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写真で見る マツダ「アテンザ」(2018年大幅商品改良)

“今まででもっとも大きな改良”の細部を写真で紹介

新型アテンザセダン(右)とアテンザワゴン(左)

 2002年に登場したマツダ「アテンザ」。発売当初はセダン、ハッチバック、ステーションワゴンと3タイプの車型をラインアップするミドルクラスモデルだったが、2012年に登場した3代目からはその立ち位置をガラッと変更。「SKYACTIV」技術と「魂動(こどう)」デザインを採り入れるとともに、同社のフラグシップモデルへと生まれ変わった。

 その後、マツダが推進している「一括企画」(ボディサイズの垣根を越えてあらゆる領域の開発を一括して行なう)に沿って、随時新しい機能や装備を追加する商品改良モデルがリリースされている。具体的には、2013年秋の先進安全技術「i-ACTIVSENSE」の標準装備化にはじまり、2014年秋(発売は2015年1月)の商品改良では走行性能や4WDモデルの追加のほか、内外装デザインを一部変更する比較的大きな変更が、そして2016年秋の改良では「G-ベクタリング コントロール(GVC)」が採用されている。

 この5月、3代目アテンザとしては4回目となる商品改良が行なわれた。開発主査いわく「今まででもっとも大きな改良」となり、「クルマを愛するお客様の毎日を、もっと活力と充実感に満ちたものにする」をテーマにデザイン、質感、走行性能と幅広い領域にメスが入れられた。

 中でも分かりやすいのはエクステリアだ。2014年の改良でもグリルまわりを中心に水平基調を強める変更が行なわれているが、今回はそれをさらに一歩進め、シグネチャーウイングやグリル形状、さらにヘッドライトにまで手を入れることで、立体感を際立たせるとともに低重心なフォルムを実現している。

新型(右)と2016年モデル
シグネチャーウイングとヘッドライトに注目
エクステリアの変更ポイント
フロントまわり
セダンのリアまわりバンパーだけでなくトランクリッドも変更
ワゴンのリアまわり。こちらはバンパーより下の部分のみ

 2014年に大きな変更が加えられたインテリアについても再度リファイン。エアコンの操作パネルや吹き出し口を見直すとともに、アッパーとボトムを明確に色分けすることで、エクステリア同様に水平基調を強めたデザインとなった。同時に、パネルの合わせ目を目立たなくしたり、グローブボックスやエアコン吹き出し口のルーバーの操作性を向上したりと、随所に上質感を高める作り込みが行なわれている。

インテリアの変遷
新型の変更点。ほぼ変わっているイメージだ
上級モデルには栓(せん)の木を使用した本杢パネルを採用
標準モデルはヘアライン風のパネルになる
上質感を向上
ステッチの作り込み
メーターパネルも一新

 走りの面でも進化を遂げている。まず、エンジンはガソリンが2.0リッターの「SKYACTIV-G 2.0」と2.5リッターの「SKYACTIV-G 2.5」、ディーゼルが2.2リッターの「SKYACTIV-D 2.2」とラインアップには変更なし。ただし、SKYACTIV-G 2.5には気筒休止技術が、SKYACTIV-D 2.2には急速多段燃焼技術が投入されるなど、他モデルで採用済みの最新技術を採り入れたユニットとなった。

 スペックはSKYACTIV-G 2.0が最高出力115kW(156PS)/6000rpm、最大トルク199N・m(20.3kgf・m)/4000rpm。SKYACTIV-G 2.5が最高出力140kW(190PS)/6000rpm、最大トルク252N・m(25.7kgf・m)/4000rpm。SKYACTIV-D 2.2が最高出力140kW(190PS)/4500rpm、最大トルク450N・m(45.9kgf・m)/2000rpmとなっている。

 また、操縦性の向上を目指し、ダンパーやコイルといったサスペンションの変更に加え、ボディ側も板厚アップや形状変更などを各所に施すことで剛性を向上。タイヤも専用開発品となった。これらの改良に伴い、GVCや電動パワーステアリング制御の最適化も実施されている。

 こうした走りの質感向上に留まらず、一方ではフラグシップモデルならではのポイントとなる静音性にも注力。吸音材や防振材といったモノに頼るだけでなく、フロントウィンドウの板厚アップ(60~70%程度)をはじめフロアパネルの板厚アップ、フロアパネルやホイールハウス内インナーパネルの板厚アップなど、商品改良レベルではあまり手を入れることがない部分まで変更が加えられている。これらにより「車両重量は60~70kg程度増加している」(開発エンジニア)とのことで、燃費面では不利な施策をあえて実施したことになる。見かけの数字で競争するのではなく、実際に乗った際の快適性を重視したワケだ。

ボディの変更点。赤色は新規に板厚や形状を変更した部分、緑色は改良が施された部分
静粛性を高めることにも注力
トップシーリング(ルーフ内装)の一部を不織布からウレタンに変更。厚みを増すことで静粛性アップに寄与
車体パネルも変更
フロアマットの開口部を低減
静粛性を向上
音の時間変化を穏やかにすることでも快適性をアップ

 安全装備面では「マツダ・レーザー・クルーズ・コントロール(MRCC)」が全車速対応となったほか、「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」のLEDユニットの20分割化、さらに「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」では夜間における歩行者検知機能を強化するといったバージョンアップが行なわれている。

 ラインアップはセダン、ワゴンともに6グレード。SKYACTIV-G 2.0搭載車が「20S」「20S PROACTIVE」、SKYACTIV-G 2.5搭載車が「25S L Package」、SKYACTIV-D 2.2搭載車が「XD」「XD PROACTIVE」「XD L Package」となる。ガソリンエンジン車は2WD(FF)&6速ATの組み合わせのみ、ディーゼルエンジン車は全グレードで2WD(FF)または4WD、6速MTまたは6速ATとそれぞれ選択することが可能。価格はSKYACTIV-G 2.0搭載車がそれぞれ282万9600円、295万9200円。SKYACTIV-G 2.5搭載車は354万2400円。SKYACTIV-D 2.2搭載車は324万円~419万400円。

アテンザワゴン

撮影車両は25S L Package。ボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック
フロントグリルは横桟からドット風のパターンに
グリル内にはフロントカメラやセンサーが埋め込まれている
ヘッドライトの点灯パターン
リアコンビネーションランプの点灯パターン
直列4気筒2.5リッター「SKYACTIV-G 2.5」エンジン。新たに気筒休止技術が採用されている
マフラーエンドは斜めにカットされたデザインに
19インチのアルミホイールは新デザインを採用。今回は装着車両がないため紹介できないが、17インチも新デザインとなっている
タイヤは専用設計となるブリヂストン「TURANZA(トランザ)T005A」。サイズは225/45 R19

アテンザセダン

撮影車両は25S L Package。ボディカラーはマシーングレープレミアムメタリック
トランクエンドの絞りが強くなった。それに伴い社名バッヂも若干小型化されている。また、リアシグネチャーもコンビランプまで水平に伸びる形状に変更された
リアコンビネーションランプの点灯パターン
直列4気筒2.2リッターディーゼル「SKYACTIV-D 2.2」エンジン。「CX-8」などと同じ急速多段燃焼技術が投入された最新バージョンとなる(別車両で撮影)
3代目アテンザとしては3パターン目となるインパネ。水平基調をより強調したデザインとなった。インテリアカラーはピュアホワイト
ステアリングは変更なし
シフトまわり。後方にあるコマンダー部分まで継ぎ目のない一体構造となった
オルガン式のアクセルペダルなどペダルまわりは変わらず
スタートスイッチはステアリング左側
ステアリングコラム右側のスイッチパネル
メーターパネルは一新。従来右側にあったインフォメーションディスプレイは中央に移動。サイズも4.6インチから7.0インチに大型化された
表示例。このほかMRCCセット時には設定速度をグリーン指針で表示する機能を備える
ヘッドアップディスプレイはコンバイナータイプからフロントウィンドウに直接投影するタイプに
薄型化したエアコンの操作パネル
従来エアコン操作パネル上にあった警告灯類はバックミラー上に移動
バックミラーはフレームレスタイプになった
センターディスプレイは8インチに大型化するとともに、液晶とタッチパネルを貼り合わせて空気層をなくしたボンディングディスプレイに変更
4つのカメラでクルマの周囲を死角なく映し出す「360°ビュー・モニター」を新たにオプション設定
コマンダーなどのダイヤル部のローレットは全周に隙間なく入るデザインに
L Packageは「栓の木」を使用した本杢パネルを装着
従来では2分割となっていたセンターコンソールが一体式となった
アームレスト下の収納。DC12V&USBソケットがある
スライド式のシャッター下はカップホルダー
トランクオープナーと小物入れ
ボンネットとフューエルリッドのオープナー
オーバーヘッドコンソールにはサングラスホルダーを装備
サンバイザーの照明はLED化されるとともにルーフ部に移動
L Packageのシートはナッパレザーを使った本革仕様。シートヒーターだけでなく、マツダ車としては初となるシートベンチレーション機能を備える
パワーシートの操作部が付くシートのベース部は、グレーの樹脂部分を減らすことで質感を向上
運転席のドアトリム。下部には赤色のカーテシランプを新設
ダークブラウンの本杢パネルとナッパレザーのトリムの組み合わせは見るからに上質な雰囲気
アームレストにはドアミラーとパワーウィンドウのスイッチ
ゆったりとしたリアシート
リアのドアトリム。こちらもカーテシランプ付
中央には収納式のアームレストを装備
前部にカップホルダーとシートヒーターのスイッチがある
後方はフタ付の小物入れ。内部には2.1A対応の充電用USBソケットも
電動式のリアスクリーンを装備
セダンらしくタップリとしたトランクスペースを用意
オリエンタルブラウンのインテリアカラー