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2014 SUPER GT 第4戦「SUGO GT 300km RACE」GT300クラス決勝リポート

88号車 マネパ ランボルギーニ GT3が粘り強い走りで優勝

2014年7月20日決勝開催

 7月20日、スポーツランドSUGO(宮城県柴田郡村田町)で2014 AUTOBACS SUPER GT 第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが開催された。GT300クラスは予選9位から我慢強く走り抜いた88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)が今期初優勝を飾った。

優勝した88号車 マネパ ランボルギーニ GT3

 土曜日の予選が霧で中止となり、日曜日の朝に行われた予選では10号車 GAINER Rn-SPORTS SLS(山内英輝)がポールポジションを獲得、3位に11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)が入ってダンロップタイヤが上位ポジションを獲得した。2台の間、2番手ポジションには61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)が入った。

スバルのタイヤ交換は成功したかに見えたが

 決勝が始まる直前まではコースコンディションはほぼドライだったが、各車がスリックタイヤでフォーメーションラップに入ると霧雨が降り出して路面も徐々に濡れ始めた。フォーメーションラップが3周に延長され、2周を周回し終えたところで61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)、7号車 Studie BMW Z4(荒聖治)、31号車 OGT Panasonic PRIUS(嵯峨宏紀)の3台がピットインし、ウェットタイヤに交換した。

 いち早くピットインした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはすぐにピットアウトして隊列の最後尾を追ったが、31号車 OGT Panasonic PRIUS、7号車 Studie BMW Z4はピット出口がクローズとなって足止めされた。3周のフォーメーションラップが終わると、2号車 シンティアム・アップル・MP4-12C(加藤寛規)、3号車 B-MAX NDDP GT-R(ルーカス・オルドネス)、4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(片岡龍也)など5台がさらにタイヤ交換のためピットに向かった。

61号車はフォーメーションラップ2周を終えてタイヤ交換。3周目にピットアウトし、隊列を追う

 スタート直後の1コーナーは、ポールポジションの10号車 GAINER Rn-SPORTS SLS(山内英輝)がトップをキープ。後続もタイヤ交換で抜けたチーム以外はほぼポジションキープとなった。スリックタイヤでステイした15台の背後に、いち早くウェットタイヤに交換した61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが迫ってきた。

10号車を先頭にレースはスタート。11号車、0号車、86号車、50号車、21号車、88号車と続いた
9位以下は360号車、55号車、22号車、65号車、30号車、9号車と続き、16位はスバル61号車
61号車は2コーナーからオーバーテイクを開始した

 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはオープニングラップで9台を抜いて7位。2周目に4位、3周目に3位とオーバーテイクショーを見せ、タイヤ交換は大成功にも見えたが、雨足が弱まると一気にペースダウン。4周目には4位、6周目には6位、8周目には8位と後退、9周目には再びピットインしてスリックタイヤに交換した。コースに戻ると15位にポジションダウン。予選2位のポジションをタイヤ交換のギャンブルで失ってしまった。

61号車は2周目の2コーナーを6位で通過
3位の50号車に迫る61号車
61号車は50号車を抜き3位に浮上
61号車は2位の10号車に迫ったが、快進撃もここまで。雨足が弱まるとズルズル後退した

 さらに追い打ちを掛けるようにペナルティが科された。フォーメーションラップ2周目でタイヤ交換を行った61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、7号車 Studie BMW Z4、31号車 OGT Panasonic PRIUSの3台は「決勝レーススタートタイヤをスタート前に2本以上交換」という禁止事項により10秒ストップのペナルティが科された。本来であればピットスタートを選択したときと同様に、シグナルグリーンになった瞬間にタイヤ交換作業に入らなければならなかったということだ。

トップ争いのアクシデントは明暗を分けた

 トップ争いでは、2周目に11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)が10号車 GAINER Rn-SPORTS SLSを抜いてトップを奪取。そのまま2台は競り合いながら3位の50号車 WAKO'S Exe Aston Martin(安岡秀徒)を10秒以上引き離し、マッチレース状態となった。

2周目の2コーナーは10号車、11号車の順。序盤から後続を引き離した
2周目に11号車が10号車を抜きトップへ
2周目の2コーナーを抜ける3位の50号車。88号車、0号車が続く

 路面が乾き始めると一転、50号車 WAKO'S Exe Aston Martinがその差を縮め、16周目には2位に浮上。そのままの勢いでトップの11号車 GAINER DIXCEL SLSに迫った。20周目の1コーナーで50号車 WAKO'S Exe Aston Martinが11号車 GAINER DIXCEL SLSのインに飛び込むが、ややオーバースピードでラインが膨らんだ。11号車 GAINER DIXCEL SLSがステアリングを切り込むと50号車 WAKO'S Exe Aston Martinの左リヤに11号車 GAINER DIXCEL SLSの右フロントタイヤが接触。軽い接触に見えたが、11号車 GAINER DIXCEL SLSは足まわりを傷めてスロー走行。そのままピットに戻りリタイヤとなった。

1コーナーで50号車と接触し、右フロントの足まわりを傷めた11号車は3コーナーでコースを外す。ピットまで戻るがリタイヤに終わった

 シリーズポイントトップの4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)がタイヤ交換で後方に沈んでいたので、11号車 GAINER DIXCEL SLSは無理せず走りきればポイントランキングでトップに立てただけに、惜しまれるアクシデントとなった。

 トップに立った50号車 WAKO'S Exe Aston Martinは、43周目のルーティーンのピットインまでポジションをキープした。後続との差も25周目には15秒、30周目には22秒、35周目には29秒と突き放していく。

トップに立った50号車は2位以下を大きく引き離し、ピットインまで独走した

 一方で2位争いは混戦となった。20周時点の順位は2位が10号車 GAINER Rn-SPORTS SLS、3位が30号車 IWASAKI apr GT-R(影山正美)、4位が88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(青木孝行)、5位が9号車 国立音ノ木坂学院NACポルシェwith DR(アンドレ・クート)、6位が21号車 Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン)、7位が22号車 グリーンテック SLS AMG GT3(和田久)と、スリックタイヤでステイしたチームが上位に並んだ。28周目には2位から7位までが2.8秒差に入る僅差の争いとなり、ワンミスで順位が大きく入れ替わる接戦となった。

マネパ ランボルギーニがタイヤ無交換作戦で上位へ

 30周を過ぎたころからルーティーンのピットストップが始まった。88号車 マネパ ランボルギーニ GT3は38周目に、チョイ濡れ路面でスリックタイヤの摩耗が少ないことを考慮してタイヤ無交換作戦を敢行。通常60秒ほどのピットインのタイムロスを50秒ほどに短縮して、接戦のなかからポジションアップを狙った。

 トップを快走する50号車 WAKO'S Exe Aston Martinは、43周目に後続に1分半近いタイム差を付けてピットイン。普通に作業を行えば30秒ほどのマージンを残してコースに復帰できるはずだった。ところが、ホイールに不具合があってジャッキを上げ直して作業するなど30秒ほどロスがあり、コースに復帰すると3コーナーで88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学)に抜かれてトップの座を明け渡してしまった。

レース終盤をトップで走りきった88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)

 全車ピットを済ませた54周目の順位は、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3がトップ。25秒差の2位が30号車 IWASAKI apr GT-R(岩崎祐貴)。トップから29秒差の3位が65号車 LEON SLS(黒澤治樹)。31秒差の4位が50号車 WAKO'S Exe Aston Martin(加納政樹)。33秒差の5位が21号車 Audi R8 LMS ultra(藤井誠暢)となった。

 3位の65号車 LEON SLSは前半は8位のポジションにいたが、33周目に早めのピットイン。ドライバー交代をすると徐々にポジションをアップし、50周目に6位、53周目に4位、54周目に3位まで浮上した。

 55周目あたりからスタート時と同様にやや強めの霧雨が降り始めた。路面が濡れ始めると30号車 IWASAKI apr GT-Rがペースダウンして56周目に2位から5位まで後退した。50号車 WAKO'S Exe Aston Martinもややペースダウン。21号車 Audi R8 LMS ultraに抜かれてしまう。

 レース終盤の雨にウェットタイヤに交換するチームもあったが、このギャンブルも不発に終わり、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3が2位以下を大きく引き離したままチェッカーを受けた。2位は65号車 LEON SLS。3位は21号車 Audi R8 LMS ultra。それぞれ予選9位、18位、7位からスタートし、チョイ濡れ路面をスリックタイヤで我慢強く走り抜いたチームが表彰台を獲得している。

2位は65号車 LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼)
3位は21号車 Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン/藤井誠暢)

GT300クラスの結果
1位 88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)
2位 65号車 LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼)
3位 21号車 Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン/藤井誠暢)
4位 50号車 WAKO'S Exe Aston Martin(加納政樹/安岡秀徒)
5位 67号車 STP タイサン GAIA POWER GT-R(横溝直輝/密山祥吾)
6位 86号車 クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3(細川慎弥/山西康司)
7位 30号車 IWASAKI apr GT-R(岩崎祐貴/影山正美)
8位 7号車 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒聖治)
9位 3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ルーカス・オルドネス)
10位 60号車 TWS LM corsa BMW Z4(飯田章/吉本大樹)

 前半戦を終えてドライバーズポイントは以下のとおり。4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)、11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)がノーポイントで終わり、チャンピオン争いはシーズン後半に向けてさらに激しくなりそうだ。

GT300クラス 年間ランキング
1位 4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也) 40
2位 11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム) 37
3位 7号車 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒聖治) 26
4位 55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志) 25
5位 65号車 LEON SLS(黒澤治樹) 25
6位 3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ルーカス・オルドネス) 24
7位 88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行) 20
8位 65号車 LEON SLS(黒澤翼) 19
9位 0号車 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀) 19
10位 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太/井口卓人) 15

 SUPER GT 第5戦は8月9日~10日に富士スピードウェイ、第6戦は8月30日~31日に鈴鹿サーキットで開催される。

(奥川浩彦)