載。4WD化により雪道でも乗ることができ、使用用途が広がったことを示している

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。