レビュー
【タイヤレビュー】グッドイヤーのSUV向けオールシーズンタイヤ「Assurance Weather Ready」。ドライ&ウェットでの性能は?
2019年4月12日 00:00
どんな季節でも対応可能というオールシーズンタイヤは、今、注目度がかなり高まり、各タイヤメーカーがこぞって開発を進めている。ちょっとした雪なら走れてしまうその性能は、日本の非降雪地域においてはかなりありがたい存在。いざという時に動けるか否か、さらにはタイヤ交換が不要というメリットは、タイヤの保管が厳しい日本の住宅事情にもマッチしているということもあるのだろう。人気も次第に高まっているようだ。
グッドイヤーはそんな市場に新たなオールシーズンタイヤを投入している。それが「Assurance Weather Ready(アシュアランス ウェザーレディ)」だ。このタイヤは16インチ~20インチの13サイズをラインアップ。ターゲットとするのは今はやりのSUVである。そもそもSUVはM+S(マッド&スノー)タイヤが装着されているパターンがあるが、このタイヤはそれに加えて欧州で冬用タイヤとして認められた証であるスノーフレークマークも加え、ちょっとした雪や氷でも対応できるところがポイントの1つだ。
それを達成するために開発されたのは、グッドイヤーが特許を取得した「ソイビーンオイルテクノロジー」だ。その名の通り、大豆油をコンパウンドに配合しているという。大豆油は温度が下がった状況でもしなやかさを維持する特性があり、それがオールシーズンタイヤの求める性能に合致したということのようだ。さらに天然由来ということもあり、環境に優しいというところも採用した理由らしい。
アシュアランス ウェザーレディのトレッドパターンを見てみると、いかにも雪を意識した細かいサイプが刻まれている。これでドライやウェットはどうか心配になるところだが、ショルダー部には「3Dトレッドロックテクノロジー」を採用。これは、溝内部に配置した3Dブレードの凹凸が、力がかかった時に支え合うような構造となり、ブロック剛性を確保している。また、摩耗が進んだ際に溝幅が拡大する「エボルビングトラクションテクノロジー」を盛り込むことで、新品時から50%摩耗くらいまでは3Dトレッドロックテクノロジーと同様、ブロックが倒れ込んだ際には隣り合ったブロックが支え合うことで剛性を確保。この状況では雪の引っ掛かり効果を発揮する。それ以下の摩耗になった場合は溝が現れ、シッカリと排水性を保つことに成功。これが作動し始めると雪道での性能は消滅してしまうが、夏タイヤとしてはまだ十分に使える状況にあるという。ストップ&ゴーや交差点が多い日本では摩耗についての保証はしていないが、アメリカでは9万5000kmの摩耗保証をしているというから、かなりの自信があるようだ。
そんなアシュアランス ウェザーレディをまずは一般道で試してみる。乾燥路でどのような走りをするかが楽しみだ。走り出すと、それほど極端に夏タイヤとの違いは見られない。厳密に言えば高周波ノイズがやや大きめなこと、そしてゴロゴロとした感覚とダンピングの甘さがあることくらいだ。ひと昔前のM+Sタイヤくらいとでも言えばいいだろうか。そんな感覚なのだ。ステアリングのニュートラル付近に曖昧さはあるものの、タイヤがつぶれていけば剛性感はきちんとしており、頼りなさはそれほどない。
テストコースにおいて夏タイヤ「EfficientGrip Performance SUV(エフィシエントグリップパフォーマンス エスユーブイ)」と比べてみたが、転がる抵抗感やダンピングなどはもちろん夏タイヤのほうが優れているように感じるが、ドライでもウェットでもスラロームやフル制動といった状況で、極端な性能差を感じるようなことがなかったことが驚きだった。一般的な路面できちんと走ることができた上で、いざとなれば雪道でも対応可能というアシュアランス ウェザーレディは、なかなかのバランス。今回は雪道でのテストができていないため、そこでの性能は未知数ではあるが、1908年にAll-Weatherタイヤを誕生させ、1977年にはラジアルオールシーズンタイヤを市場投入したというグッドイヤーなら間違いないだろう。これからさらにオールシーズンタイヤへの注目度は高まっていきそうだ。