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エヴァンゲリオンレーシングリポート SUPER GT第1戦岡山 & 鈴鹿2&4

今週末の第2戦富士では、レースクイーンが全員集合

 4月7日に岡山国際サーキット(岡山県)で2013 AUTOBACS SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝レース、4月14日には鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で鈴鹿2&4レースが開催された。レース結果などはすでに別記事で紹介しているが、本記事ではSUPER GTのGT300クラスと全日本ロードレースJSB1000に参戦しCar Watchの読者に人気の高い、エヴァンゲリオンレーシングの各セッションの詳細をお届けしたい。

エヴァRT初号機アップルMP4-12C

SUPER GT第1戦岡山

 既報(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130227_589524.html)のとおり、エヴァンゲリオンレーシングは、昨年引退した紫電に代わるマシンとしてマクラーレン MP4-12C GT3を採用し、2013年シーズンは「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」として戦うこととなった。

 富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、岡山国際サーキットなどでテストを重ねてきたが、残念ながらマシントラブルが続き、マシンセッティング、タイヤ選択などが不十分のまま開幕戦を迎えることとなった。

●4月6日(土)練習走行
 爆弾低気圧が全国で猛威をふるったこの日、岡山国際サーキットもときおり大粒の雨に見舞われる天候となった。練習走行の開始直後は曇り空、ドライコンディションとなったがすぐに雨が降り出しウェットコンディションでの走行となった。

激しい雨の中、練習走行で疾走するエヴァRT初号機アップルMP4-12C
クラッシュ後、救急車で搬送される小林選手

 激しい雨にコースアウトするマシンが続出。何度も赤旗でセッションが中断された。特に2コーナーからアトウッドへ向かう高速のモスSではクラッシュするマシンが続出。55号車 ARTA CR-Z GTの小林崇志選手は大事には至らなかったが救急車で搬送されるほどのクラッシュとなり、破損したマシンは午後の予選に出られなかった。

 エヴァンゲリオンレーシングは加藤選手、高橋選手も大きなトラブルもなく走行を続け、これまでのテストを通じて、始めてノントラブルでセッションを走りきることができた。

●4月6日(土)予選
 SUPER GTの予選方式は、今シーズンは全戦ノックアウト方式となった。そのノックアウト方式はQ1の上位13台がQ2に進出し、Q2でスターティンググリッドを決める。昨年まであったQ3はなくなっている。

 Q1は天候の影響で10分遅れで開始された。Q1を担当する加藤選手は、タイヤを早く温めるため開始と同時にピットを離れるが、それは各マシンも同じ。セッション開始早々にスピンしたマシンの回収のため赤旗中断となり、タイムアタックすることなくピットに戻ることとなった。

 Q1が再開されたが、なかなかタイヤが温まらずグリップが上がらない。計測4周目に1分49秒374を出し12番手。さらなるタイムアップを試みたが再び赤旗中断。残り3分で再開するもアタックを開始する前に三度赤旗が出て、結局セッションは終了となった。満足なアタックはできなかったが、12番手で辛くもQ1突破。グリッドを決めるQ2へ進出することとなった。

予選でタイムアタックをするエヴァRT初号機アップルMP4-12C
加藤選手
高橋選手

 その後も雨は続き、GT500クラスのQ1は途中赤旗中断があり、GT300クラスのQ2が始まったのは、当初のスケジュールから約1時間遅れとなった。Q2を担当するのは高橋選手。コースインし2周ほどタイヤを温めたころに高橋選手から「ワイパーが止まった」との無線。

 フロントウィンドウは撥水剤がコーティングがされているが、視界不良は必至。しかしピットに戻って、修理する時間は無い。高橋選手はそのままアタックを続け1分52秒台から51秒台へ。1分51秒412ののタイムはこの時点で11番手。最終的には12番手となった。

 GT300のQ2が終わったころから風雨は激しさを増し台風並みの暴風雨となりGT500クラスのQ2はキャンセル。混乱の予選は終了した。

●ピットウォーク・グリッドウォーク
 今シーズンもSUPER GTでは、土曜、日曜のお昼頃にピットウォーク。土曜のセッション終了後にキッズウォーク。スタート直前にグリッドウォークが開催される。マシン、ドライバー、レースクイーンを間近で見たり写真を撮ったりサインをもらったりできるイベントで人気は高い。エヴァンゲリオンレーシングのレースクイーンは、綾波レイ役の佐々木華奈さん、式波・アスカ・ラングレー役の和泉テルミさんが参加した。

ピットウォークの様子
SUPER GT開幕戦には綾波レイ役の佐々木華奈さん、式波・アスカ・ラングレー役の和泉テルミさんが参加

●4月7日(日)フリー走行
 決勝日の朝に行われたフリー走行は、空は快晴となったが、路面はまだウェット状態で開始された。高橋選手はレインタイヤで走行を開始し途中でインターミディ(浅溝のレインタイヤ)にタイヤ交換。1分38秒881がベストラップとなった。

 続いて行われたサーキットサファリはスリックタイヤに交換して高橋選手が引き続きコースイン。後半は加藤選手にドライバー交代し決勝を想定したマシンのバランスチェック。フルタンク状態で3周目に1分33秒台と2番手タイムをマーク。他のマシンもタイムを上げて行くが、加藤選手も1分30秒605までタイムアップし4番手タイムとなる。その後交代した高橋選手も1分32秒550までタイムアップ。両ドライバー共、決勝レースでのジャンプアップを予感させるタイムを出した。

フリー走行は晴天の元で行われた

●4月7日(日)決勝レース
 決勝が始まるころには路面は完全にドライ。上空は青空も見えるが、周辺の山々は厚い雲に覆われいつ雨が降り出すか分からない微妙な天候となった。決勝直前、8分間のウォームアップではスタートを担当する高橋選手が1分33秒442の6番手タイムを出し決勝での上位入賞が期待された。

 14時、2013年シーズンの開幕戦は予定どおりフォーメーションラップが開始された。ニューマシン「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」のスタート担当は高橋選手。フォーメーションラップでコースを外れるマシンがあり1周追加され2周のフォーメーションラップを終えたマシンがスタートを切った。

 オープニングラップは12番手のポジションをキープ。3周目にポジションを1つ落とすものの、混戦の中団グループ中、1分32秒台はわるくないペースだ。4周目には1分31秒674のベストタイムをマークし、5周、6周目と31秒台を連発し、順調な滑り出しに見えた。

オープニングラップはポジションキープ

 7周目のアトウッドカーブで86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3に、バックストレートエンドのヘアピン立ち上がりで88号車 マネパ ランボルギーニ GT3と2台にランボルギーニにパスされた直後、左パイパーコーナーでクリップに着こうとした瞬間、左後部に9号車 NAC攻殻機動隊ARISE DR ポルシェが追突した。

2台のランボルギーニが迫ってきた
アトウッドで86号車に抜かれポジションダウン
ヘアピンの進入で88号車にも並ばれ、立ち上がりで抜かれ、直後に9号車に追突される

 さらに180度スピンしたエヴァRT初号機アップルMP4-12Cの左前部に、追突した9号車 NAC攻殻機動隊ARISE DR ポルシェが乗り上げてしまった。損傷の確認のため一旦ピットに戻ることとなり、ピットへ戻る間の走行に支障はないようにも思われた。

 ピットに戻ったエヴァRT初号機アップルMP4-12Cは外観的には、左側面と、左前部の衝突跡と左カナードの脱落だけかと思われたが、左前フェンダーの内側にある、インタークーラー用のラジエターが破損、大量の冷却水が漏れだしていた。

 交換しレースに復帰するには時間が足りない。タイヤの磨耗、燃費などレースで得られるデータは重要なので、結果を無視してでも走行を続けたいところだが、手痛いリタイヤとなってしまった。しかし、トラブル続きだったテストから比べれば、SUPER GT開幕戦は大きなマシントラブルはなく走行を続けることができた。

 4月28日~29日に開催されるSUPER GT第2戦「FUJI GT 500km Race」は、地元とも言える富士スピードウェイ。エヴァRT初号機アップルMP4-12Cの直線スピードが生かせるサーキットなので、よい結果を期待したい。

 SUPER GT第2戦富士にはエヴァンゲリオンレーシング レースクイーン5人が全員参加を予定している。決勝レースも500km、3時間と長丁場で見どころ満載なので、ぜひサーキットに足を運んでいただきたい。

全日本ロードレースJSB1000

エヴァRT初号機シナジーフォースTRICKSTAR

 エヴァンゲリオンレーシングは2輪の国内最高峰であるMFJ 全日本ロードレース選手権シリーズJSB1000クラスにも参戦している。今シーズンは鈴鹿8時間耐久ロードレースと全日本ロードレースに01号車 エヴァRT初号機シナジーフォースTRICKSTARとしてスポット参戦をする。

今年もエヴァンゲリオンレーシングで走る出口選手
鈴鹿2&4は碇シンジ役の福滝りりさんが参加

 鈴鹿2&4が行われた4月14日に全日本ロードレースJSB1000クラスの決勝レースが行われた。01号車 エヴァRT初号機シナジーフォースTRICKSTARの出口選手は予選ではクリアラップが取れず13位と低迷したが、オープニングラップでは10位にポジションアップ。オープニングラップのモーターサイクルシケインからスプーンカーブへ向かう200Rで後方のマシン3台が絡む多重クラッシュが発生。セーフティカーが導入された。

オープニングラップを走る01号車
セーフティーカーが導入された

 コースに散乱したパーツの回収などで4周を要し、残り10周のスプリントレースとしてレースは再開された。再開後のラップで1つ順位を落としたが、次のラップで10位にポジションアップ、次の周ににも順位を上げ8位争いとなった。

レース再開後、徐々にポジションを上げるが…

 最終ラップまで続いた01号車 エヴァRT初号機シナジーフォースTRICKSTAR 出口選手と17号車 Honda鈴鹿レーシングチーム 安田選手、32号車 MotoMap SUPPLY 今野選手による8番手争いは、最終ラップの西ストレートで安田選手が今野選手の前に出て集団のトップに立った。最終のシケインへの進入で、出口選手が2台をかわすハードブレーキングを見せるが、切り返しのラインが厳しくなり左ターンでフロントのグリップを失い転倒。惜しくもリタイヤとなった。

(奥川浩彦)