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日産、2013年度第1四半期の決算報告、当期純利益を820億円と計上

記者会見で登壇した日産自動車 執行役員の田川丈二氏
2013年7月25日発表

 日産自動車は7月25日、2013年度の第1四半期決算を発表した。連結売上高は前年同期比17.6%増の2兆5121億円、営業利益は同2.4%減の1178億円、経常利益は同8.9%減の1016億円で、当期純利益を820億円としている。グローバル販売台数は117万台で、日本、北米市場で占有率を前年より高めたものの、尖閣諸島問題の影響を受けて不安定な状況が続く中国市場、継続的な景気低迷となっている欧州市場の販売状況が影響し、前年同期比で3.3%減となっている。

「今後は拡大するエントリーレベルの市場でプレゼンスを確保することが必要」と語る田川執行役員

 神奈川県横浜市にある同社のグローバル本社で行われた記者会見では、執行役員の田川丈二氏がプレゼンテーションを実施。この中で田川執行役員は、日産が中期経営計画「日産パワー88」に基づき、2016年度までの6年間で平均6週間で1車種というペースで新型車を投入する攻勢を展開しており、第2四半期以降には北米市場で「日産 ローグ」「インフィニティ Q50」の発売を予定していることを紹介。ローグは次期モデルから初めて北米での生産を行うとしている。グローバル全体における販売台数減は、尖閣諸島問題などの政治的な影響による中国市場の低迷が大きく、復調は10月~12月の第3四半期になるとの見通しを示した。

 また、今後の大きな取り組みの柱として、拡大するエントリーレベルの市場におけるプレゼンス確保が重要とし、こうした市場で知名度が高い「ダットサン」のブランド復活によって目標達成を目指すとコメント。7月には第1弾モデルとして、インドで「ダットサン GO」を発表。ダットサンブランドをインドに加えてロシア、インドネシア、南アフリカなどの市場に展開する。

 このほか、先日ルノー・日産アライアンス全体で販売台数が累計10万台を突破したEVに関して、質疑応答で記者から「2016年度までの目標としている150万台からほど遠い」と指摘されたことに対し、EVはまったく新しい商品だけに初期の伸びは厳しいが、政府などによる急速充電ステーションの拡充政策なども進んでおり、いつかの段階で急激に販売が伸びるとの考えを口にした。また、自身でもリーフを購入して日常的に利用しており、乗ってもらえばすぐにEVの魅力を理解してもらえるはずだとコメントしている。

日本市場での販売台数は4.4%減だが、全体の需要がそれ以上に下がっており、マーケットシェアは0.2%上昇。「デイズ」「ノート」などが好評で販売を牽引
従来のOEMから、三菱自動車工業との合弁会社「NMKV」から供給されることになったデイズは利益率も高まるとしている
新たに栃木工場でインフィニティ車を生産することになるなど、国内での生産は上向き基調で推移していると説明
グローバルでの販売実績。特にアメリカにおける販売増が大きな要素となっており、為替レートの押し上げ効果と合わせて最終的な利益増の要因となっている
環境に対する取り組みとしても積極的に展開するEVの生産・販売。アメリカ、イギリスといった海外の工場でも生産をスタートし、ルノー・日産アライアンス全体で累計10万台を突破
2013年度の新車投入計画。黒文字はすでに市場投入済みの車両、青文字は第2四半期以降にデビュー予定のモデルとなる
政治的な影響から販売が低迷した中国市場のデータ。「ティアナ」「リヴィナ」といったニューモデルの投入で復調を目指す
市場シェアの確保が大きな課題となるアジア・オセアニア、中南米、中東などの市場。日本でも販売される「マーチ」「ラティオ」といったVプラットフォーム車に加え、インドで復活を遂げたダットサンブランドが今後のキーになる
北米市場における販売の牽引役は「アルティマ」「パスファインダー」、欧州市場では「キャシュカイ」「ジューク」などの車種が紹介されている
2013年度第1四半期の財務実績
6カ年計画として進行中の「日産パワー88」。88の数字は、グローバル市場占有率8%、売上高営業利益率8%という2つの目標を表している

(編集部:佐久間 秀)