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写真で見る スズキの新型軽商用「スペーシア ベース」
2022年8月26日 11:08
軽自動車で人気のカテゴリーといえば、間違いなくハイトワゴンが挙げられる。軽ならではの取りまわしのよいサイズ感に加え、広い室内と充実した装備は幅広い年齢層に支持されている。もう一方で忘れてはならないのが軽商用車。積載性と経済性に特化したスペックは多くのビジネスユーザーのアシとして確実に台数を伸ばしている。
その両タイプのイイトコドリを目指したのが、スズキが新たにリリースする軽商用車「スペーシア ベース」だ。
ハイトワゴンの場合、充実した装備を持つ半面、それが広さや経済性の面ではデメリット。特に立派なリアシートは1人、または2人で使うならスペースを犠牲にする邪魔なモノでしかない。逆に軽商用車の場合は商用車感満点のシンプルな外観に加え、パワースライドドアやオートエアコンなどの快適装備も省かれている。サスペンションも最大積載量(350kg)を考慮しているため乗り心地に影響が出てしまうなど、パーソナルユースで使うにはちょっと厳しい。
通常ならこの両者は相容れない要素だが、昨今の多人数乗車を不必要とするユーザーの増加を踏まえ最適化することで一気に解決。乗用車の快適性と商用車の使い勝手を併せ持った1台が誕生するワケだ。
見どころとなるのは、やはり使い勝手だ。大きく異なるのはフロントシート以降で、特にリアシートはハッキリと割り切った商用車仕様。座面、背もたれともにフラットで小さく、足下もかなり窮屈。一応、4人乗りではあるものの、プラス2名は緊急時用と考えた方がよいサイズ感だ。
だが、リアシートをこのサイズとすることで、折り畳んでフロア下に収納することが可能になった。同様のアレンジはスペーシアでも行なえるものの、スペーシア ベースでは荷室長1205mm×荷室床面幅1245mmとより広くフラットで、荷室高も1220mmとハイトボディを活かした空間を確保している。
そのスペースを有効に活用するためのギミックとなるのが、幅1130mm×奥行き685mmと大型デスク並みの広さを持つ「マルチボード」だ。フロアから165mm、290mm、430mmの高さにセットすることが可能となっているほか、縦にセットすれば荷室を前後に分割して利用できる。
例えば下段(165mm)にセットした場合はフロントシートをフルフラットにした高さと同等になるため、大人が寝ることができるスペースが誕生。車中泊をしつつマルチボード下のスペースには就寝時に必要のない荷物もスマートに収納できる。上段なら背もたれだけ折り畳んだリアシートをイス代わりにしてちょうど机になるぐらいの感覚。ノートパソコンを使ってテレワーク、なんてシチュエーションにピッタリな感じ。アレンジによってユーザー次第の、さまざまな使い方ができそうだ。
スペック面では名前からも分かるように「スペーシア」をベースとしたもの。ボディやサスペンションなど、ほぼ同等と考えてよい。エンジンも自然吸気の直列3気筒DOHC 0.66リッター「R06A」型と共通。ただし、スペーシアがマイルドハイブリッドモデルとなるのに対し、こちらはモーターを持たない“素”の仕様。そのためWLTCモード燃費はスペーシアの22.2km/L(2WD最良値、以下同)に対し、21.2km/L、市街地モード(WLTC-L)では21.0km/Lに対し19.4km/Lと若干伸びなくなっている。トランスミッションはCVTのみで、駆動方式は2WD(FF)と4WDが設定される。
装備は商用車と考えれば豪華そのもの。まず、先進安全装備はステレオカメラを使った衝突被害軽減ブレーキをはじめとして、後退時ブレーキサポート、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能など最新モデルならではの充実度。さらに“スズキ軽商用初”となる「全方位モニター用カメラ」「アダプティブクルーズコントロール」も用意される。快適装備においてもキーレスプッシュスタートシステムや後席右側パワースライドドア、シートヒーター、UV&IRカットガラス、フルオートエアコン、ロールサンシェードなど、こちらも軽商用初となる装備が目白押し。見た目も「スペーシア カスタム」譲りのイカツさなので、商用車らしさは微塵も感じさせない。
ラインアップは標準モデルの「GF」と上級モデルとなる「XF」の2タイプ。前者は139万4800円(2WD車)、151万8000円(4WD車)。後者は154万7700円(2WD車)、166万7600円(4WD車)。ボディカラーは新色となる「モスグレーメタリック」など5色を用意する。