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ホンダ、燃費を最高31.6km/Lに、静粛性も向上させた「アコード」を“超越進化”

「ホンダ センシング」全車標準装備。「信号情報活用運転支援システム」世界初採用

2016年5月26日 発売

385万円~410万円

 本田技研工業は5月26日、アッパーミドルセダン「アコード」をマイナーチェンジして発売した。価格は385万円~410万円。

グレードエンジン変速機駆動方式価格
ハイブリッド LX直列4気筒DOHC 2.0リッター+i-MMDCVT2WD(FF)3,850,000円
ハイブリッド EX4,100,000円
マイナーチェンジした新しい「アコード」

 9代目となる現行型モデルのアコードは、2つのモーターをエンジンと組み合わせて使う「スポーツハイブリッド i-MMD」を採用するハイブリッドセダンとして2013年6月にデビュー。アコードシリーズは初代モデルが1976年5月にされてから40年が経過したロングヒットモデルとなっている。

 今回のマイチェンでは、2月に発売された「オデッセイ ハイブリッド」に搭載した進化型のスポーツハイブリッド i-MMDを採用したほか、内外装のデザインを変更し、安全運転支援システム「ホンダ センシング」の標準装備化や世界初となる「信号情報活用運転支援システム」の採用によって安全性を向上させた。これに加え、現行型モデルの購入者から寄せられた「トランクをもっと広くしてほしい」「走行中にパワートレーンの音が気になる」といった不満点の改善にも取り組んでいる。

 外観デザインではインラインタイプのフルLEDヘッドライトと導光タイプのLEDポジションランプをセットにした新型ヘッドライトを採用し、グリルデザインの変更によって3代目「フィット」から展開している「ソリッドウイングフェイス」を表現。バンパーにビルトインされた横長のLEDフォグランプなども使って水平基調のワイド感あるフロントマスクを演出している。このほか、サイドシルガーニッシュを装着し、リアウィンドウとリアガラスを高熱線吸収・UVカット機能付きソフトプライバシーガラスを採用。上位グレードのハイブリッド EXではトランクスポイラーを追加してホイールを1インチアップの18インチとした。

 ボディカラーには「ディープオーロラ・メタリック」「プレミアムディープロッソ・パール」の新色2色が設定され、全5種類のラインアップとなっている。

フロントグリル上部に設定されていたブルーのクリア樹脂は廃止され、メタル調の加飾がヘッドライト側まで連続するスタイルに変更。従来はハイブリッドモデルになって環境イメージを訴求していたが、現在ではゼロエミッションビークルの「クラリティ フューエル セル」も登場したことから役目をバトンタッチ。アッパーミドルセダンとしての力強さを表現するデザインに変更された
リアウィンドウとリアガラスに高熱線吸収・UVカット機能付きソフトプライバシーガラスを使って後席の居住性をアップ
インラインタイプのフルLEDヘッドライトを中心に、導光タイプのLEDを使って上側をウインカー、下側をポジションランプとして組み合わせる
ハイブリッド EXのインテリアイメージ

 インテリアでは木目加飾の色柄を変え、センターコンソール、パワーウィンドウスイッチパネル、リアアームレストリッドなどにグロスブラックパネル、ステアリングガーニッシュ、エアコンパネルにミラーブラックパネルを設置。ハイブリッド EXでは専用スポーツコンビシートを採用している。

 また、全車に標準装備されるホンダ インターナビは新たにAppleの「CarPlay」に対応。iPhoneなどに保存した音楽の再生やハンズフリー通話などができるほか、iPhoneの音声アシスタントサービス「Siri(シリ)」を使って音声入力によるメッセージの作成や送信なども利用できる。

インパネに設定される木目加飾の色柄を変更。ハイブリッド EX(写真)では専用スポーツコンビシートを採用した
ハイブリッド LXのシート表皮はバイオPET
ハイブリッド EXのシート表皮はソフトウィーブとプライムスムースのコンビネーションタイプ
ハイブリッド EXには本革シートもオプション設定
本革シートはチルトアップ機構付フロント電動スモークドガラスサンルーフとセットオプション
リバース連動式の電動リアサンシェイドはハイブリッド EXの専用装備
ハイブリッド EX専用のエンジンスタートボタン付きスマートキーシステムは国内初導入
シフトセレクターからレジェンドなどにも採用しているエレクトリックギアセレクターに変更。助手席側にドリンクホルダーを新設した
エンジン始動を抑制し、モーターのみで走行するための「EVスイッチ」。エレクトリックギアセレクターの採用に伴い運転席側前方に移動した
パーキングブレーキは足踏み式から電動タイプに変更
「オートブレーキホールド機能」はアクセルペダルを踏むと自動解除される
インパネ中央上部に設置されるセンターディスプレイには、オーディオやカーナビのターンバイターン表示、リアカメラ映像など運転中に視認する頻度の高い情報を中心に表示する
メーターパネル中央のマルチインフォメーションディスプレイはエネルギーフロー(写真)やECOスコア、ACC/LKASなどの情報を表示できる
ホンダ インターナビがApple「CarPlay」に対応。「Siri」を使った音声入力も利用できるようになった

 直列4気筒DOHC 2.0リッターの「LFA」エンジンとスポーツハイブリッド i-MMDを組み合わせるパワートレーンの基本構成に変更はないが、モーターは従来の「MF8」から2月発売のオデッセイ ハイブリッドでも採用されている「H4」に変更。モーターに使う銅線を丸形から角形に変えることで巻線占積率を47%から60%に高め、23%というモーターの小型・軽量化を果たしたほか、最高出力を11kW、最大トルクを8Nm向上。効率を高めた高集積パワーコントロールユニットの採用、IPU(インテリジェントパワーユニット)の小型・軽量化と出力密度・エネルギー密度の強化を実施している。

 また、LFAエンジンも2PS/10Nmアップの最高出力107kW(145PS)/6200rpm、最大トルク175Nm(17.8kgm)/4000rpmとしたほか、低温時に排出ガスの熱で冷却水を温めるホンダ初の「廃熱回収ヒーティングシステム」を追加。さらに全体としてハイブリッド LXで40kg、ハイブリッド EXで30kgの軽量化を実現。これらにより、ハイブリッド LXでは従来30.0km/LだったJC08モード燃費を31.6km/Lに向上させている。

 このパワートレーンの改良に関連して、車両後方のリアシートとトランクスペースのあいだにレイアウトするIPUと走行用リチウムイオンバッテリーを小型・軽量化したことにより、トランクへの張り出しを減らして容量アップを実現。VDA容量は26Lアップの424Lとなり、9型ゴルフバッグがこれまでの3個から1つ増えた4個入るようになっている。

 このほかにパワートレーン関連では、アクセル操作に対する出力の発生を大きくする「SPORTモード」を追加し、さらにホンダ車として初となる「減速セレクター」をステアリング裏に設置。パドルシフトと同様の形状となる減速セレクターは、セレクターを操作することでアクセルオフ時の減速度合いを4段階に変更可能。左手側の操作で減速Gを高め、右手側の操作で戻す形式となる。

新しいH4モーターでは複合被膜の角形銅線を採用した高密度構造により、出力を高めながら小型・軽量化を両立
走行用リチウムイオンバッテリーの小型・軽量化と形状の工夫により、ユーザーから不満点として挙げられていたトランク容量の改善を実現。9型ゴルフバッグが4個入るようになった
エレクトリックギアセレクターの「D」ボタン後方に新しい「SPORTモード」のボタンを新設
ホンダ車初の「減速セレクター」では、左手側のセレクターを操作するとアクセルオフの減速Gが4段階に強くなっていく。減速セレクターの作動状況はメーターパネル内に表示される

 車内の静粛性については、車両前方側にフロアブレースバーを装着し、エンジンマウントの前後にダイナミックダンパーを設定してエンジンルームでの騒音発生を元から低下させたほか、ボンネットのフードインシュレーター裏打ちに吸音材を追加。フロア下のアンダーカバーやタイヤハウス内のインナーフェンダーを吸音タイプとしたほか、フロントウィンドウを遮音ガラスにしてフロントドアウィンドウを合わせガラスに変更。ピラー内に発泡ウレタンを充填してキャビンに対する騒音侵入を防いでおり、さらにこもり音低減機能の効果を持つ「アクティブサウンドコントロール」を採用している。

 また、走行面ではEPS(電動パワーステアリング)の制御を改めて高速走行時の安定性とワインディングロードでの手応えあるステアリングフィーリングを実現。改良型振幅感応型ダンパーによって旋回姿勢での前後バランスを最適化し、減衰応答性の向上などによって乗り心地とハンドリング性能を高次元でバランスさせている。

フロアブレースバーの追加やエンジンマウントにダイナミックダンパーを装備することでエンジンノイズを発生源から抑制。さらに吸音材や遮音材の追加でキャビンの静粛性を高めている
改良型振幅感応型ダンパーの採用やEPS、電動サーボブレーキの改良で走行性能のレベルアップを図り、アッパーミドルセダンらしい上質感とアコードならではの軽快な走りを追い求めた
LKAS(車線維持支援システム)の作動イメージ

 先進安全装備としては、すでにティザーサイトでも予告されているとおり、全車に安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を標準装備。レジェンド、オデッセイ ハイブリッド、ヴェゼルに続いて「歩行者事故低減ステアリング」を採用したほか、「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」「渋滞追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」「LKAS(車線維持支援システム)」「路外逸脱抑制機能」「誤発進抑制機能」「先行車発進お知らせ機能」「標識認識機能」などを採用する。また、助手席側ドアミラーのカメラで得た映像をナビ画面に表示する「レーンウォッチ」も全車標準装備となった。

 このほかに先進安全装備では、世界初の機能として「信号情報活用運転支援システム」に全車で対応。道路に設置された高度化光ビーコンから得られる複数の信号予定情報とGPSによる自車位置と走行速度といった情報を組み合わせ、前方の信号が青信号のまま通過できるときに推奨速度の範囲を表示する「信号通過支援」、赤信号で停車する必要あるときにアクセルオフをうながす「赤信号減速支援」、信号待ちのときに信号が変わるまでの残り時間と発進予告を行なう「発進遅れ防止支援」という3つの機能を実現する。ホンダでは2015年末の時点で対象となる交差点が全国に5702カ所あるとしており、2019年までに全都道府県に整備が進むとしている。

走行中の車線を外れて歩行者との衝突を予測したときにステアリング制御などで回避操作を支援する「歩行者事故低減ステアリング」
「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」は歩行者や対向車にも対応
「渋滞追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」
「LKAS(車線維持支援システム)」
「路外逸脱抑制機能」
「誤発進抑制機能」
「先行車発進お知らせ機能」
「標識認識機能」
助手席側のドアミラー下に設置したカメラで捉えた映像をセンターディスプレイに表示する「レーンウォッチ」
世界初となる「信号情報活用運転支援システム」では、「信号通過支援」(左、)「赤信号減速支援」(中央)、「発進遅れ防止支援」(右)という3つの機能でドライバーをアシスト
信号情報活用運転支援システムの情報はメーターパネル中央のマルチインフォメーションディスプレイにも表示できる

(編集部:佐久間 秀)