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F1マシン「RA272」も走った「2014 モータースポーツファン感謝デー」リポート

SUPER GTのGT500ニューマシンも3台並んで走行

2014年3月1日、2日開催

 2014年のモータースポーツシーズン開幕を告げる「2014 モータースポーツファン感謝デー」が、3月1日、2日に鈴鹿サーキットで開催された。例年のように数多くのマシン、ドライバー、ライダーが参加し、会場に集まったモータースポーツファンを魅了した。

 すでにCar Watchでは、グランドスタンド裏のGPスクエアで行われた小倉茂徳氏による「スーパーフォーミュラ解体ショー」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140301_637675.html)や「歴代ホンダF1マシンの展示」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140301_637678.html)は紹介済みなので、ここではレーシングコースで行われたイベントを中心にリポートする。

4輪では新時代のマシンが登場

 まずは4輪のイベントから紹介しよう。今年はF1の車両規定が大幅に変わり、間近に迫ったニューマシンのデビューレースを心待ちにしている方も多いだろう。国内レースでも「スーパーフォーミュラ」は新たに「SF14」が投入され、SUPER GTもGT500クラスにニューマシンが投入される。このスーパーフォーミュラ、SUPER GTという日本を代表するモータースポーツの“新時代マシン”が一足早くサーキットに登場した。

スーパーフォーミュラ

オリベイラ選手がニューモデルのSF14をドライブ

 今シーズンから国内最高峰のフォーミュラレースであるスーパーフォーミュラのマシンが一新される。シャシーはダラーラ製のSF14。搭載するエンジンは「NRE(Nippon Race Engine)」と呼ばれる直列4気筒2.0リッター 直噴ターボで、トヨタ自動車と本田技研工業から供給される。

 今回のイベントでは「スーパーフォーミュラ SF14の革新」「スーパーフォーミュラSF14 公開シェイクダウン」「スーパーフォーミュラ 公開テスト」「スーパーフォーミュラ オープニングラップ」などが行われ、新マシン SF14の走行を何回も見ることができた。

中嶋悟氏(左)、オリベイラ選手(中央)、星野一義氏(右)の3人によってトークショーが行われた

 スーパーフォーミュラ SF14の革新では、SF14にジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手、旧型のSF13に星野一義氏と中嶋悟氏が乗ってコースを周回。走行後にグランドスタンド前で行われたトークショーでオリベイラ選手は「(SF14は)ダウンフォースが大きくすごく速い。ターボラグがあるので慣れる必要がある」とコメントした。

 3月1日の夕方にはSF14のシェイクダウン走行が公開された。マシントラブルや降りだした雨の影響もあって3回の赤旗中断もあったが。参加したSF14各車は精力的に走行した。3月2日の午前には公開テストが行われ、ウェットコンディションのなかで周回を重ねた。さらに午後になってデモレースも開催。山本尚貴選手と中嶋一貴選手が本番さながらのバトルを見せた。

スーパーフォーミュラの開幕戦は4月12日、13日に鈴鹿サーキットで開催される

永遠のライバル対決 星野一義vs中嶋悟

 もはや恒例となった「永遠のライバル対決 星野一義vs中嶋悟」が今年も実現した。2日間かけて行われるこのイベントでは、これまでは往年のF1マシンを使用していたが、今回は2013年シーズンまでスーパーフォーミュラで使用していたSF13を投入。当然、マシンのセッティングもTEAM IMPULとNAKAJIMA Racingがそれぞれ対応し、まさにチーム戦の様相となった。

 3月1日のスタート前に行われたトークショーでは、中嶋悟氏がチャンピオンベルトを巻いて誇らしげに登場。オーバーテイクシステムを使用する権利はジャンケンで星野一義氏が獲得。5回目となる対決に臨んだ。

誇らしげにチャンピオンベルトを巻いて登場した中嶋悟氏
ベルトには「永遠のライバル対決 星野一義vs中嶋悟」の文字
ジャンケンで星野氏が勝った

 スタートは中嶋氏が制したが、2周目のストレートでオーバーテイクシステムを使って星野氏が先行、そのまま3周目も逃げ切り先勝した。

中嶋氏が先行して星野氏が追走
星野氏がオーバーテイクシステムを使い逆転する

 2日目はジャンケンで中嶋氏がオーバーテイクシステムの使用権を獲得。前日のレースをそのまま逆にした展開で、先行する星野氏を2周目のストレートで中嶋氏が追い抜き逆転。そのままチェッカーを受けて1勝1敗となった。

SF13を駆る中嶋氏
星野氏もSF13で疾走した
中嶋氏が星野氏を抜いて2日目の日曜日を勝利した

 レース後には来年以降も対決することを宣言した2人。日本のモータースポーツ界を代表する2人の対決が今後も続くことを期待したい。

ホンダ F1参戦50周年~伝説の始まり~

 ホンダは1964年7月のドイツグランプリで「RA271」を走らせてF1参戦を果たし、2014年で初参戦から50周年を迎える。1965年のメキシコグランプリでは「RA272」が初優勝を飾った。その記念すべきマシンであるRA272を、2013年のにスーパーフォーミュラのチャンピオンを獲得した山本尚貴選手がドライブすることとなった。

 トークショーに登場した山本選手は、依頼を受けたときに「僕でいいんですか」と答えたことや、前日に行われた練習走行で「初めてと言っていいほど、レーシングカーに乗って感動しました」と初めて運転したF1マシンの感想を語った。

1965年のメキシコグランプリでホンダにF1初優勝をもたらしたRA272
トークショーに参加した山本尚貴選手と川井一仁氏

 RA272は山本選手のドライブで東コースを2周走行。ドライブを終えた山本選手は感極まったのか、目に涙を浮かべて感想を語っていたのが印象的だった。

山本選手のドライブでコースを疾走するRA272

 F1グランプリは3月14日~16日にオーストラリアグランプリで開幕戦を行い、10月3日~5日に鈴鹿サーキットで日本ブランプリが開催される。日本グランプリのチケット(http://www.suzukacircuit.jp/f1/)は3月9日10時から順次発売となる。

SUPER GT 新時代

左から小暮卓史選手、松田次生選手、立川祐路選手

 SUPER GTもGT500クラスにニューマシンが投入される。レクサスでは「ZENT CERUMO RC F」を立川祐路選手、ホンダでは「RAYBRIG NSX CONCEPT-GT」を小暮卓史選手、日産では「GT-R(開発車両)」を松田次生選手がドライブした。

3台並んでコースを走行した
SUPER GTの開幕戦は4月5日、6日に岡山国際サーキットで行われ、鈴鹿サーキットでは8月30日、31日にシリーズ最長のSUZUKA 1000kmレースを開催

NSX-GT 進化の先に

 ホンダは2010年から「HSV-010」でSUPER GTのGT500クラスに参戦していたが、2014年から「NSX CONCEPT-GT」を投入する。ホンダのレース史に燦然と輝くNSXの復活だ。そのNSXの歴史を新旧マシンの走行によって紹介した。

 デモランでは、1995年のル・マン24時間レースでチーム国光がGT2クラス制覇を達成した「NSX GT2」を高橋国光氏、2000年の全日本GT選手権でチャンピオンを獲得した「カストロール 無限 NSX」を道上龍選手、ニューマシンであるRAYBRIG NSX CONCEPT-GTを小暮卓史選手がドライブして東コースを3周した。

新旧3台のNSXがコースを走行した
グランドスタンド前に並んだNSX

D1エキシビション/D1 Experience

 大迫力のドリフトパフォーマンスを見せたのは、D1グランプリに参戦する織戸学選手、日比野哲也選手、手塚強選手の3人。まずはホームストレートでD1マシン3台によるパフォーマンスで集まった観衆を魅了。ファンを同乗させて走るD1 Experienceでは東コースを周回。1~2コーナーではコース外のランオフエリアまで飛び出す激しい走りを披露した。

D1グランプリの開幕戦は3月29日、30日に富士スピードウェイで行われ、鈴鹿サーキットでは5月24日、25日にシリーズ第2戦を開催

スーパー耐久シリーズ

 スーパー耐久シリーズはさまざまなクラスのスーパー耐久マシン20台が集合。公開テストとデモンストレーションレースを実施した。デモンストレーションレースではST-Xクラスのマシンが本番さながらのバトルを展開した。

スーパー耐久シリーズの開幕戦は3月29日、30日にツインリンクもてぎで行われ、鈴鹿サーキットでは10月25日、26日にシリーズ第5戦を開催

2輪はMotoGP、鈴鹿8耐、全日本ロードレースのマシンが登場

 今年の鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)は、既報(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140301_637677.html)のようにヨシムラが創業60周年を記念してレジェンドチームで参戦。さらにカワサキが「チームグリーン」で13年ぶりにワークス体制の参戦を表明するなど話題が豊富だ。

 3月1日の午前中は50台を超える鈴鹿8耐・全日本ロードレース参戦マシンが公開テストで走行。夕方にはトワイライトデモレースが行われ、翌2日にもデモレースが開催された。

 世界で戦うMotoGPマシンも登場。ホンダの「RC213V」を青山博一選手、ヤマハの「YZR-M1」を中須賀克行選手、スズキの「MotoGP 開発車両」を青木宣篤選手が駆り東コースを3周した。

MotoGPマシン3台が走行を披露
ヤマハのYZR-M1
ホンダのRC213V
スズキのMotoGP 開発車両

 鈴鹿8耐は7月24日~27日に鈴鹿サーキットで開催。全日本ロードレースの開幕戦は4月12日、13日に同じく鈴鹿サーキットで行われる。開幕戦の鈴鹿サーキット、8月23日、24日のツインリンクもてぎ、9月13日、14日のオートポリスは、それぞれ「2&4レース」としてスーパーフォーミュラと同時開催される。

グリッド&ピットウォーク

 レーシングコースのメインストレートとピットロードを開放してグリッド&ピットウォークも開催された。グリッドにはスーパーフォーミュラ、SUPER GT、スーパー耐久などのマシンが並べられ、ピットには2輪や50年前のF1マシン「RA272」などが展示され多くのファンで賑わった。

グリッドにスーパーフォーミュラのマシンが展示され、多くのファンが間近にニューマシンを見学できた
アンドレ・ロッテラー選手はグリッド上でファンにサインを行っていた
スーパー耐久シリーズのマシンもグリッドに並ぶ
RA272はピット内で赤絨毯の上に鎮座していた
懐かしのNSXも多くのファンが撮影していた
2輪マシンはピットエリアに展示された
レースクイーンも登場

3月21日に中勢バイパス開通記念イベントを開催

 鈴鹿サーキットに通っている人は知っているかと思うが、サーキットから白子駅方面に向かって少し進んだところで、長らく道路工事が続けられてきた。その工事がまもなく終了し、中勢バイパスの鈴鹿(稲生)工区が開通することとなった。

 今回開通する区間は、サーキット道路から亀山鈴鹿線までの1.8km。亀山鈴鹿線はF1開催時に近鉄白子駅からバスが通る路線だ。2013年のF1日本グランプリ開催時には、シャトルバスだけが亀山鈴鹿線から工事中の中勢バイパスを通る“超抜け道”を使ってサーキットと駅を結んでいた。

 3月22日に開通する中勢バイパスは、最終的には国道23号線の北玉垣町までつながる予定。完成すると鈴鹿サーキットから23号線へのアクセスが劇的に変化すると予想される。

 3月21日には、今回開通する鈴鹿(稲生)工区で「中勢バイパス開通記念イベント(http://www.city.suzuka.lg.jp/mass/datas/322_001.pdf)[PDF]」が実施される。当日は塚越広大選手がドライブするスーパーフォーミュラマシン(SF14)、全日本ロードレース参戦マシンの走行が披露され、トークショーには中嶋悟氏も参加。さらに自衛隊車両の展示、エネワンカーとソーラーカーの走行&展示、鈴鹿太鼓の演奏など盛り沢山の内容となっている。

(奥川浩彦)