レビュー

【タイヤレビュー】グッドイヤーのSUV向けオールシーズンタイヤ「Assurance Weather Ready」。ドライ&ウェットでの性能は?

グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「Assurance Weather Ready(アシュアランス ウェザーレディ)」に試乗

 どんな季節でも対応可能というオールシーズンタイヤは、今、注目度がかなり高まり、各タイヤメーカーがこぞって開発を進めている。ちょっとした雪なら走れてしまうその性能は、日本の非降雪地域においてはかなりありがたい存在。いざという時に動けるか否か、さらにはタイヤ交換が不要というメリットは、タイヤの保管が厳しい日本の住宅事情にもマッチしているということもあるのだろう。人気も次第に高まっているようだ。

 グッドイヤーはそんな市場に新たなオールシーズンタイヤを投入している。それが「Assurance Weather Ready(アシュアランス ウェザーレディ)」だ。このタイヤは16インチ~20インチの13サイズをラインアップ。ターゲットとするのは今はやりのSUVである。そもそもSUVはM+S(マッド&スノー)タイヤが装着されているパターンがあるが、このタイヤはそれに加えて欧州で冬用タイヤとして認められた証であるスノーフレークマークも加え、ちょっとした雪や氷でも対応できるところがポイントの1つだ。

グッドイヤーのオールシーズンタイヤ アシュアランス ウェザーレディ

 それを達成するために開発されたのは、グッドイヤーが特許を取得した「ソイビーンオイルテクノロジー」だ。その名の通り、大豆油をコンパウンドに配合しているという。大豆油は温度が下がった状況でもしなやかさを維持する特性があり、それがオールシーズンタイヤの求める性能に合致したということのようだ。さらに天然由来ということもあり、環境に優しいというところも採用した理由らしい。

アシュアランス ウェザーレディのトレッドパターン。インアウト指定のパターンで写真向かって左がIN側、右がOUT側
サイドウォールにマッド&スノーを示す「M+S」表記に加え、欧州で冬用タイヤとして認められた証となるスノーフレークマークを刻印
全天候タイプだと分かるようなイラストも
サイドウォールには大きく“Assurance WeatherReady”の文字が入る

 アシュアランス ウェザーレディのトレッドパターンを見てみると、いかにも雪を意識した細かいサイプが刻まれている。これでドライやウェットはどうか心配になるところだが、ショルダー部には「3Dトレッドロックテクノロジー」を採用。これは、溝内部に配置した3Dブレードの凹凸が、力がかかった時に支え合うような構造となり、ブロック剛性を確保している。また、摩耗が進んだ際に溝幅が拡大する「エボルビングトラクションテクノロジー」を盛り込むことで、新品時から50%摩耗くらいまでは3Dトレッドロックテクノロジーと同様、ブロックが倒れ込んだ際には隣り合ったブロックが支え合うことで剛性を確保。この状況では雪の引っ掛かり効果を発揮する。それ以下の摩耗になった場合は溝が現れ、シッカリと排水性を保つことに成功。これが作動し始めると雪道での性能は消滅してしまうが、夏タイヤとしてはまだ十分に使える状況にあるという。ストップ&ゴーや交差点が多い日本では摩耗についての保証はしていないが、アメリカでは9万5000kmの摩耗保証をしているというから、かなりの自信があるようだ。

3Dブレードが溝の内部に配置される「3Dトレッドロックテクノロジー」を用いて、ブロックを支えて動きを抑制することでドライ性能に貢献。降雪時にはエッジ効果を発揮する。さらに、溝の間に設けられた凹凸で、装着初期のトレッドブロックの安定によるトラクション性能を確保しつつ、摩耗時に溝幅が拡大することで摩耗後のウェット性能も両立する「エボルビングトラクションテクノロジー」も採用

 そんなアシュアランス ウェザーレディをまずは一般道で試してみる。乾燥路でどのような走りをするかが楽しみだ。走り出すと、それほど極端に夏タイヤとの違いは見られない。厳密に言えば高周波ノイズがやや大きめなこと、そしてゴロゴロとした感覚とダンピングの甘さがあることくらいだ。ひと昔前のM+Sタイヤくらいとでも言えばいいだろうか。そんな感覚なのだ。ステアリングのニュートラル付近に曖昧さはあるものの、タイヤがつぶれていけば剛性感はきちんとしており、頼りなさはそれほどない。

アシュアランス ウェザーレディを装着した「C-HR」で一般道を試乗
夏タイヤとの極端な差は感じられなかった

 テストコースにおいて夏タイヤ「EfficientGrip Performance SUV(エフィシエントグリップパフォーマンス エスユーブイ)」と比べてみたが、転がる抵抗感やダンピングなどはもちろん夏タイヤのほうが優れているように感じるが、ドライでもウェットでもスラロームやフル制動といった状況で、極端な性能差を感じるようなことがなかったことが驚きだった。一般的な路面できちんと走ることができた上で、いざとなれば雪道でも対応可能というアシュアランス ウェザーレディは、なかなかのバランス。今回は雪道でのテストができていないため、そこでの性能は未知数ではあるが、1908年にAll-Weatherタイヤを誕生させ、1977年にはラジアルオールシーズンタイヤを市場投入したというグッドイヤーなら間違いないだろう。これからさらにオールシーズンタイヤへの注目度は高まっていきそうだ。

テストコースでは夏タイヤとアシュアランス ウェザーレディを比較
ゴムマットを敷き詰めた凹凸路やドライ路面でのスラローム、低μ路でのダブルレーンチェンジ、ウェット路面での急制動といったコースで性能の違いを比較。ここでも極端な性能差は感じられなかった。雪道もぜひ試してみたいところだ

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車はトヨタ86 RacingとNAロードスター、メルセデス・ベンツ Vクラス。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:高橋 学